半年前に死んだ妻が「死神」になって帰宅?キャンプを楽しむ夫に激怒するも…“重すぎる愛”の結末に涙腺崩壊【作者に聞く】

東京ウォーカー(全国版)

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画像提供:早々乃曜七(@kakesichi67)

最愛のパートナーを失ったら、残された者は悲しみに暮れ、食も喉を通らなくなるのが一般的でしょう。しかし、もし夫が三食きっちり食べ、趣味のキャンプやDIYを満喫していたら――? 早々乃曜七さん(@kakesichi67)が描く『君の死は』は、そんな「元気すぎる夫」と、その態度に腹を立てて「死神」になってしまった妻の攻防を描く創作漫画です。読者から「涙が止まらない」と絶賛される本作について、著者の早々乃曜七さんに制作の裏側を聞きました。


「愛が足りないから殺しに来た」

画像提供:早々乃曜七(@kakesichi67)

画像提供:早々乃曜七(@kakesichi67)

画像提供:早々乃曜七(@kakesichi67)


物語は、半年前に他界した妻・志乃が、巨大な鎌を持った死神として夫・進の前に現れるところから始まります。 「なんで私の後を追わないのよォ」 志乃が死神と化した理由は単純です。自分が死んだにもかかわらず、進が鬱になるどころか人生を謳歌しているように見えたからです。その「愛のなさ」への憎しみが、彼女を怪物に変えてしまったのでした。 「私のこと愛してなかったんだね」と詰め寄る志乃に対し、進は平然と「世界一愛してた」と答えます。しかし、その言葉とは裏腹に、彼の生活は生きる意欲に満ち溢れていました。進の命を奪い、本当の愛を証明させようとする志乃。ですが、進が“元気でいられる理由”には、妻への深すぎる愛情が隠されていたのです。

ギャップが生むドラマと作者の狙い


講談社の漫画雑誌『モーニング』で期待賞を受賞した本作。着想について早々乃曜七さんは、「死神に魂を取られないよう必死に抵抗する人間」という絵が最初に浮かんだと語ります。そこからキャラクターの関係性を練り上げ、「死神=妻」「人間=夫」という夫婦の設定に落とし込みました。

制作において特にこだわったのは、物語が進むにつれて露見する「内面のギャップ」です。 一見するとわがままで自己中心的に見える妻ですが、実は暗い過去を抱えた夫にとって、彼女こそが救いの存在でした。早々乃曜七さんは、冒頭で読者が抱く第一印象をあえてひっくり返すような構成を意識したそうです。

「泣かせるつもりはなかった」作者の誤算


妻よりも夫の方が実は「愛が重かった」ことが判明する展開に、SNSやpixivでは「涙腺が崩壊した」「感動した」との声が相次いでいます。 しかし、この反響は早々乃曜七さんにとって予想外のものでした。 「個人的には泣ける話を描くつもりはなく、切ないけれどカラッと笑えるコメディテイストを目指していたので意外でした」 読者がじっくりと丁寧に読み込んでくれたことに喜びを感じつつも、作者としては「悲劇」ではなく「喜劇」としての側面を大切にしているようです。

今後の目標について、「次はもっと上の賞を狙いたいので、画力の向上が課題」と意欲を見せる早々乃曜七さん。「設定はダークでも、悲しくなりすぎないコメディ」を描くのが好きだという彼が、次はどんな世界を見せてくれるのか。コミティアへの参加も見据えているとのことで、今後の活動からも目が離せません。

取材協力:早々乃曜七(@kakesichi67)


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