スープに納得がいかない日は営業しない! 頑固なラーメン「六等星こってり」とは?

横浜ウォーカー

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2019年11月7日に川崎市・稲田堤にオープンした「麺や 六等星」。オープン当初から、店の公式SNSで「スープが不出来の日は営業いたしません」、「スープが完成して味合わせが完了するまで店を開きません」と公言してきた。オープンから3か月が経った今も、その姿勢を貫くラーメンの秘密に迫る。

「六等星こってり」(780円)を差し出す店主の井上大士さん。スープの味を固定するのではなく、「その日に自分が一番おいしいと思った味」を提供する(C)KADOKAWA 撮影= 吉澤広哉


豚骨の旨味を極限まで追求した、唯一無二の濃厚ポタージュスープ


店主が編み出したオリジナルの看板メニューが「六等星こってり」(780円)。そのスープの出来にとにかくこだわっている。

用いるのは豚骨オンリー。ゲンコツ、頭骨、背ガラ、豚足とあらゆる部位を長時間ガンガンに炊き上げている。さらにその途中、何度もガラを継ぎ足し、濃度を極限まで追求。そうすることでスープは次第にトロミが出てきて、色もチョコレートのような焦げ茶色になっていく。

毎日営業開始ギリギリまで炊き続けるスープは旨味がギッシリ。それでも店主の井上大士さんが納得のいく味になっていないと営業を取りやめる。

「スープの味に確固たる正解はありません。その日に自分自身がうまいと心底思えた時のみ、営業するようにしています」と井上さん。まるで昭和の頑固職人のような気質で、スープに対して一切の妥協を許さない。

そんなこだわりのスープに合わせるのが醤油ダレ。たまり醤油と薄口醤油をブレンドしている。醤油本来の芳醇な香りとキレがあり、濃厚豚骨スープとマッチ。こってりと濃厚ながら、ほんのりと甘味があり、不思議とくどくない。

そしてもう一つの自慢が店内で仕込む自家製麺。北海道産と長野産のブレンド小麦とオーション(強力粉)を独自に配合した太ストレートで、濃厚スープに負けない存在感を放つ。うどんのようなモッチリとした食感で、噛むほどに小麦の風味が増していく。普通盛りで200gと食べ応えも十分だ。

<ラーメンデータ>

【ラーメンデータ】<麺>太/角/ストレート+手もみ <スープ>タレ:醤油 仕上油:鶏油 (チーユ)・背脂 種類:豚骨

【写真を見る】「六等星こってり」(780円)。茶濁色のスープはとろみがあり、ポタージュのよう。ガツンと濃厚な味わいだが不思議とくどくない。提供時にニンニクの有無を選択(C)KADOKAWA 撮影= 吉澤広哉


スープは豚骨100%。ゲンコツや頭骨、背ガラ、豚足とあらゆる部位を大量に用い、長時間強火で炊き続けている。ドロリととろみがあり、豚の旨味がたっぷり(C)KADOKAWA 撮影= 吉澤広哉


自家製麺も自慢。厳選した国産小麦とオーション(強力粉)を独自に配合している。加水率が高めでモッチリとして食感が楽しめる(C)KADOKAWA 撮影= 吉澤広哉


チャーシューは大判のバラロール。醤油ダレでじっくり煮込んでいてふんわり柔らか。噛むと肉の繊維がスーとほどけ、甘い脂が舌の上で溶けていく(C)KADOKAWA 撮影= 吉澤広哉


「六等星こってり」というジャンルを確立するのが店主の夢


「六等星こってり」は豚骨100%スープだが、九州豚骨とも横浜家系ともまったく異なる。九州豚骨よりとろみがあり、豚骨の濃度も圧倒的に高い。その一方で横浜家系のように醤油ダレの塩分濃度が主張することなく、ほんのりと甘味も感じられる。

そんなオリジナルラーメンを編み出した井上さんは、東京・八王子野猿街道の超有名店出身。大学生の時からアルバイトを始め、卒業後も修業を重ね、27歳の若さで独立して「麺や 六等星」を立ち上げた。

「豚骨スープ」「自家製麺」「ボリューム満点」というキーワードは、修業先の代名詞でもあるが、それとは似ても似つかない「六等星こってり」で勝負を仕かけた。

「通常のラーメン店には完成系のスープがあり、ブレをなくして毎日その味を目指していると思いますが、『六等星こってり』には同じ味は2つとない。僕自身がその日一番おいしいと思ったスープが正解なんです。なので味が変わるのは決してブレではありません。自家製製麺も同じ。日によって小麦の配合や太さなどを変えています」。

メニューは基本の「六等星こってり」のほか、つけ麺やまぜそばなどの限定も日替わりで登場する。「いつか『六等星こってり』というジャンルを確立して広めたい」と語る井上さん。その夢に向かい、「スープが不出来な日は営業しない」という信念のもと、スープと真摯に向き合う。

毎日営業開始ギリギリまで味を調整しているため、営業時間が変更になったり、臨時休業になったりすることがあるので、来店の際は公式SNSで確認しよう。

本日の限定の一例「六等星つけめん」(800円)。「六等星こってり」のスープに、煮干しとカツオ節を加えた濃厚魚介豚骨。カツオ油も効き、香り豊か(C)KADOKAWA 撮影= 吉澤広哉


開店直前までスープを炊き続ける店主の井上さん。自分の納得の行く味を追求し、「いつか『六等星こってり』というラーメンのジャンルを確立したい」と語る(C)KADOKAWA 撮影= 吉澤広哉


店内はカウンターのみ。木目調の明るい店内で清潔感がある。店内の一角には製麺室も併設している(C)KADOKAWA 撮影= 吉澤広哉


JR稲田堤駅から徒歩数十秒とアクセス抜群。「六等星」とは最も暗い星のことだが、「一等星(有名店)に負けない輝きを放ちたい」という店主の思いが込められている(C)KADOKAWA 撮影= 吉澤広哉


【取材・文=河合哲治郎/撮影=吉澤広哉】

横浜ウォーカー編集部

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