影山貴彦のテレビのホンネ。関西から広がる名番組 中川家「鉄オタ選手権」

関西ウォーカー

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鉄オタ選手権


コアな部分を押し出す番組は受け皿を少し広めに設定することも


最初の放送は、2016年9月だった。中川家(剛・礼二)の二人が進行する、「鉄オタ選手権」の記念すべき第一回だ。ひとつの鉄道をクローズアップして、オールロケで展開するクイズ形式の旅番組だ。クイズは「タレントチーム」、鉄道会社の「社員チーム」に加え、鉄道に詳しい人、すなわち「鉄オタ選抜チーム」の3組で争われる。ただクイズはいわば副産物と言ってよく、毎回熱き鉄道ファンが満足する情報が満載だ。

中川家・礼二は、筋金入りの鉄オタだ。漫才のネタにも取り入れているのでご存じの読者が多いだろう。一方、兄の剛は弟の礼二ほどに興味はない。そのバランスがいいのだ。番組に出演するメンバーたちがほとんどが鉄オタということもあり、ともすれば玄人受けに流れ過ぎる可能性もある。もちろんそれも番組の大きな魅力ではある。ただ剛がいることで、私のようなホドホドの鉄道好きは、安心感をもって気楽に見ることができる。テレビの面白さであり難しさだが、コアな部分を押し出す番組は、受け皿をほんの少し広めに設定することで多くの視聴者を得られる。

制作の本家は、NHK大阪放送局だ。「南海電鉄の陣」に始まり、「京阪電車の陣」、「近鉄電車の陣」、「阪神電車の陣」、そして「阪急電鉄の陣」の計5回が放送された。本家と記したのには訳がある。実は、同じく中川家が進行を務める関東編があるのだ。こちらは東京のNHKが制作している。2018年2月放送の「東武鉄道の陣」に始まり、「小田急電鉄の陣」、「京成電鉄の陣」、「京王電鉄の陣」の計4回が放送された。本家・関西編と関東編のテイストの差異を楽しむのも一興だ。

関西ローカルで生まれた番組が、こうした広がりを見せることは素晴らしい。欲を言えば、もう少し放送頻度が増えると、番組ファンはより嬉しいだろう。

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【著者プロフィール】影山貴彦(かげやまたかひこ)同志社女子大学 学芸学部 メディア創造学科教授。元毎日放送プロデューサー(「MBSヤングタウン」など)。早稲田大学政経学部卒、関西学院大学大学院文学修士。「カンテレ通信」コメンテーター、ABCラジオ番組審議会委員長、上方漫才大賞審査員、GAORA番組審議委員、日本笑い学会理事。著書に「テレビのゆくえ」(世界思想社)など。

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