酒女倶楽部の日本酒レポート 14本目~「富久長 八反草」(広島県・今田酒造本店)~
関西ウォーカー
ず〜っと行きたかった蔵がありました。それが今回紹介の今田酒造本店(広島県 http://fukucho.info/)。こちらの杜氏さんは、女性です。しかもかっこいいお姉様だと聞いております。そしてこの蔵が醸しているのが「富久長」という銘柄です。
この蔵を知ったのは、とある酒友の方から「広島のうまい酒といったら、ここの蔵だよ」と教えてもらったこと。さっそくホームページを見てみたら、見慣れないお米の名前がありました。「八反草」。八反は八反でも「八反錦」というお米があって、これは広島の酒米としてけっこう有名。でも「八反草」はまったく聞いたことがありませんでした。それもそのはず。このお米は、育てるのが難しく、ほぼ栽培されていない「幻の米」。これを使ってお酒造りをしているのが、今田酒造本店。伝説の酒米を女性杜氏がかもすなんて、すてきじゃな〜い♩ということで、広島に出張で出かけたとき、手に入れようとしました。
ですが…。おいしいお酒というのは、ファンがちゃんといて、出た瞬間、飛ぶように売り切れてしまうのです。だがしかし!酒女はそんなことではあきらめません!先日、またまた広島に行く機会があったので、「今度こそ!」と酒屋さんを回りました。ところが、このお酒は限られた酒販店でしか入手できないというんです。「待てよ。ならば、蔵に直接行けばいいんだ〜!」。ええ、あきらめませんとも。いっしょにいたお酒の飲めない友達に「行きたい行きた〜い」とわがままを言い、ついに蔵を訪問することができました。
いやあ。蔵はいい。蔵に行くだけで、日本酒への愛情がよく分かります。あいにく仕込みの真っ最中だったので、女性杜氏さんは出て来られませんでしたが、杜氏さんのお母さんがわたしたちのお相手をしてくれて、娘がいかに酒造りに燃えているかを話してくれました。こだわっている人の話を聞くと、気持ちが新たになるし、元気が出る。またまた日本酒が大好きになりました。
あっと。肝心のお酒のお味ですね。はい。蔵に行ってゲットしたのは、そりゃもう当然「八反草」で醸したお酒。最初、純米吟醸を買おうとしたのですが、杜氏のお母さんが「純米酒がおいしいですよ」とすすめてくれたので、それを購入。純米吟醸のほうが単価的に高いのに。なんて良心的なんだ…。八反草のお酒を飲んでみて、まず感じたこと。それは「なんて男前でいて、美人なんだ」ということ。繊細ではかなげな味わいと、力強い味わいが共存しているんです。不思議に広がる美味のハーモニーが、とっても面白いお酒です。
蔵の女性杜氏さん、まだお会いしたことはありませんが、日本酒を愛し続けていれば、きっといつかは会える。その日を楽しみに、今夜もまた、おちょこをお口へと運ぶのです。
甘さ度★★★☆☆ 辛さ度★★★☆☆ 女性度★★★☆☆ 男性度★★★☆☆
◆合う料理:酒粕鍋、野菜の煮物◆このお酒を芸能人に例えると…男っぽくてカッコいいんだけど女性の魅力もたっぷり。宝塚出身の“男前美女”「天海祐希」さん!※甘さ辛さ度、女性男性度、合う料理は、すべて高野の独断と偏見です。
【文・写真=酒女倶楽部・高野朋美】
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