コーヒーで旅する日本/関西編|当意即妙のサービスで憩いのひと時を演出。風通しのいい“街のコモンスペース”。「common.」
関西ウォーカー
当意即妙のサービスは、“自分に似合う”空間作りから

店にある、あらゆるものを吟味したことで、「自分好みのお店になりました」という久米さん。「自分が良いなと思うものが集まった、セレクトショップみたいな感覚。“これ、いいですね”と聞いてもらえたら、店にあるものはすべてうんちくまで答えられますよ(笑)」と、打てば響く軽妙なトークと、物腰柔らかな接客が久米さんの真骨頂。ただ、一見、ゆったりと構えていながら、当意即妙のサービスを、さりげなく繰り出せるのは、持ち前の職人気質とプロ意識があってこそ。店内に置かれた器具の並びも、作業の所作や身のこなしの効率を求めた結果だ。
「あたふたとした動きより、理にかなった動きは見ていても心地よい。今のお店はニュージーランドみたいな忙しさにはなりませんが、オーダーを常に正確に、1分1秒でも早く出すことは、お客さんに喜ばれるので」。作業台兼カウンターに、分厚い一枚板を使ったのも、「スチーム後にミルクピッチャーをトントンと叩く時の音と感触も、金属などより断然いいんです」という理由から。道具の置き方も日々更新しているという細やかさが、この店の居心地の良さを支えている。

「誰よりも、この店に一番長くいるのは僕なので、自分が快適でないと、いいサービスはできない。その意味では、“この店が似合うね”と言われたのが一番うれしかったですね」。店という敷居をあまり感じさせない、穏やかで親密な空気は、むしろ、家に招かれたような心持ちでくつろげる雰囲気。中には、テイクアウトするつもりが、結局、店内で長居してしまうお客も。さらに、その心地よさは世代を選ばず、ご近所の90歳代の常連のお客もいて、時に店内で井戸端会議が始まることもあるとか。
「この界隈は、人の多い繁華街からギリギリ外れている絶妙なエリア。リピーターも徐々に増えてきてるので、ここに来るのを楽しみにして、目指してもらえるような場所にしていきたい」。老若男女の誰もが気軽に立ち寄れる和やかな憩いの場は、風通しのいい “街のコモンスペース”として、地元に根付きつつある。

久米さんレコメンドのコーヒーショップは「Beyond Coffee Roasters」
次回、紹介するのは兵庫県神戸市の「Beyond Coffee Roasters」。
「店主の木村さんは、Kurasuでバリスタをしていた時に、イベントのゲストとして来られて、偶然にも同じ大学出身だと分かったのが縁で、お互い店を行き来するようになりました。観光地の神戸・北野では珍しい、カジュアルなコーヒースタンドで、ちょっとおしゃべりに行く感じで、気軽に立ち寄れます。界隈に住む外国人のお客さんも多くて、海外からの旅行者にも人気の一軒です」(久米さん)
【common.のコーヒーデータ】
●焙煎機/なし(Kurasu、Coyote)
●抽出/ハンドドリップ(ハリオ)、エスプレッソマシン(VBM)
●焙煎度合い/浅煎り~深煎り
●テイクアウト/ あり(500円~)
●豆の販売/ブレンド1種、シングルオリジン3~4種
取材・文/田中慶一
撮影/直江泰治
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