高級食パンは「ブーム」から「ジャンル」へ 仕掛け人が語る食パン人気のワケ(1/3)

2019年7月25日 12:00更新

東京ウォーカー(全国版) 国分洋平

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“高級食パン”を販売する食パン専門店が出店ラッシュを迎えている。多店舗展開の食パン専門ブランドに加え、2018年から2019年にかけてはインパクトある店名の食パン専門店も登場。なぜ今、高級食パンが支持を受けるのか。そして、高級食パンブームはベーカリー業界にどう影響を与えるのか。高級食パンブームを加速させた立役者の一人であるジャパンベーカリーマーケティングの岸本拓也氏に話を聞いた。

ジャパンベーカリーマーケティング株式会社代表の岸本拓也氏

ジャパンベーカリーマーケティング株式会社代表の岸本拓也氏

急増する食パン専門店、地方にも続々進出

「もはや最高傑作」(熊本県熊本市)店舗外観

「もはや最高傑作」(熊本県熊本市)店舗外観

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シンプルであるがゆえに、比較的安価で販売されることの多い食パン。近年注目を集めているいわゆる“高級食パン”とは、製法や素材にこだわり2斤1000円前後で売り出したものだ。これまでもホテルベーカリーなどでは価格の高い食パンやホテルブレッドが販売されていたが、現在のブームの特徴は、食パン1本にしぼった専門店が製造・販売するパンに人気が集まっている点にある。こうしたパンを、従来の食パンと区別して「生食パン」と呼ぶ向きもある。

2018年9月、東京・銀座に1号店をオープンした食パン専門店「銀座に志かわ」は、大阪、京都、名古屋など、2019年6月までに計10店舗を出店。 さらに2019年8月までに17号店までのオープンが発表されており、1年足らずで急激に店舗数を伸ばしている。また、高級食パンブームのさきがけとして2013年に大阪で開業した「乃が美」は、2019年7月現在、46都道府県に全137店舗を展開。残る秋田県にも出店を予定するなど、大都市圏にとどまらず、全国的に高級食パンの需要が増加していることがうかがえる。

支持される理由はおいしさの「分かりやすさ」

「うん間違いないっ!」(東京都中野区)のショッピングバッグ

「うん間違いないっ!」(東京都中野区)のショッピングバッグ

ブランド店の増加とともに、個人オーナーによる食パン専門店も増えてきた。中でも注目を集めるのは、「考えた人すごいわ」(東京都清瀬市)や、「乃木坂な妻たち」(北海道札幌市)、「平成最後に俺の出番!なま剛力スタジアム」(群馬県太田市)、「もはや最高傑作」(熊本県熊本市)といったインパクトある店名の食パン専門店だ。

これらの人気店をプロデュースするのが、ジャパンベーカリーマーケティングの代表を務める岸本氏。ホテルマンとしてホテルベーカリーのマーケティングに携わった後、横浜・大倉山に「TOTSZEN BAKER’S KITCHEN(トツゼンベーカーズキッチン)」を開業した岸本氏は、現在は食パン専門店をはじめ、60店舗以上のベーカリーをプロデュースする。

岸本氏は、現在の高級食パン人気の要因をこう分析する。

「現在流行の食パンは、焼き方や発酵のタイミングなど、従来の常識とは異なる新しい製法で作られているものが多いんです。我々のプロデュースする食パンで言えば、こだわっているのは“なめらかな口どけ”と“ほのかな甘さ”。リーマンショック以降、個人の価値観が多様化する中、こうした既存の食パンとは違う風味の食パンの存在に消費者が気付いたというのがまず大きな要因です」

普遍的な食べ物である分、他のパンに比べ際立った部分がないと思われてきた食パン。だが、各店ごとに明確な味わいの個性を打ち出して違いが明確になってきたことが、消費者が「食パンを選ぶ」という発想のきっかけとなったという。

さらに、コンセプトを特化したことによる「わかりやすさ」もポイントだと岸本氏は言う。

「食パン専門店は商品数を絞る分、製法の進化が際立ちます。高級食パンと言っても、1斤が1万円するようなものではありません。1000円でパンを買うなら、従来型のパン屋で『どのパンがおいしいだろうか』と迷うより、2斤1000円でお釣りが出るぐらいの価格で、間違いなくおいしいものが買えるという食パン専門店の方が、消費者のニーズに合っているのだと思います」

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