コーヒーで旅する日本/九州編|磨き続ける技術に加え、持ち前の感性で洗練された一杯を。「小さな焙煎所 花待ち雨珈琲」

九州ウォーカー

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全国的に盛り上がりを見せるコーヒーシーン。飲食店という枠を超え、さまざまなライフスタイルやカルチャーと溶け合っている。
なかでも九州はトップクラスのロースターやバリスタが存在し、コーヒーカルチャーの進化が顕著だ。そんな九州で注目のショップを紹介する当連載。店主や店長たちが気になる店へと数珠つなぎで回を重ねていく。

6席のみの小さなコーヒーショップ

九州編の第58回は、福岡市六本松にある「小さな焙煎所 花待ち雨珈琲(ほまちあめこーひー)」。“外待雨(ほまちあめ)”という局地的に降る恵みの雨を指す言葉が由来で、店を訪れた人々に少しでも幸せな気持ちになってほしいと名付けられた。“外”を“花”の当て字にしたのは、店主の安川佳織さんがどうしても花にちなんだ屋号を付けたかったからだ。そんな優しいエピソードが流れる「花待ち雨珈琲」だが、コーヒー業界ではハンドドリップの名手が営む店としても広く知られている。路地裏の古アパートの一室でひっそりと営む小さなコーヒーショップの過去、今、そして目指す未来とは。

店主の安川佳織さん。胸のワンポイントがオリジナルキャラクターのほまちちゃん

Profile|安川佳織(やすかわ・かおり)
福岡県福岡市生まれ。将来のことを考えていた20代で飲食の世界に興味を持ち、自家焙煎の喫茶店でアルバイトを始めたのがコーヒーの入口。店では接客をはじめ、コーヒーの抽出、さらには焙煎機にも触る機会があり、コーヒーの世界に魅了される。コーヒーのことをさらに深く学びたいと考え、とある縁から現在も一緒に店を営む坂梨さんと出会う。2017(平成29)年9月、無店舗で「小さな焙煎所 花待ち雨珈琲」を開業。週2回の間借りカフェ営業、月に1〜2回のイベント出店などを経て、2020(令和2)年1月に実店舗を六本松にオープン。

おっとりとした雰囲気の裏側には

安川さんはハンドドリップの名手

「花待ち雨珈琲」は屋号からどこか柔らかな印象を抱かせる。店主の安川佳織さん自身、とてもおっとりとした雰囲気で、イメージ通りの人だ。ただ、安川さんは2019(令和元)年のジャパン ハンドドリップ チャンピオンシップで全国4位、さらに2022(令和2)年10月に催された同競技会では準優勝に輝くなど、すごい経歴の持ち主。九州はもちろん、全国に名を馳せる凄腕のブリュワーだ。安川さんがハンドドリップの競技会に初めて挑戦したのは2017(平成29)年と、独立開業してすぐのタイミング。まずこの行動力に驚かされた。

ジャパンハンドドリップチャンピオンシップ2020では全国2位に輝いた

そのきっかけの一つとなったのが現在も一緒に店を営む坂梨さんの存在。坂梨さん自身もハンドドリップの競技会に出場した経験があり、ファイナリストまで残った実力者。言わば、坂梨さんは安川さんにとって師匠的な存在で、彼を通じて競技会が行われていることを知った安川さんはすぐに「私も出てみたい!」となったそうだ。普通なら「もう少し経験を積んでから…」「まだ早いかも…」と躊躇しそうなものだが、安川さんの場合、即行動。このエピソードを聞くと、おっとりとした雰囲気の裏側に、強い意思を持っていることはわかるというもの。さらに、3回目の挑戦となった2019(令和元)年の競技会で全国4位となり、新型コロナウイルスの影響で3年ぶりに開催された2022(令和4年のジャパン ハンドドリップ チャンピオンシップ2020では全国2位と、着実に実力を磨いていることは結果からも一目瞭然。日々相当な努力をしていることは言うまでもない。

コーヒーの世界観を広げた体験

豆はシングルオリジンのみで常時6、7種を用意

坂梨さんとの出会いからスペシャルティコーヒーを知った安川さんは「コーヒーを一生の仕事にしたい」と考え、その翌年には独立という道を選んだ。安川さんは「前職時代、焙煎にも携わっていましたが、温度も時間もすべてマニュアルに沿って行っていたので、どういう理屈で焙煎されているかは理解していません。ただ、店にある焙煎機を自由に使うことができたので、試しに生豆を自分で買って焼いてみたんです。それが、びっくりするぐらいおいしくなくて!ただの焦げた味のする苦い飲み物でした。そこで、焙煎の仕方によって味わいは大きく変わることを実体験として学びました。これがよりコーヒーの奥深さに触れた第一歩目。次の転機はスペシャルティコーヒーとの出合いです。今まで飲んできたコーヒーには感じたことのないフレーバーを持っているスペシャルティコーヒー。しかも産地や生産処理などによって、それがまったく違う。この体験が私のコーヒーの世界観をぐんと広げてくれました」と振り返る。

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