なぜ仕事中の「探す時間」は減らないのか?1000名調査でわかった“調べ直し”の年間20万円コストの背景とは

東京ウォーカー(全国版)

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AIやチャットツールの導入が進んでも、情報の整理や共有方法が整っていなければ、必要な情報を探す時間はなかなか減らない——。

プロジェクト管理ツールなどを展開する株式会社ヌーラボが実施した意識調査(2026年7月、n=1000)により、日本のビジネス現場で発生している「調べ直し」の驚くべき実態が浮き彫りになった。

年間約20万円の目に見えない損失。管理職の負担は一般社員の2.6倍

調査によると、過去の経緯や必要な情報を社内から探し直す「調べ直し」による経済的損失は、ビジネスパーソン1人あたり年間約20万円(平均20万1545円)にのぼる。1カ月あたりの「調べ直し」時間は平均約4時間(月平均7.5日×1日あたり31.5分)を占めており、日々の業務時間と生産性を大きく圧迫している。

画像提供:株式会社ヌーラボ


さらに深刻なのが、役職ごとの格差だ。一般社員の年間損失額が平均11万1206円であるのに対し、管理職は平均29万1884円と約2.6倍の損失が発生している。

画像提供:株式会社ヌーラボ


組織の意思決定や進行管理を担うマネジメント層ほど、「過去に誰がどう決めたか」を個別に掘り返す作業に追われている実態が浮かび上がる。

本当に探しているのはファイルではなく「過去の決定経緯」

なぜこれほどまでに調べ直しが発生するのか。

調べ直している内容の上位には「社内規定・ルール(34.8%)」、「議事録など過去の決定事項・経緯(33.0%)」、「業務フロー(31.7%)」が並ぶ。

画像提供:株式会社ヌーラボ


また、情報が見つからない・わかりにくい理由として最も多かったのは「資料はあるがわかりにくい・使いにくい(29.6%)」や「資料が整理・更新されていない(29.0%)」だった。

つまり、現場が困っているのは単なる「ファイルの置き場所」ではなく、「なぜその判断にいたったのか」という決定プロセスそのものが記録として残っていないことなのだ。

画像提供:株式会社ヌーラボ


口頭での共有や散在した連絡によって情報が属人化(60.5%が属人化を実感)し、「誰かに聞かないとわからない」「探しても出てこない」状態が、現場の心理的ストレス(57.1%)を生む悪循環に陥っている。

画像提供:株式会社ヌーラボ


「決定プロセスまで自動で残る仕組み」が今後の鍵に

今後のナレッジ共有に求める機能として、全体の31.7%(約3人に1人)が「AIに質問すれば必要な情報や過去の経緯がわかる仕組み」を挙げている。

画像提供:株式会社ヌーラボ


ヌーラボの取締役CPO中島成一朗さんは、「どれほどAIの検索性能が高まっても、そもそも社内に決定までのやり取りや背景が記録されていなければ、AIも答えを出しようがない」と指摘する。

企業へのヒアリングを重ねる中で見えてきたのは、口頭での合意や記録のない決定、経緯不明な業務が多く、現場の多くの人が頭を悩ませているという実情だ。

これからのナレッジ管理には、業務を進める中で「どのような議論を経てその決定にいたったのか」という決定プロセスまでセットで記録され、常に最新状態へアップデートされる仕組み作りが欠かせない。

単に新しいツールやAIを導入するだけでなく、「意思決定の経緯までセットで残せる運用ルールや環境」を整えられるかどうかが、組織の隠れた知の損失防ぐ現実的な分かれ目となりそうだ。

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