コーヒーで旅する日本/九州編|そこに暮らす人たちの日常に、当たり前にある一杯を目指して。「nai」
九州ウォーカー
理想を導き出すための試行錯誤

「nai」では2022年5月現在、シングルオリジン3種、ブレンド1種の計4種のコーヒー豆をラインナップしている。焙煎度合いは浅煎り、中煎り、中深煎り、深煎りで、中深煎りだけは使用する豆は不定期で変わるものの、同店定番のブレンドとして販売。生豆は3つの仕入先を使い分け、さまざまな産地、生産処理の豆を焙煎している。「焙煎に関して、毎回100%納得、これで完璧だ、なんてことはなくて、試行錯誤の連続です。もちろん、お客様にお届けするものですから、中途半端なものは出せません。だから今の自分にできる100%を心がけて日々焙煎しています。そのために知識と技術、経験を積み重ねる意味で、あえて産地、生産処理は限定することなく、さまざまな生豆を取り扱うようにしています」と近藤さん。

ただ、どんな産地、焙煎度合いのコーヒーでも、重きを置いているのは、生豆が持っているポテンシャルをそのまま引き出す焙煎。クリーンカップに秀で、甘さを感じるコーヒーが近藤さんが理想とする味わいで、深煎りのコーヒーでも焙煎香はできるだけつけないよう心がけている。

また、コーヒー豆や水出しコーヒーなどを購入した客には、ドリンク1杯サービスを行っている。以前はカフェラテやエスプレッソも用意していたが、2022年1月からはりんごジュースを除き、ホット、アイスが選べるドリップコーヒーに限定。その理由を近藤さんは、「コーヒー豆を購入いただくお客様がご自宅で淹れる場合、ハンドドリップやコーヒーメーカーがほとんどです。エスプレッソマシンで抽出するシーンがほぼないと想定すると、ご自宅での再現性という観点から意味がないと考えました」と説明。つまり、“地域に根ざす”という考えを一貫しているわけで、近藤さんの意志の強さを感じられるエピソードだ。
日々の営みを考察し、未来へと繋げる

最後にこれからの展望を聞くと、「開業して約2年、一人で店を切り盛りしてきましたが、情報のインプット、アウトプットともに、ここで待っているだけではいけないと感じています。そういった意味から今後はイベントなどにも積極的に出るための体制づくりが大切。今年の6月ぐらいから新たにスタッフが働いてくれることになっているので、僕はさまざまな人たちと繋がりを作り、情報を取り入れ、自ら発信していくことにも重きをおいていきたい」と話してくれた。

近藤さんはいい意味で慎重だ。まず、コーヒーに関する自身の知識、技術を高めつつ、店の土台をしっかり固める。その間、ただ日々の業務をこなすだけではなく、次のステップへの準備を着々と進める。そうやって堅実にコーヒーと向き合う近藤さん。コーヒーを根付かせる地域を近藤さんのステージ(舞台)と捉えるなら、これからますます活躍の“舞台”を広げていきそうだ。
近藤さんレコメンドのコーヒーショップは「アルマロードコーヒー」
「アルマロードコーヒーのバリスタ・森さんは、もともとシアトル系コーヒーチェーンに同期で入った仕事仲間。僕と同い年なのですが、店を開いたのは僕より全然早かったですね。若い時から頑張っていて、純粋にすごいなと思っていました。僕が思う彼女の一番の魅力は人柄の良さ。森さんに会いにアルマロードコーヒーに通っている常連さんも多くいらっしゃると思います」(近藤さん)
【naiのコーヒーデータ】
●焙煎機/フジローヤル半熱風式5キロ
●抽出/ハンドドリップ(Kalitaウェーブ)
●焙煎度合い/浅煎り〜深煎り
●テイクアウト/サービスドリンクあり(ドリンク単体の販売はなし)
●豆の販売/200グラム1600円〜
取材・文=諫山力(knot)
撮影=大野博之(FAKE.)
※新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。
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