幕末ミステリーリサーチ File02 西郷どんのタマの痕!? #2 幕臣たちのテーマパーク

東京ウォーカー

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いよいよ迎えた明治維新150周年! NHK大河『西郷どん』も好評スタートで、盛り上がりに盛り上がっている幕末維新! 【ボクらの維新通信社2018】では、みんさん一緒に幕末維新を楽しむためのアレコレを発信しています!

タマ痕が語る上野戦争の姿


右を見ても左を見ても石碑石碑、また石碑。どこから見て回るか迷うほどだ。


そんな通信社の中で最も幕末ラブ溢れる俳優・声優・歴ドルたちが結成した幕末ミステリーリサーチ、通称“BMR”。【動画※1】

今回BMR一行が調査しているのは、東京南千住にある上野戦争の史跡・円通寺だ。ここには、西郷どんこと西郷隆盛率いる薩長土肥の東征軍と、彰義隊を軸とする旧幕軍との戦いを見守った……どころかその銃弾を実際に受けまくった生き証人“黒門”がそびえ立っている。

前回はこの門に残る無数の弾痕を間近に見て、調べてみて、そこからわかる実際の銃撃戦の様子や、門を挟んだ両軍の地形条件、西郷どんと大村益次郎の布陣をめぐる対立も寸劇で再現したりして、濃ゆ~い動画レポートをお届けした。

マニアックすぎてちょっぴり心配な前回の動画はこちら⇒https://www.youtube.com/watch?time_continue=3&v=skO-QPwbZis

まるで旧幕臣の宝石箱や~


電子版の週刊Tokyo Walkerからこの通信社を追いかけてくれているみんなには、もうすっかりおなじみだね! そう、澤太郎左衛門サン。日本の火薬近代化の父であるこの人も円通寺にいます。


しかし円通寺の楽しさは黒門だけじゃない。門の裏手に回ると、そこに広がるのは旧幕臣たちのテーマパーク! 榎本武揚、大鳥圭介、荒井郁之助、高松凌雲、澤太郎左衛門などなど、佐幕の幕末ファンにはたまらないメンツが勢ぞろいしている。

もちろん彰義隊や新選組をはじめ(動画では次回配信予定)、ほかにも戊辰戦争を旧幕方として戦った忠臣や、江戸の名物親分・新門の辰五郎、豪商の三河屋幸三郎といった市井から徳川を支えた人たちまで、旧幕関係者の碑や墓が所狭しと立ち並んでいるのだ。

なぜ円通寺に旧幕オールスターズの石がそろっているのか? そのワケはぜひ次回の動画と記事をご覧いただきたいが、ともかくここに来れば一回で彼らに会うことができる。まさに一石何十鳥。幕末の中でも幕府方が好き! という人にぜひオススメしたいスポットだ。

BMR一行もリサーチと動画レポートという使命を忘れ、1つ1つの石で立ち止まってはテンションMAXで語りまくる。新選組大好きっ娘の桜丘真衣隊員は、榎本、大鳥といった新選組小説やマンガに必ず登場する旧幕臣たちに大興奮。隊長のロバートは己れの血筋もあって海外勢推しだが、ミリタリー視点で幕末を楽しむため、やはり上野、東北、箱館と3つの戦争を戦った男たちを前にトークが止まらない。

どれも長くマニアックすぎたので動画では各碑名の読み上げシーンを採用したが、彼らが注目した人物の一端をここで紹介してみよう。

知られざる旧幕ヒーローたち


円通寺には近藤勇や土方歳三などメジャーな人物ゆかりの石もあるが、今回は比較的マイナーな人物にこだわってみる。あまり取り上げられることのない人物を知り、そのアングルから幕末維新を観ることも楽しみ方の一つだと思うからだ。

左から荒井郁之助、高松凌雲、榎本武揚の碑。このメンツにキュンとなる人は、まぎれもなく佐幕派のファンでしょ。


というワケで、BMRが現地でグっときた人物の一番目は、高松凌雲センセイ。緒方洪庵の適塾で医学と蘭学を学んだお医者さんで、幕府に抜擢されてフランス留学もした秀才。その恩に報いるため、戊辰戦争で旧幕方に立った義侠の人でもある。箱館では野戦病院を設立し、敵味方問わず隣り合うベッドに寝かせて治療したという。一説には、黒田了介(清隆)を通じて西郷どんも凌雲センセイの博愛精神に感銘を受けたとか。

ちなみに以前日テレ年末大型時代劇『五稜郭』で、凌雲センセイを演じたのが風間杜夫で、その兄・古屋佐久左衛門を演じたのが竜雷太。それぞれ西郷吉兵衛、調所笑左衛門の役で今のNHK大河にも出ている。

その隣に建つのは荒井郁之助の追弔碑。大鳥圭介とともにフランス式の軍事伝習を受けた人物で、後に海軍畑に転出して、佐幕ファンには澤太郎左衛門と並ぶ「榎本艦隊の副将格」として有名だろう。箱館戦争でも榎本政権の海軍奉行として戦い抜く。維新後には気象学のテクノクラートとして重用されるが、宮古湾、箱館湾での奮戦を見ると、海軍人としても有能だった。

続いて彰義隊の後藤鉄次郎や八番隊長・木下福治郎、その弟の遊撃隊長・鷹羽玄道の碑でも足を止める一行。つくづく名前がかっこよすぎるだろ、鷹羽玄道。ググってみたところ、本名は上原仙之助といい、美男子だったらしい。上野戦争を生き残った後、鷹羽玄道と名を変えて榎本艦隊にも参加。この変名にどんな思いがあったのだろうか。

お次は、三島由紀夫の曽祖父にあたる永井岩之丞こと尚忠とその養父・永井尚志の碑。最後まで五稜郭に籠って戦った忠臣父子で、尚志のほうは長崎の海軍伝習所における勝海舟や榎本武揚の先輩。後には坂本龍馬の平和的倒幕論に理解を示し、近藤勇に「龍馬殺しちゃダメよ」と勧告していた人としても知られる。

こんな調子で1つ1つの碑で足を止めてるもんだから、File1に続いてまたも日が傾きかける。しかし大鳥圭介についてはやはり語らざるを得ない。動画でも言っているが、一つ強調しておきたいのが「大鳥は実は強かった」ってこと。

太平洋戦争敗戦後、ラジオから流れてきた大鳥圭介の逸話。戊辰・箱館の敗戦にめげず再起した大鳥に勇気づけられ、芸名にしたのが浪花の喜劇人・鳳啓助。


土方歳三目線の創作物では大鳥は損な役回りにされること多いが、実際に戦った敵の薩摩は、「大鳥の兵を用いること、ヒジが指を使うが如し」と記録し、西郷どんも恐れるほどだった。ロバート的には大鳥が鍛え、自ら率いた伝習隊は幕末最強だと思っている。事実、江戸脱走から小山、宇都宮城奪取、鬼怒川あたりまでの、大鳥本人が自由に指揮を執れた時期は、ことごとく勝利か戦略目的を達成してるしね。

この碑を見るためだけに、遠くからわざわざやって来た女子高生と、その日偶然ロケをしていてめぐり会った奇跡。こんなファンがいる大鳥さんスゲエ。


この大鳥が旧幕軍側の総参謀なら、その対手となった東征軍側のソレは大村益次郎。この両雄の対峙や戦術の話も尽きず、『銀河英雄伝説』になぞらえて続けようとするロバートの目に、突然一人の少女が入り込んできた。

前回勘違いで上野に行ってしまった初芝かやの隊員ではなく、見知らぬ中学生くらいの女の子。聞けば、幼く見えるが高校生で、北関東から大鳥圭介の碑を見るためにやって来たという。碑の前で長々語るBMRに文句も言わず待ってくれていた。ゴメンなさい! 早々に場所を移り、大村益次郎のニセ軍旗作戦を披露してこき下ろし始める真衣隊員。

女の子も帰りがけに見ていた額。寺号額が榎本武揚の筆によるものだと知っている感じだった。


しかし気になって、戻って女の子に話を聞いてみた。大鳥に興味を持ったきっかけは、「ちゃんとした本じゃないです。小説とか創作ものだから恥ずかしくて言えない」だったが、たいていのファンの入口は創作物だ。恥じることはないぞ。学校に新選組ファンはいるが伝習隊ファンがおらず、大きな図書館で資料を読んでいるうち、円通寺に来てみたくなったのだという。東京の観光や親戚に会いに来たついでに? 「いえ、この碑を見に」。

こんなガチで熱心なファンもいることに、BMR一行はほっこりとし、より一層幕末の面白さを世に広めようと決意を固めたのだった。

というところで、続きは次回をお楽しみに♪

NHK大河を肴に妄想トーク、『西郷どんナナメ斬りッ!』2本立て


マニアックな幕末の史実、ミリタリー、演出論、男の友情など、さまざまな視点でNHK大河『西郷どん』を斬って楽しむぞ!


本編BMRとは別に前回から始まった新コーナー『西郷どんナナメ斬りッ!』は、ついにオンエアされた第一話と二話についてたっぷり語った。語りすぎて大半がこぼれて入らないくらいだ。西郷少年と郷中教育、それにまつわるツイッターの反応を取り上げたり、第一話の中に隠された将来の布石? を勝手に妄想して予想したり。

第二話については、このドラマは男の友情メインであるべき! とぶった斬るかやの隊員の熱弁に注目してほしい。

動画の※印解説!


※1【BMRとは?】 今回も※1は安定のBMRの説明。俳優や声優、歴ドルたちで構成される、幕末維新のミステリーを動画で追うサークルだ。

※2【西郷のホンモノの顔!?】昨年12月に公開していた記事がこちら。https://news.walkerplus.com/article/130530/  1枚も写真を遺さなかった西郷どんの素顔に迫った。

※3【旧幕オールスターズ】円通寺は、明治初期にはほとんど唯一、旧幕関係者の法要を許された寺で、その縁でさまざまな人物が集まることになった。そのきっかけについては次回の動画と記事で!

※4【迫田太次右衛門】迫田太次右衛門利済は薩摩藩の郡奉行で、青年期の西郷隆盛の直接の上司。動画で詠んだ「むしよむしよ」の歌は迫田の作ったもので、武士を虫に、百姓たちを五節草=稲にたとえて、凶作時にも百姓を苦しめる藩政に抗議する内容だ。迫田は年貢軽減の提言が通らないと知るや、この歌を役所の門に書きつけて抗議辞職した。西郷の仁愛主義に大きく影響する出来事だが、NHK大河ではなぜかスルー。今後回想で出てくるかなあ、と期待。

【ボクらの維新通信社2018/ロバート・ウォーターマン(KUROFUNE-United)】



ロバート・ウォーターマン(KUROFUNE-United)

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