40周年の「うまい棒」誕生秘話、限界まで10円貫く原動力は「子どもへの恩返し」(1/2)

2019年7月31日 18:00更新

東京ウォーカー(全国版) 国分洋平

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1979年7月に発売され、2019年に発売40周年を迎える駄菓子「うまい棒」。発売以来10円という販売価格を維持しながら多彩な味を展開。今や駄菓子の代表的存在となった同シリーズだが、発売当時はコーンパフや個包装など、それまでの駄菓子の常識を打ち破った革命的商品だったという。うまい棒誕生秘話や、ユニークな味の作られ方、そして10円という販売価格への思いを、うまい棒を販売する株式会社やおきん営業企画部商品課長の田中浩次さんに聞いた。

うまえもん像がおでむかえ。40周年キャンペーンでは同サイズの貯金箱も制作

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駄菓子に革命起こした「10円で個包装」

2019年現在発売されている通常のうまい棒14種類。このほかにもプレミアムうまい棒や地域限定品が発売されている

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1979年に発売されたうまい棒。コーンパフで作られた駄菓子は、当時としては最先端の技術が用いられたものだった。

「当時、エクストルーダーと呼ばれるパフマシーンが登場し、菓子メーカーがコーンパフを使った新商品を続々と開発しました。そうした中、コーンパフの駄菓子として発売したのが『うまい棒』なんです」

これまでの駄菓子にないサクサクとした食感のうまい棒。さらに、大きな瓶ケースでむき出しで売られる駄菓子が主流だった中、フィルムによる個包装パッケージを採用した。

「コーンパフは非常にしけやすいため、従来の瓶詰めで売るのではすぐに食感が変わってしまうという問題がありました。そのため、1本10円の商品を1点ずつ個包装にするという、当時の常識としては考えられないような方式となったんです」

当時の駄菓子の相場が20円から30円の中、破格とも言える10円商品の個包装を実現するために、製造工場や原料・資材の調達、配送に至るまで効率化と徹底的なコストダウンが行われたという。

「たとえば包装で言えば、元は1枚の大きなフィルムなのですが、1枚のフィルムでロスなく切り出してパッケージを作れるようサイズを調整しました。さらに商品を詰める段ボールの大きさも、トラックの積載量に合わせて隙間なく積み込めるよう計算して作られています」

個包装ゆえに販路拡大、時流に左右されず年間7億本の国民的駄菓子

東京限定のシナモンアップルパイ味

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さらに、個包装としたことで「持ち運べる駄菓子」となったことも子供に受け入れられた理由だという。

「当時の子供の過ごし方は、外で遊んで、駄菓子屋で休憩して、また遊びへ、というスタイルでした。それがうまい棒の場合は、持ったまま遊びに出かけて、どこでも食べることができました。そうした手軽さが、広く受け入れられた理由の1つと言えます」

また、個包装としたことは、時代の変化に対応できた理由にもなったと田中さんは話す。1980年以降普及したコンビニエンスストアやスーパーマーケットでの取り扱いが可能となったからだ。

「パッケージに賞味期限や原材料表示ができたため、駄菓子屋以外でも、コンビニやスーパー、最近ではうまい棒の発送単位である30本を袋売りするディスカウントストアや、ゲームセンターの景品など、さまざまな売り場に対応することができました。駄菓子屋自体は減少しましたが、市場の変化に柔軟に対応できたことが安定した売り上げにつながりました」

田中さんによると、うまい棒の出荷本数は直近で年間約7億本。単純計算で約70億円を売り上げるヒット商品は、現在では当たり前となった個包装を先駆けて採用したことが功を奏したのだ。

うまい棒といえば…の「めんたい味」が爆発的ヒット、ルーツは“九州の居酒屋”

うまい棒が他の駄菓子と一線を画したもう1つのポイントが、豊富な味のバリエーションだ。1979年にソース味、サラミ味とカレー味を発売し、1980年にはチーズ味、バーガー味、やさいサラダ味がラインアップに加わった。

「種類が増えると選ぶ楽しさが生まれますから、1つの味ではなくいろいろな商品を増やしていこうという方針は当初から引き継がれています」

新たな味の開発でも、スナック菓子によくある味では面白くないと考え、あえてユニークな味を選んで作り続けているという。

「弊社が製造メーカーに『こういう味でどうでしょう』というものを提案し、試作していただいたものを一緒に調整して新しい味を開発しています。中には当初想定した味にたどり着かないものもあります。ですので、Aという料理の味を作っていたとして、『むしろBに近いんじゃないか』と思ったらB味に切り替えて発売した、というものもあるんです。おいしい味、面白い味を作ろうというスタンスなので、商品開発の振れ幅は大きいですね」

うまい棒ならではの味が数多く存在する中でも、1982年に発売され現在は定番となっためんたい味は、うまい棒の知名度を押し上げるほど爆発的に売れた商品だという。

「めんたい味発売当時、明太子は九州のご当地食品として関東ではまだ馴染みのない食べ物でした。弊社の社員が九州に出張した際、地元の居酒屋で食べた明太子の味に感銘を受けて『明太子味で作れないだろうか』と考えて生まれたのがめんたい味なんです」

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