葉山の地産地消文化推進を担う、2大マーケットに潜入!

横浜ウォーカー

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三浦半島は海と山に囲まれ、海産物・農産物の宝庫。葉山町もしっかりとその恩恵を授かる地形に恵まれ、「葉山シラス」、「葉山牛」は全国的にも有名な町のブランド食材だ。そのほかにもワカメ、夏ミカン、ハチミツなど町内生産のおいしいものはたくさん。また一次産業のみならず、焼き菓子やケーキ、パンなども、全国のスイーツ通をうならせる、ハイクォリティのお店が集まっている。そんな自慢の味とブランドを守り、より広くPRするために、町内には地産のものや地域の商工業者の商品を扱った2つのマーケットがある。「葉山マーケット日曜朝市」と「ハヤマステーション」。ここに来れば葉山のおいしいものが食べられる・買える!という町民にも観光客にも人気の2スポットを紹介しよう。

28年間、毎週日曜開催!行列のできる“港の朝市”に成長した「葉山マーケット」


「マルシェ」や「朝市」という言葉が地産地消や地域活性化などと一緒に注目されるようになった昨今のイベントブーム。だが、そんな流行とはまったく無縁の、約30年も前の1990年に始まったのが「葉山マーケット日曜朝市」だ。

葉山町漁業協同組合の協力のもと鐙摺(あぶずり)港での開催が実現。漁船とヨットが仲良く停泊する姿が見られるのも葉山ならではの光景(C)KADOKAWA 撮影=高嶋佳代


「当時、静かな町だった葉山にも住宅街が開発され、人口が増えるにつれて大手のスーパーマーケットが進出をはじめました。そんな時代の流れのなかで地元の商工業者の生き残りをかけて始まったのがこの朝市です。最初は参加店数も少ないうえ、会場も現在の港ではなく、港近くのスペースでこじんまりと始まりました。広報もろくにできなかったので、地元の人にも集まってもらえず、参加商店同士の物々交換の場みたいな状態でした」と朝市立ち上げ時の苦労を語るのは葉山町商工会の会長・柳氏だ。

名島近辺で漁をする葉山の「宮木丸」。葉山産サザエ一山(1,000円)やナマコ一山(400円・各々、値段は季節や水揚げ量によって変わる)などが並ぶ(C)KADOKAWA 撮影=高嶋佳代


【写真を見る】「昭和天皇の頃から御用邸にも野菜を卸しています」という葉山の老舗「八百藤」。三浦産の新鮮な農作物を販売(C)KADOKAWA 撮影=高嶋佳代


そんな細々とした開催だが、毎週開催することに意義があると辛抱強く回を重ねていたところ、数年後に転機が訪れる。「葉山町漁業協同組合が鐙摺(あぶずり)港の広場と建物を朝市の会場として提供してくれ、さらには水揚げされたばかりのサザエ、アワビ、シラス、アジなどの販売をしてくれるようになった。葉山の商工会、農協、漁協が一丸となったことで、朝市の魅力がいっきに膨らみました。漁協からの海産物に加えて葉山産のレモンや夏ミカン、季節ごとの野菜、そして旭屋さんのコロッケやラ・マーレ・ド・チャヤのケーキなど地元商店の名物商品が一同に集まり、消費者に喜んでもらえるようになりました」。

名物「ラ・マーレ・ド・チャヤ」の「朝市限定タルト」(1,000円)と「ケーキ切り落とし」(100円)。8:30のイベント開始前から行列ができるので早めの到着を目指そう(C)KADOKAWA 撮影=高嶋佳代


「ラ・マーレ・ド・チャヤ」の朝市限定のタルトは洋ナシ・オレンジ・リンゴの3種でどれも一台1,000円という破格の値段。一番人気は写真の洋ナシ(C)KADOKAWA 撮影=宮川朋久


特にチャヤのケーキはこの朝市の限定商品として約100台限定で販売される「タルト」(1,000円)と、「ケーキの切り落としパック」(100円)が名物となり、毎回イベント開始前から行列ができるほどの人気に。「スイーツが目玉の朝市というのもなかなかありませんよ。」と柳氏も太鼓判を押す。

葉山ローカルのスーパー「SUZUKIYA」もパンや惣菜、お弁当を販売している。会場で朝ごはん代わりに食べている人もみかける(C)KADOKAWA 撮影=高嶋佳代


また、販売商品の数や種類が増えただけでなく、会場が“港”ということも、葉山ならではの要素として加わり、「港の朝市」としてメディアに取り上げられるようになったと言う。「冬の晴れた日には富士山が見え、漁船とヨットが仲良く並んでいるのが間近で見られる絶好のロケーションですから。単に買い物をするだけでなく、朝食やブランチを兼ねて日曜の朝の時間をゆっくりと過ごせる朝市に成長をしていきました」。

燻製専門店「スモークハウス葉山」、葉山・風早でグリル料理を提供している「風早橋ガーデングリルカフェ」、魯山人写しの器などを扱う「三条屋小池陶器店」など葉山らしい出店が特徴(C)KADOKAWA 撮影=高嶋佳代


現在は毎週20店近くが出店し、イベント終了前に売り切れる店舗も少なくない。GWや夏休みなどには遠方から訪れる人も多く、さらなるにぎわいをみせる。素敵な日曜のはじまりを約束してくれる“港の朝市”でおいしい朝ごはんを食べに出かけてみたい。

観光に、日々の買い物に、葉山町内最大級のショッピング施設が人気のワケ


逗葉新道の葉山出口を出てすぐの立地。駐車場も完備されていて、車での訪問が便利(C)KADOKAWA 撮影=奥西淳二


葉山を含む三浦半島の名産品を一同に集めたアンテナショップとして16年の秋にオープンした「ハヤマステーション」。葉山町への車の玄関口ともいえる逗葉新道の出口そばに駐車場を完備して堂々とオープンしてから1年半、毎日朝から多くの人でにぎわう人気の施設となっている。

店内中央には毎朝、農家から直送される新鮮な野菜がズラリと陳列される。週末は早い時間に品薄になることもあるので朝のうちがおすすめ(C)KADOKAWA 撮影=宮川朋久


人気の理由を店長の石井氏は「コンセプトは“地産地消の発信基地”。ここでは地元のブランドをPRするため、9つのテナントにアンテナショップを構えていただいています。そのほかにも、店内中央の棚には18のローカルブランドに自慢の商品を並べていただいています。その種類はスイーツやジュース、パン、惣菜からシラスまで、とにかく豊富。町内に点在している各店をめぐらなくてもここにくればすべて揃っているという便利さがあります」と答える。

地元の老舗「葉山旭屋牛肉店」の葉山コロッケ81円は手頃なサイズと素朴な味が大衆人気の理由(C)KADOKAWA 撮影=宮川朋久


「葉山旭屋牛肉店」ではコロッケや唐揚げなど惣菜のほかに精肉が買えるので地元の人の日常の買い物にも重宝されている(C)KADOKAWA 撮影=宮川朋久


確かに店内には「日影茶屋」「葉山旭屋牛肉店」などの葉山老舗店の商品や、「葉山町漁業協同組合」「真一丸」など漁船のシラスやひじきなどの名産が所狭しと並び、葉山の代名詞ともいえる商品が集結している。

漁船「真一丸」のコーナーにはシラスやワカメ、加工品など。隣には「スモークハウス葉山」の燻製類が並び、葉山みやげにもってこい(C)KADOKAWA 撮影=宮川朋久


スーパー「SUZUKIYA」では、パンやお弁当・惣菜類に加えて牛乳や納豆、ティッシュペーパーなど日用品がそろう(C)KADOKAWA 撮影=宮川朋久


さらに、ハヤマステーションの魅力は三浦半島産の産直野菜類にもある。近隣の農家から毎朝直送される季節ごとの旬な農作物は新鮮でおいしいと評判だ。大根やキャベツ、スイカなど、三浦半島ブランドの作物を求めて、観光客はもちろん、近隣の横須賀や逗子・鎌倉などからも日常的に足を運ぶお客さんも多い。

手作りで体に優しい焼き菓子が評判の高い「betts&bara」の「バターケーキ」(400円、写真左)や「チョコマドレーヌ」(480円、写真右・3個入り)(C)KADOKAWA 撮影=宮川朋久


「このエリアは今まで大きなスーパーがなかったので、ご近所の方の日常的な買い物にもお役にたてるように、地元のスーパーでもあるSUZUKIYAさんにも入っていただき、トイレットペーパーや飲料、日用品などを揃えてもらいました。おかげで、近隣からの評判もいいです」。

洋食屋「葉山食房ミラマール」の「クラムチャウダー」(432円)は以前「葉山マーケット日曜朝市」でも販売し大人気だった品(C)KADOKAWA 撮影=宮川朋久


同じく「葉山食房ミラマール」の「牛スジ赤ワイン煮」(540円)。じっくり煮込まれた牛スジのダシが絶品(C)KADOKAWA 撮影=宮川朋久


イートインスペースでは店内で購入したものを食べることもでき、ファストフード店がない葉山町では貴重な“お手軽食事”ができるのもうれしい。

ハヤマステーションから逗子に抜ける山の中腹に本店がある「日の出園」もテナントの一つ。本店はかき氷が人気なのに対して、ここではソフトクリームを販売(C)KADOKAWA 撮影=宮川朋久


人気の菓子店「Brown Sweets」ではケーキや焼き菓子などを種類豊富に揃える。今はここでしか買えないので目当てに来るお客さんも多い(C)KADOKAWA 撮影=宮川朋久


忙しくて町内をゆっくり回る時間がとれない観光客にとっても、ここは葉山みやげが手に入る便利な拠点。葉山に来町した際にははずせないスポットだ。

【取材・文/鈴木秋穂、撮影/宮川朋久、高嶋佳代、奥西淳二】

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