コーヒーで旅する日本/九州編|磨き続ける技術に加え、持ち前の感性で洗練された一杯を。「小さな焙煎所 花待ち雨珈琲」

九州ウォーカー

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メニューは王道からアレンジ系まで

店があるのは、六本松の古アパートの一室

安川さんの経歴からコーヒーツウも訪れるが、SNSをきっかけに来店するライトなカフェラバーが多いのも「花待ち雨珈琲」らしいところ。SNSには安川さんが考えた“ほまちちゃん”というかわいい女の子のキャラクターが多数登場し、ほっこりとした世界観を作り出している。

アレンジドリンクのマシュマロカフェラテ

現在、「花待ち珈琲」では抽出や接客を安川さん、焙煎を坂梨さんが主に担当。メニューは開業当初からほぼ変わらずで、ハンドドリップの珈琲(500円〜)、カフェラテ(550円)が定番のコーヒードリンク。さらにユニークな一杯として、マシュマロカフェラテ(650円)というドリンクもある。カフェラテにマシュマロを浮かべ、さらに表面をバーナーで炙ったオリジナルのドリンクで、SNSをきっかけにオーダーも多い店の看板メニューの一つだ。

ハンドドリップの珈琲は、豆が選べる

また、夏季限定で出す甘夏珈琲ソーダなど、シーズナルドリンクには安川さんが持つ確かな技術が随所に活かされる。実際、夏に味わった甘夏珈琲ソーダは、エアロプレスで抽出したコーヒーに自家製甘夏シロップをブレンド。コーヒーと甘夏特有のビター感が絶妙にマッチし、その組み合わせの妙に感動したのを覚えている。

豊かな感性でより魅力的な一杯に

競技会にもKalita ウェーブで出場

ジャパン ハンドドリップ チャンピオンシップ2020で全国2位となった安川さんの揺るぎない目標はもちろん日本一。次回の競技会に向けて、すでに安川さんの挑戦は始まっている。一方でエスプレッソマシンやエアロプレスなど、ほかの抽出器具を用いた競技会はあるが、安川さんがハンドドリップにこだわるのはなぜか。「ハンドドリップはお客さまにとって一番身近にある抽出器具なのが大きな理由です。私がブリュワーとして技術を磨けば磨くほど、お客さまにお伝えできることは幅広くなっていくと思っていて。また、ハンドドリップは湯温、抽出時間、豆の挽き目などでその豆が持つ甘味、アシディティ(酸)、質感を調整して、細部まで表現することができます。それが私自身、楽しいんです」と安川さんは微笑む。

【写真】店の前に置かれた看板やグリーンも温かみがある

レシピ通りに抽出することで、だれでもおいしいコーヒーを淹れることができるハンドドリップという抽出方法だが、「花待ち雨珈琲」をレコメンドしてくれたハンドドリップ日本一の珈琲カドの久保田洋平さんが、「彼女の淹れたコーヒーを飲んだ時、素直にすごいと思った」と言葉にしていたように、安川さんが作り出す一杯は、すべてが洗練されているように感じる。
「コーヒー農家の方々の研究、技術の研鑽を常に感じ、淹れ手として日々感謝しかありません。そんな一生懸命栽培されたコーヒー豆を最高に輝かせたい。いつもそんな思いを抱いてコーヒーと向き合うようにしています」
安川さんのこの言葉を聞いて、とても感性豊かな人なのだと感じた。作り手への感謝も一杯に落とし込むことで、味わいが昇華する。抽象的かもしれないが、そんな思いを日々持ち続けることも大切なのかもしれない。

ふんわり、とろりとした口当たりのクリームチーズケーキ、クレメダンジュ(450円)。レモンとバニラを加えたハチミツのソースで

2023(令和5)年には新たな焙煎機も導入予定という「花待ち雨珈琲」。現在は250グラムと小型の焙煎機、COFFEE DISCOVERYを使っているが、次はPROBATを検討しているという。「現在の焙煎機は一度に焼ける量の関係から、豆の種類を増やすのが難しかったのですが、サイズアップすることで、もっとたくさんの種類を扱えるようになる。それが楽しみで仕方ないんです」。目を輝かせてそう話す安川さんを見ていると、こちらもうれしくなってしまった。

安川さんレコメンドのコーヒーショップは「COFFEE UNIDOS」

「福岡県糸島市にある『COFFEE UNIDOS』。先日、店主兼ロースターの田中さんが焙煎したゲイシャ種のコーヒーを飲んだのですが、それがすっごくおいしくて。田中さんは生産国に自ら足を運び、生豆を仕入れていて、どのコーヒーも素晴らしいんです。私もいつか産地に行ってみたいと思っていることもあり、いろいろお話を聞いてみたいと思っています」(安川さん)

【小さな焙煎所 花待ち雨珈琲のコーヒーデータ】
●焙煎機/COFFEE DISCOVERY 250グラム
●抽出/ハンドドリップ(Kalita ウェーブ)
●焙煎度合い/浅煎り〜中深煎り
●テイクアウト/あり
●豆の販売/100グラム756円〜


取材・文=諫山力(knot)
撮影=大野博之(FAKE.)

※新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。

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