【漫画】まるでキン肉マンの“ダメ超人”?「一番才能がない」男がギャグ漫画家の登竜門・赤塚賞で29年ぶりの入選者になる物語

東京ウォーカー(全国版)

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ウォーカープラスの新企画ウォーカービズでは、ビジネスシーンはもちろん、プライベートの“質”を向上させる「知って得する仕事の話、人生の話」をフィーチャー。当企画では、さまざまな業界で結果を残した“職人”たちにインタビューを行い、成長の分岐点となったエピソードや、人生の明暗を分けた決断の舞台裏を連載形式で紹介していく。

ギャグ漫画家の登竜門・赤塚賞で29年ぶりの入選者、おぎぬまXの半生を連載で紹介画像提供:おぎぬまX


【おぎぬまX物語】
記念すべき連載第1回に登場するのは、「山籠り、断食などハチャメチャな修業をした結果、ギャグ漫画家の登竜門・赤塚賞で29年ぶりの入選者になっちゃった人」として、TV番組『激レアさん』(テレビ朝日系)に登場して話題となった漫画家・おぎぬまXさん。破天荒な漫画家人生を歩むきっかけとなったターニングポイントについて聞いた。

『キン肉マン』の昭和な熱血ストーリーが“熱すぎて新鮮”だった

「なら諦める」画像提供:おぎぬまX


――おぎぬまXさんが漫画家を目指すようになったきっかけは?

【おぎぬまX】ゆでたまご先生の『キン肉マン』と、荒木飛呂彦先生の『ジョジョの奇妙な冒険』、この2作との出合いが漫画家を目指すきっかけでした。どちらとも中学時代に出合っていて、あまりにもおもしろすぎて、他の漫画が読めなくなるぐらいの衝撃でした。

――おぎぬまXさんが中学生(2002年~2004年)のときは、『キン肉マン』の連載が終了してからずいぶん経っています(1987年連載終了)。

【おぎぬまX】中学時代、よっくんという友人がロッカーに漫画をめっちゃ敷き詰めていて、「よっくん図書館」と名付けてクラスメイトに貸し出ししていたんですよね。その中にたまたま『キン肉マン』が混ざっていたんです。誰かに強くすすめられたわけでもなく、本当に偶然読んだというか。クラスの中でひとりだけ、自分が生まれる前に連載が終了していた『キン肉マン』にハマるっていう“突然変異”したような気分でした。

――2000年代のジャンプの人気作品といえば『NARUTO』『ONE PIECE』『BLEACH』などでしょうか。『キン肉マン』に興味を持つ人は少なかったのでは?

【おぎぬまX】そのころは『DEATH NOTE』が流行っていて、同時期に『HUNTER×HUNTER』『BLEACH』『D.Gray-man』『魔人探偵脳噛ネウロ』といった、ダークな世界観をベースにしたクールな漫画が流行っていました。だから、『キン肉マン』のいかにも昭和な「友情・努力・勝利」を描いた熱血ストーリーが、逆に“熱すぎて新鮮”だったんです。

夢を隠した小学生時代「漫画家を目指す=オタク、オタク=陰気というイメージだった」

「死神」画像提供:おぎぬまX


――漫画を描きはじめたのはいつごろですか?

【おぎぬまX】僕は中学3年生までボーイスカウトをやっていて、週末は親の監視もなく、子供たちだけの状況でキャンプばかりをして過ごしていました。同期にカマクラとカサイという友人がいまして、その2人がやたらと気が合うなと思っていたんですけど、腹を割って話をしたら全員たまたま漫画家を目指していたんですよね。

――すごい確率ですね。

【おぎぬまX】そうなんです!僕が小中学生のころって、「漫画家を目指している」ってそう簡単に言えない空気感がありました。まだ世の中に、漫画家を目指している=オタク、オタク=陰気というイメージがあったんです。

――2008年から週刊少年ジャンプで連載された『バクマン。』の影響で漫画家を目指す人がかなり増えたようですが、それ以前はまだまだオタクへの風当たりも厳しかったですし、「漫画家を目指す」と周りに打ち明けられなかったのもわかります。

【おぎぬまX】今はオタクカルチャーが“一般化”しましたが、2000年ごろは漫画家を目指しているってバレたらちょっと恥ずかしいみたいな風潮が僕の周りではあって…。だから3人とも夢を隠していたんですけど、3人でキャンプをしたときにテントの中で語り合ったら、たまたま3人とも漫画家を目指していたという奇跡が起きて。

それで、キャンプのときはそれぞれ漫画を描いて持ってきて、懐中電灯の灯りひとつで漫画の回し読みをしていました。3人の中で表現力が豊かなのは誰?画力が高いのは?オリジナリティがあるのは?って討論しあったり、わけのわからないことをしていました(笑)。

――将来、おぎぬまXさんがビッグになって、「おぎぬまX物語」がドラマ化した際はよいエピソードになりそうですね。

【おぎぬまX】確かに漫画家人生としての序章ではあると思います。成人するくらいまでの間は、その2人以外に「自分が漫画家を目指している」ということは言っていなくて、それこそ家族にも隠れて漫画を描いていました。同じ部屋の兄弟が寝静まったら、コソコソと漫画を描きはじめ、万が一、描いている漫画が見つかっても「友人が描いた漫画だから」と言い訳できるように、漫画の作者名も「伊藤」というクラスメイトの名前を勝手に使っていました。

3人の中で“一番才能が無かった”おぎぬまX、それでも漫画家を目指した理由は?

「だるまさんがころんだ」画像提供:おぎぬまX


――中学卒業後も、3人は漫画を描いていたんですか?

【おぎぬまX】はい。当時は画力も低く無謀なことは承知でしたが、「高校を卒業するまでにはジャンプに持ち込みに行こう」って3人で決めていました。

――これもいいエピソードですね。

【おぎぬまX】週刊少年ジャンプの編集部は神保町にあるんですけど、そんな遠出をするのも初めてで本当に緊張しましたね。

――編集者が目の前で、原稿をものすごい早さで読むって話は本当ですか?

【おぎぬまX】そうなんですよ、本当にもう一瞬で終わっちゃって…(苦笑)。当時はボールペンで描いていたので、「まずボールペンで描くのやめようね」からはじまって(笑)。持ち込み前は、「編集者に3人の中で誰の漫画が一番おもしろかったか聞こうぜ!」って息巻いていたのに、緊張しすぎて全員無言でした。本当に一瞬で持ち込みは終わって、3人で神保町をフラフラ帰るみたいな。そのときの敗北が影響したのか、僕以外の2人は漫画を描かなくなっちゃいました。それ以降は2人と会う回数もしだいに減っていきました。仲良し漫画トリオが、たった一回の持ち込みの敗北で崩壊してしまったんです。

――ズバっと自分の才能を否定されるって厳しい体験ですよね。

【おぎぬまX】でも、僕は大学生になってもしぶとく持ち込みを続けていて、ジャンプがダメならって、講談社、小学館、秋田書店にも行きましたし、漫画雑誌「ガロ」とかで有名な青林堂とか本当にいろんな出版社に行ったんですけど、やっぱりどこも瞬殺でした。そもそも3人の中で僕が1番漫画が下手で、2人から「おぎ(僕のあだ名)はオリジナリティがあるよね…」って、ちょっと気を使われるぐらいだったんです。皮肉なことに一番才能がないって思われていた僕が、漫画家の道を目指し続けるという。

それこそ編集者から「もう漫画向いてないんじゃないかな」とか、「落ち込んだときのキャラがいいから役者とか芸人のほうが向いてるんじゃないの?」とか言われたりもして。それを僕は結構真に受けちゃって、「じゃぁちょっと芸人やってみようかな」って本当に思っちゃって。

――おぎぬまXさんの経歴に「芸人」とある理由はそこなんですね。

【おぎぬまX】そうなんです。大学生のときにナカガワっていう劇団員を目指している友人がいて、彼とは1年のときから仲がよかったんです。で、お互いが大学4年生になっても、漫画家、劇団員としてまったく芽が出なさすぎて、じゃあ可能性を探る意味で2人で芸人に挑戦してみようってなりました。漫画家を目指してたヤツと劇団員を目指してたヤツがいきなり芸人目指すって、今思うと結構な決断したなぁと思いますね。当時、周りはもう就活をしていましたから。ということで、“大学生の間”という期間限定でしたが、お笑い芸人としてコンビを組むことになったんです。
※第2回につづく

■プロフィール
【おぎぬまX】1988年生まれの32歳、東京都町田市出身。
【受賞歴】
・2019年12月:第91回赤塚賞入選「だるまさんがころんだ時空伝」
・2019年12月:第22回にいがた漫画大賞『一般部門 コママンガの部』奨励賞「おぎぬまX 4コマワークス」
・2020年3月:ジャンプ小説新人賞2019『小説フリー部門』銀賞「地下芸人」

画像提供:おぎぬまX(@oginuma_x)

「アリバイ」画像提供:おぎぬまX

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