第67回 名物マスターに会いに行きたくなる洋食店「グリル プランセス」

2018年2月12日 7:00更新

東海ウォーカー エディマート

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入り口には店の看板のほか、マスターの写真なども貼られているPhoto by 北川友美/(C)KADOKAWA

名古屋市千種区にある洋食店「グリル プランセス」は、まるでタイムスリップしたかのように感じるほど昭和の空気がそこかしこに漂う。味の評判の高さはもちろん、80歳を超えてなお筋肉隆々の名物マスターのことを語らずして、この店は語れない。

昭和感漂う店内に名画がずらり

1964(昭和39)年にオープンした「グリル プランセス」。入り口には、「マスターに腕相撲で勝ったら割引」、「店内には有名絵画50点」など、気になる看板や貼り紙が目につき、一風変わった空気を醸し出している。

期待が高まる地下への入り口Photo by 北川友美/(C)KADOKAWA

階段を下りて地下へ。ピンク色の照明や赤いベロアのイスなど昭和のキャバレーやスナックのような雰囲気が感じられるインテリア。天井にはステンドグラスをあしらい、壁にはピカソやシャガールなどの本物の名画がズラリと飾られている。

シックな店内では優雅なBGMが流れる
Photo by 北川友美/(C)KADOKAWA

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独特なインテリアに目を奪われるPhoto by 北川友美/(C)KADOKAWA

この空間を作り上げているのは、ほかでもない「グリル プランセス」をオープンさせたマスターの大久保栄次さんだ。「私の趣味で創業時から少しずつ絵画や置物などを増やしていったよ」。

赤い服が印象的なマスター。バーカウンターも趣があるPhoto by 北川友美/(C)KADOKAWA

マスターは「グリル プランセス」を開業する前、1956(昭和31)年の大学卒業後にホテルで10年ほど勤務。1963(昭和38)年には、アメリカの一流ホテルで研修した経験もある。「料理はもちろん、ウェイターやバーテンもやったよ」と教えてくれた。「今はコックさんに料理を任せているけど、風邪をひいた時なんかには代わりに私が料理できないと商売にならないからね。でもうちのコックさんはもう40年以上勤めてくれていて、私よりも店のことを思ってくれてるくらいなんだよ」と続けた。

質のいいものを良心的な価格で

的矢湾から直送される「生ガキ」(5個、1814円) Photo by 北川友美/(C)KADOKAWA

「グリル プランセス」は的矢ガキが味わえる店としても有名で、三重県の佐藤養殖場から毎日直送される新鮮なカキを目当てに訪れる客も少なくない。時期は10月から3月ごろと、4月中旬から8月下旬とあって、ほとんど年中味わえると言っていい。オリジナルのカクテルソースでいただく「生ガキ」(5個、1814円)は、ぷりっぷりの身で臭みがなく旨味がしっかり感じられる。

【写真を見る】「シェアして食べようシャトーブリアンステーキ」(2人で7560円)はデートにもおすすめPhoto by 北川友美/(C)KADOKAWA

そして、マスターが特におすすめしているのが、「シェアして食べようシャトーブリアンステーキ」(2人で7560円)。こちらは、メインの肉250gを2人で分け合い、ほかはスープ、サラダ、前菜、ライス、シャーベット、コーヒー、グラスワイン(赤)がすべて2人分ずつ付いてくるというお値打ちメニューである。箸で切れるほどやわらかなシャトーブリアンを、2人でこの価格で食べられるというのは驚きだ。

「ハンバーグランチ」(918円)。サラダ、ライス、コーヒーが付くPhoto by 北川友美/(C)KADOKAWA

忘れてはならないのが、評判の高い「ハンバーグランチ」(918円)だ。鉄板でアツアツの状態で出てくるハンバーグは、肉厚でふんわりとやわらかく、ナツメグやコショウなどが入ってちょっぴりスパイシーな味わいがたまらない。

マスターが作ってくれるオリジナルカクテル「プランセス」(400円)Photo by 北川友美/(C)KADOKAWA

もしお酒が飲めるのなら、もう1つおすすめしたいのがカクテルだ。なんとすべて400円とお手頃。マスターが作ってくれたのは、ワインベースにジンやレモンなどを使ったオリジナルカクテル「プランセス」。

フォークやナイフ、コーヒーカップなどの食器は、どれもノリタケ製品だPhoto by 北川友美/(C)KADOKAWA

ちなみに、プランセスはフランス語で王女の意味。「創業当時はフレンチメインでやっていたんだけど、その時代はフレンチの認知度が低くてあまりお客さんが来なかった」と明かしてくれた。そのころから人気のあったハンバーグやステーキが、今のメインになっているという。

「息子と家内を支えるために体を鍛えたい」

「グリル プランセス」でユニークなのが、マスターに腕相撲や腕立て伏せの勝負を挑み、勝てばランチ無料などのサービスをしてくれるというもの。マスターは80歳を超えているにもかかわらず実は筋肉ムキムキなのだ。「毎日筋トレして体を鍛えているからね。このサービスは4、5年くらいやってるけど、腕立て伏せは誰にも負けない。腕相撲は最近弱くなってきたけど、負けるのは30人に1人くらいかな」とかなりの凄腕の持ち主だ。

サービス精神旺盛なマスターだけあって、服を脱いで筋肉を見せてくれることもPhoto by 北川友美/(C)KADOKAWA

毎日トレーニングをするようになったのは40歳くらいのころだそうで、息子さんが重い病気を患ったことがきっかけ。「私がこの子を支えていくために鍛えなければ」と決心したという。「家内も7、8年前に倒れて、今は2人のために鍛えてる。悲しいことがあってもめげずに“マイナスを全部プラスに変える”という気持ちをいつも持つことが大切なんだよ」と話してくれた。「今は100kg近い人までお姫様だっこできるよ」とお茶目なマスター。その根底には、深い愛情と思いやりがあった。

天井のステンドグラスも印象的Photo by 北川友美/(C)KADOKAWA

「私は金儲けが下手でね。人に対する慈しみとか純粋な心が私のなによりの宝。与えられるより与えるほうが幸せなんだよ」と穏やかに、そして熱く教え諭してくれる姿が印象的だった。家族にもお客さんにも愛情深いマスターこそが、この店の魅力を押し上げているのは間違いない。

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