「なぜ女性の下ネタはNG?」タブー感が強い女性の性を描く、祖父江里奈プロデューサーの“刺さる”作品づくり
東京ウォーカー(全国版)
女性の性に関する作品を作ったのは怒りのような感情から
――ここからは祖父江さんご自身について伺っていきたいと思います。“カジュアルなエロ”という表現もされていますが、女性の性を扱った作品を作ろうと思ったのはどんなきっかけがあったのでしょうか?
【祖父江里奈プロデューサー】大学生の頃にサークルで演劇と映画をやっていたんですが、「なぜ女の子は下ネタを言ってはいけないのか」という半ば怒りのような感情から、女の子の性に関する作品を作っていました。男の子は楽しそうに下ネタを言い合って笑っているのに、女の子が言うと「お前、そういうこと言うなよ」みたいな反応をされるのがおもしろくないというか、悔しいなって。それが原体験といいますか、創作のモチベーションになっていると思います。
ただ、テレビ東京では新人はバラエティー番組の部署にしか配属されないんですね。それでドラマともエロとも全然関係ない番組を作り続けていたんですけれど、10年越しに異動希望が叶って、もともと作りたかったものをようやく形にし始めたというような感じです。

女性向けのエロは「テレビ東京だからできるんじゃない」
――テレビ東京でドラマを作りたい、という思いで入社されたんですか?
【祖父江里奈プロデューサー】本命は別のテレビ局でした(笑)。私が入社する少し前にドラマ24の枠ができて「これから深夜ドラマを頑張っていくんだろうな」という気配はありましたけど、「勇者ヨシヒコ」とか「孤独のグルメ」とかで盛り上がったのは入社後だったので。そういうブランドがどんどん積み上げられていくのをうらやましく思いながら、横目で見ていましたね。そこに女性向けのエロっていうジャンルはなかったから、今思えばラッキーだったのかもしれません。
――テレビ東京は攻めた番組作りをしているイメージがあって、だから実現できたのかなと思っていたのですが。
【祖父江里奈プロデューサー】テレビ東京だからできるんじゃないんですよ。やろうと思えば他局の人たちだって絶対できるんです。でも、ほかにやるべき大きなコンテンツがいっぱいあるから。そこの人たちがあえて選ばないところを取りにいっているのがテレ東の番組で、女性向けのエロもそのひとつだったと思っています。
――女性の性を描くという部分で、周りから何か言われたり、ハードルになったりすることはありましたか?
【祖父江里奈プロデューサー】それはいっぱいありますよ。私は女性がもっと性を堂々と楽しめるような世の中にしたいと思っているんですけれども、受け取られ方はこっちでコントロールできないじゃないですか。“誰もが持っているけれど、オープンにしていない部分”を描いているのに、「このキャラクターは身近な女の子ではなく、特別にエロい子」だとか、「エロい人が好んで見るコンテンツ」というような勘違いをされてしまうことはやっぱり多くて。

内田理央さんが、性に奔放で5人のセフレがいる主人公を演じる「来世ではちゃんとします」も、“内田さんに過激なことをやらせている”という部分をフィーチャーされることがありますけど、そこを狙ったわけではないんですよね。それでも、「来世ちゃん」は概ね温かく受け入れてもらえているので、本当に良かったなと思っています。
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