【第32回】昭和のテイストを家族5代で守り続ける「江戸屋」

2017年9月29日 08:00更新

東海ウォーカー

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愛知県岡崎市の岩津天満宮の近くにある「江戸屋」。1929(昭和4)年創業、地元の人たちに愛されている食堂である。大正初期に建てられた店舗は交通量の多い道路沿いに建ち、昔は商店街として栄えていたという。長きに渡って営業してきた店は、最近5代目が店を受け継いだ。

頼もしい5代目の登場。家族の温かさが店の温もりに通じる

「江戸屋」を守るのは水越一家。現在は5代目の店主が4代目と一緒に店を切り盛りしている。店を受け継いだ若き5代目の店主は、和食店などで修業を積んできた。「家族経営だけど、ここだけにいると幅が広がらない。うちはみんな外で一回修業をしてくるんだよ」と4代目の店主。4代目は有名カレー店などで修業を積んだという。先代から受け継いだ味は守りながらも、向上心は忘れない。そんな心意気が長年愛されている理由だろうか。

外観は時代を感じさせるものの、一歩中に入ると印象が違う。2人掛けと4人掛けのテーブル席と、窓際には小ぢんまりとして落ち着く座敷席も。昭和にタイムスリップしたかのような店内は、どこか心をほっとさせてくれる。

“ザ・昭和”な見た目と味。「これが食べたかった!」と懐かしい気持ちに

一番人気のメニューは「カレーうどん」(580円)。創業当時はまだ珍しかったカレーうどんは、まとめて作って寝かせておいたカレールーを注文が入ってからうどんダシで一杯ずつ溶いて作る。和風だしが効いているため食べ始めはまろやかな辛さだが、食べ進めていくと辛味が後から追いかけてくる。

創業時の味はそのままに、カレー店で修業した4代目の技も入れて風味がグレードアップ。最近、テレビ番組で紹介されたという「カツカレーうどん」(730円)は、お客さんの要望でできた裏メニューが好評で正式メニューになったという。

味も見た目も昭和を感じさせる「中華そば」(510円)も食べておきたい。人気ラーメン店などでこだわりを見せるラーメンが増え続け、いつしかこの中華そばを見ることが少ない印象。「江戸屋」の中華そばは、麺は卵麺、スープは主張しすぎることのない優しい鶏ダシ、具材はシンプルに焼き豚、かまぼこ、メンマ、ネギのみ。見て、食べて、懐かしい!と感じる人は多いのではないだろうか。

また、昭和世代の馴染みある姿で登場してくれた「オムライス」(680円)。ふわとろ系が台頭しているが、オムライスといえば、やはりケチャップライスを薄焼き卵でくるんでほしいという昭和世代は多いはずだ。具材は鶏肉とタマネギ、グリーンピース、上にかけるのは酸味を感じるトマトケチャップ。

「江戸屋」に行けば、“これが食べたかった!”“待ってました”という昭和グルメに出合えるのだ。

10年変えていない価格。子どもたちにも愛される店

テーブルの上にあるメニュー表はメニュー名と価格がわかりやすく表記されており、「定価表」と書いてある。驚くべきはその値段、平均価格は600円ほどだろうか。「家族でやっていますから」と笑顔の4代目。左上には“平成20年改定”と書いてある。「消費税が10%になったら上げようかなと思っているんですけど」と5代目が笑う。

壁に学級新聞のようなものが貼られていたので尋ねると「市民センターで職業体験みたいなことをしていて、その中でうちの店も登場したんです」と教えてくれた。町の子どもたちにも愛されている店は、きっと6代目、7代目と時を刻み続けていくだろう。【東海ウォーカー/小玉みさき(エディマート)】
小玉みさき(エディマート)

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