牛だけじゃない!豚、鶏、魚…“熟成”最前線レポート

東京ウォーカー(全国版)

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牛肉の“熟成肉ブーム”以降、さまざまな食材に“熟成”のブームが飛び火している。豚や鶏、さらに魚まで、ちょっと心配になる食材(!?)も熟成されているというブームの最前線を追った。

乾燥熟成(ドライエイジング)された牛肉。表面のカビをそぎ落として食べる


全国の焼き肉店やステーキ店において、すっかり目玉商品としての地位を確立している熟成肉。温度や湿度を徹底管理した貯蔵庫で40日前後も寝かせることで、独特のうま味や風味を引き出しているのが特徴だ。

いまだに納豆やチーズの友達だと思っている読者はご注意を。“熟成”とは素材自身の細胞に含まれる分解酵素の働きを促すことで、微生物の力を借りる“発酵”とは違うのだ。いかんせん腐敗のリスクと隣り合わせのため、高品質な牛肉に対してのみ行われることが多く、鮮度落ちが早い鶏肉や豚肉などでは行わないのが常識だった。

東京・中目黒のかさぶたは、蔓幻豚のドライエイジングを堪能できる貴重なワインバー


ところが、豚肉にも熟成モノがないわけではない。牛肉と同様の高度なドライエイジングを施すことに成功した静岡県の萬幻豚(まんげんとん)や、氷点下でも凍らない氷温熟成技術を持つ群馬県の氷室豚(ひむろぶた)などが“熟成豚”の代表格。

どちらも、豚肉ならではの風味や甘味が最大級に引き出され、柔らかさも別格だ。数年前から出回り始めているものの、牛肉の熟成肉ブームの影響で注目されるようになった。

上質な鶏もも肉を時間をかけて熟成することで、うま味を引き出している焼鳥YAMATO北新地


さらに、牛肉や豚肉より水分が多く、腐りやすい鶏肉にも熟成モノがあるという情報をキャッチ。発信源は、大阪市にある焼き鳥店、焼鳥YAMATO北新地だ。新鮮な肉から、一定期間寝かせて余計な水分を抜いた「フサンダージュ(熟成鶏)」の方が、本来のうま味が増すというのが店主の考え。特にそれが顕著に表れるもも肉の網焼きは、同店自慢の一品になっている。

今年3月に東京の三軒茶屋にオープンした「串屋番鶏」も、「秘伝の熟成床」に数日間漬け込んだ熟成品を使用。鶏肉の常識を覆す先駆者が登場し始めているのだ。

【写真を見る】見た目は普通?うまみが凝縮された熟成魚場 福井県美浜町の熟成魚の刺し身


そして、最近は魚にまで熟成ブームの波が到来!東京を中心に、熟成されたネタを扱うすし店の存在が脚光を浴びている中、今年6月、東京日本橋タワーに福井県美浜町公認の“アンテナショップ居酒屋”熟成魚場 福井県美浜町がオープンした。

「熟成食べ比べ 美浜の刺身盛り」(1080円)など、熟成魚を中心としたメニューが特徴だ。実は、現地では昔から食べられている料理で、新鮮な魚を寝かせることで、タンパク質がアミノ酸へと分解され、うま味が引き上げられるという。鮮度の高い刺し身とは違う、ねっとりムチムチな歯応えも斬新で、次にはやる熟成モノの本命として注目度が急上昇中だ。

VAMPIROの看板メニューである熟成魚を使ったカルパッチョ(980円~)


熟成魚を扱うのは、寿司店や和食店ばかりではない。2014年11月にオープンしたイタリアンバルのItalian Bar VAMPIROは、最長で30日も熟成した魚を使っていることで知られる。

同店は「神経締め」という方法で締めた魚を仕入れている。水揚げした魚が生きているうちに血抜きをする締め方の一つで、死後硬直が遅くなり長期間熟成しても身が新鮮に保たれるのだ。内臓などを丁寧に洗い、適度な温度で管理することで、時間の経過とともにうまみ成分のイノシン酸が増える。すると、驚くほど味わいが濃厚になり、食感がモチモチに。カルパッチョなどのシンプルなメニューで、熟成魚のうまみを存分に堪能させてくれる。

くら寿司の「熟成まぐろ」。こだわりの熟成に、解凍を施してうま味が凝縮されているそう


ちなみに、熟成したネタを売りにする都内の有名寿司店に行くと、コース1人前で1万円は覚悟する必要がある。敷居の高い最上級ランクよりも、コスパを重視したいなら、回転寿司チェーンのくら寿司がおすすめだ。2013年8月に定番人気商品「まぐろ」を、独自の製法でうま味を凝縮させた「熟成まぐろ」としてリニューアルしている。

従来の「まぐろ」に比べて販売数も1.5倍に伸び、今では不動の人気NO.1商品に。値段は一皿100円。熟成まぐろや熟成中とろ(一貫100円)も提供しており、いずれも手軽ながら深みのある味わいが楽しめる。

熟成魚は、家庭で作ることも不可能ではない。マグロの場合は、まず刺身用の切り身を乾いた布で表面の水分を拭き取る。キッチンペーパーでしっかり包むみ、空気を抜いて密閉したら、冷蔵庫のチルドルームで寝かせるだけ。熟成期間は素材の状態によりけりだが、おおむね1日から5日程度だ。

果敢に挑戦するのであれば、空気に触れる面を減らすためにも、マグロは柵で用意するのが基本。水分が大敵なので、しっかりと拭き取るべし


しかし、「楽勝でしょ」と本誌ライターが挑戦したところ、大失敗。2日目の朝までは食感の軟らかさと多少の味の変化を感じたものの、その後一気に劣化した。スーパーマーケットで購入した安い切り身だったため、すでに解凍から一定の時間が経っていたのが敗因の一つ。極端に言えば自分で釣るなど、どれだけ新鮮&上質なネタを用意できるかがカギとなるようだ。【東京ウォーカー/記事提供=週刊ジョージア】

※記事の内容は、無料スマホマガジン「週刊ジョージア」から一部抜粋、再構成したものです

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