コーヒーで旅する日本/関西編|グリーンとコーヒーの二刀流で個性を発揮。四季折々に表情を変えるハイブリッドスペース。「GASSE COFFEE & BOTANICS」
東京ウォーカー(全国版)
気取らぬ雰囲気は、2つの顔を持つからこそ

開店後、3年ほどは花の仕事が忙しく、店を開ける日があまりなかったというが、コロナ禍を経てカフェの充実に注力。コーヒーの品ぞろえはもちろん、スイーツの開発も少しずつ進め、今年から自家製の生菓子もメニューに加わった。その間、界隈にあった喫茶店が店を閉じてしまい、「一時はここだけになって、いろんな店の常連さんが混じり合ったこともあります。最近は周りに住宅が増えてきて、子育て世帯が多くなって、公園でママ友のお客さんに教わって来られる方も多いですね」

いまや界隈の憩いの場として定着した感はあるが、それでも賀さんにとっては、花とコーヒーの二刀流のスタイルが合っているという。「一つに集中するのが苦手で、日によって違うことをした方が楽しい」と、春夏はカフェを中心に、秋は自ら栽培する花の出荷、冬はクリスマスや正月飾りのワークショップと、季節ごとにサイクルが変わるのが、飽きずに続けられる秘訣だとか。「だから、コーヒーは好きだけど、ずっと向き合うのは性格的に無理で。それに、コーヒーだけだと突き詰め過ぎてしまうから、違うことをしながらやるくらいがちょうどいいんです(笑)。マニア的になるのは得意ではないし、変に構えず、スペシャルでなくても普段使いで楽しんでもらえればと思っています」

それゆえ、特定のコーヒーを推すことはなく、あくまでお客それぞれが求めるものありきという。この店の居心地のよさは、賀さんの気取らぬスタンスにも由来しているようだ。もとより、ここを訪れるお客は、豆を買う人、カフェ使いの人、花を買いに来る人と、使い方は十人十色。「それに対して、僕がやれることを全部やる感じ。そこに常にコーヒーもあるという感覚ですね」と賀さん。時に、花の仕事で席がふさがることもあれば、逆に花がおかれたままでも気にせず席に着くお客もいる。当初から2つの顔を持つ店として始め、今ではそれをわかって訪れるお客が増えたことで、むしろ助けられることも多分にあるという。
「今でも、何屋かわからないまま入ってくるお客さんもいます」と茶化すが、賀さんの醸し出す融通無碍な雰囲気こそ、この店ならではの魅力。長年続いた喫茶店のような、絶妙な“抜け感”が、界隈に親しまれる所以の一つだ。

賀さんレコメンドのコーヒーショップは「REGREEN COFFEE」」
次回、紹介するのは、姫路市の「REGREEN COFFEE」。
「姫路西部のエリアで数少ない、マイクロロースターの一つ。店主の大樫さんとは、イベントで一緒になることも多く、コーヒーにも、お客さんにも誠実な姿勢で地元の支持を得ています。押し付けがましい感じやマニアックなところは一切なし。オープンで風通しのよい雰囲気は、見ていて気持ちがいいくらい。近所にあったらうれしいと思えるお店です」(賀さん)
【GASSE COFFEE & BOTANICSのコーヒーデータ】
●焙煎機/フジローヤル1キロ(直火式)
●抽出/ハンドドリップ(ハリオ)、エスプレッソマシン(シモネリ)
●焙煎度合い/浅煎り~深煎り
●テイクアウト/あり(500円~)
●豆の販売/ブレンド2種、シングルオリジン7~8種、150グラム1000円〜
取材・文/田中慶一
撮影/直江泰治
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