高級食パンは「ブーム」から「ジャンル」へ 仕掛け人が語る食パン人気のワケ

東京ウォーカー(全国版)

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「高級食パン」はブームからジャンルへ


しかし、ブームには流行り廃りがつきまとう。食パン専門店が普及していけば、特別感を求めるユーザーは遠のいていくのではという疑問はある。だが岸本氏は、高級食パンブームは一過性のものではなく、1つのジャンルとして定着していくだろうと話す。

「そもそも食パンは数あるパンの中でも占有率の高い商品なんです。なぜならメロンパンやカレーパンと違って、毎日買っていく固定客が存在するパンだからです。高級食パンも、若年層より中高年以上の方にリピーターが多い傾向があります。朝食に長年食パンを食べ慣れたライフスタイルの方が根付きはじめているということです」

また岸本氏は、パン業界全体の流れも、従来の多種多様なパンを揃えるパン屋から、1つのパンに特化した専門店化が進んでいくと見込んでいる。その理由に、ベーカリー業界が直面する「少子化」と「異業種の参入」を挙げる。

「少子化と人口減という流れの中で、飲食業界でも若い人たちが集まらないという状況があります。少ない人数ででき、1つのものに付加価値をつけながら売っていく専門店的な手法は食パン以外でももっと増えていくでしょう。

さらに、食パン専門店にはベーカリー以外の異業種からの参入も多いのが特徴です。商品の際立たせ方についてのノウハウはベーカリーでも大きな強みになりますし、異業種ならではのアイデアも出てきて、パンの個性はどんどん細分化していくのではないかと思います」

「シャッター街でも」食パン専門店“地域密着”の可能性


「考えた人すごいわ」清瀬店 店舗外観


食パンに限らず、パンにおいて種類ごとのコンセプト特化の店が増加することで、業界全体の活性化を期待しているという岸本氏。食パン専門店も、これまで以上に全国に普及させて、各店舗を地域に根差したベーカリーにしていきたいと語る。

「高級食パンブームと言われていますが、それでも既存のベーカリーに比べたら食パンの専門店は圧倒的に少ないですから。地方のシャッター街であっても、シャッター街となった理由次第では食パン専門店が成り立つ可能性は大いにあります。地域に根差したベーカリーを作ることで、街や生活を元気にしていきたいという思いを大切にして今後も取り組んでいきたいと思っています」

多くのパンを取りそろえるスタイルから、1つのパンにこだわるスタイルへ。高級食パンブームは、これからのベーカリー業界のあり方が変わるか否かの試金石と言えそうだ。

国分洋平

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