コーヒーで旅する日本/関東編|溢れるアイデアで“濃度の高い”魅力を発信。「自家焙煎コーヒー角打ち VIVA COFFEE」が伝えたいコーヒーの可能性とは

東京ウォーカー(全国版)

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全国的に盛り上がりを見せるコーヒーシーン。飲食店という枠を超え、さまざまなライフスタイルやカルチャーと溶け合っている。なかでも関東エリアは、伝統的な喫茶店から最先端のカフェまで、さまざまなスタイルの店が共存する、まさに日本のコーヒー文化の中心地。

東京をはじめ、関東近郊にある注目店を紹介する当連載。店主や店長たちが教える“今、注目すべき”ショップをつなぐ、コーヒーリレーの旅へ。

オープンエアのテラス席の利用もおすすめ。テラス席はペット同伴もOK!

第13回は東京都板橋区にある「自家焙煎コーヒー角打ち VIVA COFFEE(ビバ コーヒー)」。住宅街が広がるのどかな街・高島平に店を構え、コーヒーを角打ちスタイルで楽しめる一風変わったロースタリーだ。店主の中川亮太さんは「ドトールコーヒー」を経て、「株式会社アマナ」でコーヒークリエイターとして活躍。コーヒーの魅力を単に味で伝えるだけでなく、日本酒と組み合わせた意外なメニューやマニアックな器具の数々を、コーヒー愛に溢れた空間で楽しく体感できる。実は”コーヒー嫌い”からはじまった中川さんの開業までのエピソード、これからの思いを聞いた。

店主の中川亮太さん

Profile|中川亮太(なかがわ・りょうた)
1972年、東京都生まれ。大学卒業後、出版社を経て、「ドトールコーヒー」でデザイナーとして活動。「ドトール」時代には「アドバンスドコーヒーマイスター」の資格を取得、コーヒーハンター・川島良彰さんとの出会いから世界各国の農園に出向くなど精力的に活動。その後に勤めた広告制作会社「株式会社アマナ」では、コーヒークリエイターとしてカフェ「IMA cafe」をプロデュース。2021年4月に「自家焙煎コーヒー角打ち VIVA COFFEE」を開業。

嫌いを好きにしてくれたスペシャルティコーヒーとの出合い

【写真】豆売りがメインだが、それぞれの豆のおいしさを試せる場として喫茶スペースを設置

長年コーヒー業界に身を置く中川さんだが、その歴史を聞いてみると「実はもともとコーヒーが飲めなかったんです」という意外な言葉からはじまった。

「子どものころからコーヒーの香りは好きなのに、大人になっても飲むのは苦手で、そもそも体が受け付けなくて。でも喫茶店の雰囲気は好きでコーヒー屋に行く機会は多かったんです。そこではよくミルクティーを飲みながら喫茶文化を楽しんでましたよ。その後コーヒーにハマるきっかけになったのが、たまたま立ち寄った老舗のコーヒー豆専門店『Daphne(ダフニ)』の一杯でした。そこで飲んだコーヒーはこれまでに飲んだコーヒーとは大きく違っていて衝撃を受けました」

シティポップや昭和歌謡、ジャズなどジャンルを問わず大量のレコードがそろう。リクエストもOK

「Daphne」のコーヒーはとにかく飲みやすさが印象的だったと中川さん。今思えば、当時一般的だったコマーシャルコーヒーではなく、はじめてスペシャルティコーヒーに出合ったのがこのとき。はじめての“飲める”コーヒーは、中川さんの体にも自然と馴染んでいた。

「そのコーヒーに出合っておいしさを知ってからというもの、タガが外れたように飲んでましたね。まるで今まで堰き止めていた思いが決壊するように(笑)。いろんなコーヒーを飲んでいくなかで、自分にとって飲めるコーヒーと、飲めないコーヒーがあることがわかるようになってきました。その自分に合うものの共通点が、今思うとスペシャルティコーヒーだったのかなと。それと同時に自分以外にもコーヒーが飲めない人、また飲めないと思い込んでいる人はたくさんいるのではないかと思うようになったんです。今は飲めなくてもおいしいコーヒーに出合うことで、飲めるようになるのではないか?という思いが、今の店づくりの基礎となっています」

コーヒーネームの“ビバ”の名付け親はコーヒーハンターの川島さん。店名の「VIVA」もここから

中川さんは大学を卒業後、出版社へ。そして大手コーヒーチェーン「ドトールコーヒー」に入社し、コーヒー業界へと足を踏み入れた。会社ではデザイナーとして活躍し、日々コーヒーに携わりながら、“豊かなコーヒー生活を提案”するための幅広い知識と高度な技術が必要となる「アドバンスドコーヒーマイスター」の資格を取得するなどコーヒーへの理解を深めていった。

長年コーヒー業界にいる中川さんは、その人脈を駆使し、さまざまな商社から最良の豆を仕入れる

さらにこの時期にコーヒー栽培技師であり、コーヒーハンターの異名で知られる川島良彰さんとの出会いがあり、そのことが中川さんにとっての大きなできごととなった。毎年行われる川島さん主催の世界各国の豆の農園へ出向くツアーに参加し、それぞれの産地の現状から農園ごとの気候、土壌、日当たり、風向き、労働環境にいたるまで徹底的に学び、スペシャルティコーヒーで重視される豆を見極める力を身につけた。

カフェ利用のほか、仕事終わりに角打ちを楽しむのもいい

「ドトールコーヒーでの仕事を含め、多くのコーヒー体験を通して、一般的には知られていないようなコーヒー知識のインプットが溢れそうなほど溜まって来ました。今度はその知識をアウトプットする場が必要だと考えていたんですが、そんなときに“コーヒーをメディア”として捉えて発信する『株式会社アマナ』の存在を知り、転職を決意。コーヒー専門のクリエイターとして『IMA café』のプロデュースをさせてもらいました。『IMA café』は自動抽出マシン『POURSTEADY(ポアステディ)』を日本で初めて導入し、コーヒーをコース仕立てで出す最先端のカフェでした。このマシンは私の抽出技術を記憶し、再現することができるもの。そのため抽出作業をマシンに任せることができて、訪れた人たちにより詳しく”濃度高め”にコーヒーについて伝えることに集中することができて、アウトプットの場としてベストな空間でしたね」

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