Kis-My-Ft2・宮田俊哉「本当の仲間って、厳しいことも言い合う仲だと思う」渾身の2作目ラノベに込めたリアルと仲間像

東京ウォーカー(全国版)

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2作目のライトノベル『境界のメロディ2』を上梓した宮田俊哉さん(Kis-My-Ft2)。音楽を志す少年たちを描いたデビュー作の続編となる本作は、1作目でライバルとして登場したバンド・サムライアーが主人公。ロックの聖地ロンドンで、困難にぶつかりながらも成長していく姿を描く感動ストーリーとなっている。作中のリアルな音楽描写や仲間像には、自身のアイドル経験も影響していると語る宮田さんに、本作の執筆にまつわるエピソードや思い、今後の展望などを聞いた。

2冊目のライトノベルを書き下ろしたKis-My-Ft2・宮田俊哉さんが執筆の裏側を語る


10年越しの夢、「ものを始めるのに『遅い』とかはないって思う」

――デビュー作は「次にくるライトノベル大賞」で文庫部門1位、10代・50代以上・女性読者の投票1位という4冠を達成しました。2作目の執筆はいかがでしたか?

【宮田俊哉】2作目を書いているときは、ゼロからイチを生み出した1作目とはまた違う感じで、不安というか苦しさがありました。1作目の『境界のメロディ』は、メジャーデビュー直前にデュオの相方を失った主人公のもとに、死んだはずの相方が現れるところから始まる作品なんですが、初めてのことばかりで、「これで合ってる?」って何度も思う瞬間がありました。でも4冠をとれたってことは、「あ、よかったんだ」って思えたんです。でも、その分2作目のプレッシャーはすごくありました。「これって本当におもしろいですか!?」って、何回も編集の人に聞いていました(笑)。

1作目も2作目も、小説を書くためにアイドルの活動をおろそかにする場面が一瞬でもあったら、もう全部やめる!と決めていて。アイドルも執筆も100%でやらなきゃっていう苦しさがありました。でも、そうやって苦しまないと、たぶん自分は物語を書けないと思っていて。執筆だけになっていたら書けなかった描写もあるので、アイドルをやっていたから、この作品を書けたと思うんです。

――多忙な宮田さんが執筆にここまで懸けるモチベーションは何でしょうか?

シンプルに「アニメが作りたい!」っていうのが、10年以上温め続けてる夢なんです。始まりはそれだし、今もそれが一番なんですけど、さらに「ものづくりが好き」っていうのも増えたかな。ラノベ・コミック化、そしてアニメ化という流れに憧れていたから、小説はその第一歩です。ドラマCDの制作では役者さんたちとも関わりがより深くなって、アニメを作ることへの思いがさらに強くなりました。

小学6年生からこの仕事を始めて、勉強は最低限しかやってないから、段落の書き出しを一文字下げることさえ知らないところからのスタートだったんです。「改稿」という文章をブラッシュアップする作業の過程で、構成を変えるために書いた原稿の順番を入れ替えたりして頭がぐちゃぐちゃになったり、頭を抱えたりするようなこともめっちゃあって。でも、学生の方が読書感想文に『境界のメロディ』を選んでくれたという投稿をSNSで見たりしたら、「ものを始めるのに『遅い』とかはないな」って思いました。時間はかかっちゃうかもしれないけど、また別の作品をゼロから作ったりもしたいです。

『境界のメロディ2』ドラマCD付き特装版 2025年11月25日発売 著:宮田俊哉 イラスト:LAM (メディアワークス文庫/KADOKAWA刊)


ロンドン視察や偶然出会った「吉田兄弟」の津軽三味線の衝撃

――2作目の執筆のためにロンドンへ視察に訪れたそうですね。

【宮田俊哉】1作目を書いたとき、登場人物たちの「その後」は自分の頭の中で決めていました。大好きな漫画家・冨樫義博先生が、キャラクターのことをすごく作り込んでから作品を生み出してるっていうのを何かで読んで、その手法をマネしているんです。本作で主人公として描いたサムライアーは、作品のなかで一番格好いいバンド。彼らがロックの本場ロンドンに行く世界線を考えてはいたけど、まさかそれを作品にできるなんて思ってなかったんです。

2作目の話をいただいたとき、やっぱり「ロンドンに行かないと書けない!」って思ったから、スケジュールをぬって2泊4日の弾丸視察に行きました。マジでめっちゃ疲れた!大型犬10匹と散歩してたんじゃないかってくらいでしたよ(笑)。

パフォーマーが集まるピカデリーサーカスやビートルズでおなじみのアビーロードなどの名所にも行ったし、登場人物たちが訪れそうなデンマークストリートの楽器屋さんやパブなどにも行って。バスやタクシーとかの乗り物も、食べ物も、街の匂いなんかも、とにかく写真を撮って、メモしました。頭の中では、「アクション!」って感じで、目の前の風景の中でキャラクターたちがすごく喋っているんです。帰国してからも思い出すような印象的なことは、特に大事なことのような気がして、もう一回メモしたり。その記憶やメモをふまえて、会話のテンポとかを考えながら、小説に落とし込んでいきました。

――作中でロンドンのバンドに三味線を取り入れたのはどんな経緯でしょうか?

【宮田俊哉】おしゃれでしょ!?ロンドン視察では、和楽器を演奏している人に出会えなくて、「もしも、このなかに和楽器の演奏者がいたらかっこいいだろうな」って思っていたんです。

それで、帰国してから津軽三味線を売っているお店に行ってみたら、偶然、津軽三味線アーティスト「吉田兄弟」の弟さん・吉田健一さんがいらっしゃっていたんです。事情を話したら、たくさん話を聞いてくれて、いろいろ質問させてもらえたんです。「ちょっと弾くよ」って、日本のトップ奏者が俺だけのために目の前で弾いてくれて!それがもう、「ベベーン!」って、五臓六腑が震えるような一発だったんですよ。

「この一音が、ロンドンのあの場所で鳴っていたらとんでもないな!」って、イメージがブワ〜って膨らんで、キーマンとなる新メンバー・カインの印象的な登場シーンになりました。

Kis-My-Ft2・宮田俊哉さん


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