【NMB48・出口結菜の#んーーまい大阪パン旅】オフィス街の名店「パンデュース」のおいしさの秘密に迫る!
東京ウォーカー(全国版)
冷蔵発酵のバゲット、レンコンが並んだタルティーヌ…見た目も楽しい5種のパン
ここからは、米山シェフがおすすめしてくれたパン5種が登場。パン作りでは一般的な、グラムでなくパーセントでレシピを表す「ベーカーズパーセンテージ」など聞き慣れない言葉に戸惑いながらも、ゆいなちゃんは一生懸命メモをとり、その都度質問していた。


まずは定番のバゲット。「パンデュース」のバゲットは2種類あるが、この日おすすめしてもらったのは、冷蔵発酵がポイントの「アドバゲット」(320円)。「通常、バゲットの生地は焼き上げる日に28度前後で発酵させますが、これは前日に仕込み、冷蔵庫で12時間以上じわーっと発酵させています。そうすることで、熟成して旨味が出てくるんですよ。全粒粉タイプの小麦粉を使っているので、香りも抜群。全粒粉など、灰分値(かいぶんち)が高い粉はミネラル分が多く、小麦の風味が強いんですよ」


「パンは甘いのばかり食べてきた」というゆいなちゃんに、「パンに詳しくなりたいのなら、いろんなお店でバゲットを食べるのがいいかもしれませんね。バゲットの材料は小麦、塩、酵母、水と、シンプルだから生地の味がよくわかります。生地がおいしいのがいい店だから、バゲットで店を選ぶ人がツウって言われるんですよ」と提案してくれた米山シェフ。「バゲットにはあまり詳しくない」と言っていたゆいなちゃんも、「パンドル(パンアイドル)を目指して、これからバゲットを食べ比べます!」と意気込んでいた。

兵庫県丹波市や京都、広島の農家から仕入れる野菜を生かしたパンが豊富にそろう「パンデュース」。特に人気が高い野菜のガレットは、キャベツ、オーガニックのジャガイモ・インカのめざめ、小松菜、新ショウガなど、季節によってさまざまな種類が登場するが、なかでも「きのこのガレット」(390円)は年間を通して置かれていることが多いそう。全粒粉100%の生地にシメジ、エリンギ、エシャロットのソテーがのって、食感も多彩。ゆいなちゃんは「エシャロットって何ですか!?」と興味津々に話を聞いていた。

「れんこんとスモークチキンのタルティーヌ」(490円)は、分厚くカットされた兵庫県産のレンコンが大胆に並ぶ姿にびっくり。「タルティーヌは、バゲットや食パンに具材をのせたオープンサンドのこと。これはバゲットの上にベシャメルソース、チェダーチーズ、スモークチキン、さらに塩茹でしてバルサミコ酢を垂らしたレンコンをのせて焼き上げています」と米山シェフ。見た目以上に盛りだくさんの内容に、ゆいなちゃんも「食べるのが楽しみ!」と大喜び。

定番のクロワッサン(300円)にも「パンデュース」らしさが詰まっている。「パイとクロワッサンの間のような食感です。全粒粉を少し入れているので、小麦の香りが強く感じられて、ちょっと大人っぽい味わいを目指しました。通常は生地を発酵させてからバターを折り込みますが、これは発酵させる前の生地にバターを折り込んでいます。また、折り込み回数が少ないので、層が少ないのも特徴です。パンらしくない、サクサクというよりバリバリとした音が楽しめます」


こちらは早速、ゆいなちゃんが実食。「食べた瞬間、バリバリバリーッて!香りがちょっと変わってますね。バターの香りですか?」と聞く鋭いゆいなちゃん。折り込むバターとは別に、焦がしバターを生地に練り込んでいるそう。「バリッとするからか、ポロポロこぼれなくてめっちゃ食べやすいですね」と、味や食感以外もしっかりチェック。笑顔でペロリと完食した。


クロワッサンをアレンジしたのが、「ピニオン」(270円)。「『ピニオン』はフランス語で松の実のこと。南仏では一般的に食べられるもので、フランスに行ったときのことを思い出して作りました。クロワッサン生地をザクザク切って、カップに入れて発酵させています。その上に、ダマンド(アーモンドクリーム)と松の実をのせて、ナッツのリキュールで香り付けしました」とシェフ。「なんふつ…?」と聞くゆいなちゃんに、シェフが「南フランスのことですね」と優しく答える場面も。

大学卒業後、神戸発祥のベーカリー「カスカード」に入社した米山シェフ。「学生時代にバイト先で料理人と関わっていた影響もあるんですけど、当時トライアスロンをやっていたので、それを続けるためには、早く始まって早く終わる仕事がよかったんです。パン職人って仕込みもあるので、早くは終わらなかったんですけど(笑)」と、意外なきっかけを教えてくれた。その後、本格的にパンの道に進むため、神戸の名店「コム・シノワ」へ。「いろんな人が働きたいと希望していて、入るまで半年待ちました。『コム・シノワ』は、やっぱり存在が圧倒的。この店があったから関西のパンのレベルは上がったし、なければここまで発展していないと思います。僕と同じ世代のパン職人は、ほとんどが影響を受けているんじゃないでしょうか」
米山シェフの独創的なパンの原点を作ったのは、このときに出会った2人のシェフの存在だという。「『コム・シノワ』は、自由な発想で素材を生かしたものを作る荘司シェフと、西川シェフ(現『サ・マーシュ』シェフ)のタッグで素晴らしいパンが生み出されていました。 現在も西川シェフと一緒にNPO法人を運営しているし、荘司シェフにも正月には挨拶に行きます。2人とも親のような存在ですね」

働き詰めの時期もあったそう。「技術職は、ギュッと仕事を詰めて経験を積む時期が必要だと思うんです。かなり厳しいですが、僕は大学で遊んでいたから、その分がんばれましたね。アイドルという職業もきっと、集中して仕事を詰める時期があると思うので、似ているなと思います」
「コム・シノワ」時代には、フランスをメインにイタリア、ドイツ、スイス、オーストリア、ルクセンブルク、オランダ、ベルギーをバックパッカーとして巡ったことも。「知り合いの紹介で、パン店で研修させてもらいました。当時はインターネットも普及していなかったので、1人で『地球の歩き方』1冊だけ持って。子供2人いたのに(笑)」と振り返る米山シェフに、「え〜、すごい!どこのパンがおいしかったですか?」と、ゆいなちゃんからは憧れの眼差しが向けられた。「シチリア島のパンは日本っぽいのもあっておもしろかったですね」とのこと。
そんな経験を生かした「パンデュース」の多種多様なパンは、季節などによって変わるラインナップも楽しみの1つ。特に人気のマンゴーやチョコレートを使ったパンは、一度に5種類など、ついたくさんバリエーションを作ってしまうんだとか。「全部僕がレシピを考えていますが、売り場では『あまり売れないから数を減らしてください』って言われたり(笑)、反対に『もっと作って』と言われたりしています」
「イチから新しいものを作るということは何年もかけてやってきたので、今は少しずつ改良したり、去年出した商品をアレンジしたりという段階です」と話してくれた米山シェフ。“小麦を愛す女子”として走り始めたゆいなちゃんにとって有益な話をたくさん聞かせてくれた。最後に、ゆいなちゃんが気になったパンをたっぷり購入して取材は終了。シェフのアドバイス通りバゲットを2種類購入したほか、ユリネを使ったガレットなども選んでいた。



「話を聞いてから食べたほうが、理解をして味わえるからよりおいしく感じました。ファンの方はもちろん、これから来店予定の方やいつも『パンデュース』のパンを食べている方にも、ぜひこの記事を読んでから食べてみてほしいですね!」と大満足のゆいなちゃん。次回はどこのパン店のおいしさの秘密が明かされるのか?お楽しみに!

取材・文=上田芽依
撮影=福羅広幸
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