高級食パンは「ブーム」から「ジャンル」へ 仕掛け人が語る食パン人気のワケ
東京ウォーカー(全国版)
面白い、特別感…「おいしさ」以外の要素も人気に

さらに岸本氏は、食パン専門店をプロデュースするにあたり、ただおいしいパンを売るというだけではなく、食パン専門店で食パンを購入することで得られるスタイルや付加価値作りを意識していると話す。
「パンやパン屋は日常に根付いているものなので、商品のおいしさ以外の可能性がすごくあるものだと思っています。食パンをおやつや手土産としても食べられるものとして提案することや、店名やショッピングバッグのデザインが家族の会話のきっかけとなったり、おいしさ以外に笑わせる要素や心を動かす要素、スタイルを売るということをとても大事にしています」
岸本氏がアイデアを出しているという店名は、いずれもベーカリーの名前とは一見思えないような独特なネーミングばかりだ。ショッピングバッグもビニール袋ではなく紙袋で、そこに描かれているのは少女漫画チックな女の子であったり、肖像画風のシェフであったりと、目を惹くグラフィックを前面に押し出している。こうした店名や紙袋は、食パンを買うという体験に楽しさや面白さといった付加価値を加える最たる例と言える。

岸本氏のこうしたスタイル作りは、食パン専門店だけにとどまらない。観光地での出店や創業の古いベーカリーのリノベーションであれば、食パンではなくローカルフードやレトロ感のあるコッペパン専門店というように、立地や商圏を考慮したコンセプトを選んでいるという。
都内の商業地に多くの食パン専門店が出店しているにもかかわらず、住宅街の食パン店が人気を集める背景には、ただ高級食パンを買うのではなく、その店だけの付加価値や特別感をユーザーが求めているからだと言える。コンセプト特化のベーカリーが登場したことは、生活必需品を買いそろえる場としてだけでなく、嗜好品を買いに行く場としての価値をベーカリー業界にもたらしたと言えそうだ。
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