最新アルバム「命結=ぬちゆい」をリリースした加藤登紀子が震災のこと、自身のことを語る!(その3)

関西ウォーカー

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(2の続き)

-切ない!

その時わたしはね、まだ歌手じゃなかったけれど「やった!」て思ったの(笑)。この手紙をもらったら、大急ぎで「そうだったのか!」てなるんじゃないかな~?て思ったのよ!

だけど私の予想とは大きく外れて、一週間くらい彼からの返事はこなくて、そのあとで正真正銘のお別れがきてしまうんだけど。でもそういうようなものよね?詩を書きながら、「届くかな?」っていう(笑)。そう思いながら言葉って発信してるじゃないですか。曲ってね、やっぱり作りながら「この曲生まれた!」という手応えが得られるときと、「まだ生まれるには至ってないな」という、すごく微妙な状況があるんですよ。曲が完成するっていうのは、ひとつの運命なんですよ。別のメロディーだってあり得るんですよ。だけど、この歌詞で決定だ!っていうのは、子供が生まれるようなものよね。だって子供生まれちゃったら取り替えられないし(笑)。だけどその前のちょっとした躊躇というか、もう生まれるのか、まだお腹のなかに入れておきたいのかっていうね(笑)。「命結ーぬちゆい」という曲は、そういう意味ではすごく試行錯誤の果てに出来上がった曲で、結果、一番最初に出来たメロディーに戻ったんですけれども、最初の時点でもう誕生してたんだね。やっぱりその瞬間に、状況とかいろんなことが交差して出来上がるものっていうのはいいですね。いいですし、大事。

-今年のFUJI ROCKで、YMOの面々とご出演されていたましたね。

アトミックカフェという、84年に始まって87年で終わってしまった音楽フェスがあったんですけど、今回はこういう事が起こったので、今こそアトミックカフェを復活させるべきだと思い、主催者の方に連絡したんですよ。そうしたら、来年はアトミックカフェを開催する予定なんだけど、今年はちょっと難しいので、急遽FUJI ROCKでの開催になったんですよ。小さい会場だったんですけど、すごくたくさんの方が聴きにきてくださいましたね。86年にはチェルノブイリがあって、いよいよ大変だった時期でもあったから、87年に会場を日比谷の野音からよみうりランドに移して2万人くらい集めようとしてたんだって。そしたら2千人くらいしか来なくて、それが原因でアトミックカフェが終わってしまったんだって。私は84年の第1回目に出たんだけど、その時は尾崎豊さんも出られてたのよ。それで、この間のFUJIROCKの時にブーステント内でその時の映像が流れていたから見てたら、ちょうど尾崎豊さんがイントロで登場された時にステージから落っこちて、骨折したまま歌ってらした姿だったの(笑)。その時、私は舞台の袖では見ていたんだけど、何だか嬉しそうに歌っている姿が映像に残っているなんて驚きました。

-今回のアルバムでもそうですが、ゴスペラーズやMONGOL800のキヨサクさんなど、ジャンルとキャリアを超えたコラボレーションも多いですね。

うん、何かと知らないこととかわからないことに触ってみるのが好きなんですね(笑)。やっぱり気が弱いので、基本的に(笑)。小心者なんですよ。小心者ってどういう事かと言うと、登校拒否児みたいなもので、決められた時間に決められた場所にいなさいって言われると萎縮しちゃう、みたいなね(笑)。だから学校の扉をあけるのはいつもなんとなく、嫌でしたね。それで、好きになるにはどうしたらいいんだろうって考えたときに自分の好きな、居心地の良い空間にすればいいんだって気付いてからは、「苦手だな」とか「嫌だな」という事にほど直接触れるようにしていますね。出来るだけ直接触るように。年齢の違いだって何だって、お互いの距離を縮めて触れ合えば、ある意味では一番それが超えられることだと思うのね。不得意というのは悔しいくらいやりたい事だったりするんですよね。小さい頃は図画工作と、あと音楽がとにかく不得意でね(笑)。

-音楽も?意外ですね。

そうなの(笑)。何で嫌いだったかっていうと、出来ない自分に物足りなくて満足できなくて、それで嫌いになっちゃうんでしょうね。ピアノを習いなさいっていうのも断っていたくらい。「私は音楽やらない!」て言ってましたから(笑)。今になって考えると「惜しいことしたな~」って思うけど(笑)。

-笑。ほろ酔いコンサートもスタートしますね。そういえばなぜ「ほろ酔い」なんですか?

ほろ酔いはね(笑)、最初は、東京の日劇ミュージックホールで「加藤登紀子22時」という深夜コンサートをやった時に、時間帯もあってお客さんにお酒を飲んでもらったんです。幕があがってみたらもう客席みんな大トロになっちゃってて(笑)。それでもう、「私も飲んじゃえ!」みたいなね(笑)。「飲んでなきゃやってらんないわよ!」ていう感じでね(笑)。それが私がステージでお酒を飲んだ最初です(笑)。そしたらもう、飲んでみたら楽しいじゃないの(笑)。なんで今までやってなかったのかしら!って(笑)。一頃はテレビで歌うときにも持っていってましたけど、気が小ちゃいものですから、今は自制するようになりましたけど(笑)。

-笑。ステージングはどのような内容を考えていらっしゃるんですか?

すごくシンプルという部分もありますけど、2部構成で内容は変えていますね。1部はそのままの”加藤登紀子”。2部は”歌手・加藤登紀子”という感じで。1部は普段の私をそのままスライドした部分をお見せできればなと思っていて、2部のほうでは音楽でどこまでいけるかという。お客さんのなかには日常を持ってきている方がたくさんいらっしゃるので、そこで突然飛躍した世界を見せるというのは、私としてはあまり好きではないので、2時間という短い時間のなかで少しずつ飛躍していきたいんですよね。幕を一度閉じて、再びあくとまた違う世界が広がっているというような。CWニコルさんや山折哲雄さんなど、私が尊敬して止まない傑物の方々とのトークショーもあります。山折さんに関しては、最初はあんな偉い方がほろ酔いコンサートに来てくださるのかしら…なんて思ってましたけど、ふたつ返事でOKでした(笑)。本当に傑物ですからね、彼は(笑)。

-楽しみにしてますね。今日はありがとうございました!

※最初から読む場合は「その1」へ!

http://news.walkerplus.com/2011/1019/22/

【取材・文=三好千夏】

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