うつ病&自殺未遂乗り越えた"メンヘラマッスル女装作家"に聞く自分らしく強く生きるヒント、誹謗中傷・偏見との闘いの日々を明かす
関西ウォーカー
「椅子がトイレ」という過酷な閉鎖病棟で、人の温かさという希望を見つけました
――閉鎖病棟では特別な治療が行われるのでしょうか?


「特別って感じではなかったですね。決まった時間に起きて、食事をして薬を飲んで、寝るだけです。最初の数日間は非常扉みたいな重い鉄のドアの個室に閉じ込められて一歩も外に出られず、トイレは部屋にある椅子にバケツがはめ込んであるだけの簡易トイレにして、看護師さんが持ってきた温かいタオルで体を拭くのがお風呂代わりだったのはさすがにビックリしましたが」
――え、部屋の中で、椅子で用を足すのですか! あまりに酷いと感じてしまうのですが。
「そこだけ取り上げると人間扱いされない最悪な環境に思えるかもしれませんね。確かに人生の中でトップクラスにつらい時間でしたが、このときほど人の温かさを感じた事もありませんでした。一日中誰とも関われない事がとにかく寂しくてつらかったのですが、看護師さんにそう伝えたら、その後時間を作って『今なら少しお話しできますよ』と世間話をしてくれました。『僕はどうせまた自殺する。それが成功して終わるか、失敗してまたここに閉じ込められるか…。一生その繰り返しだ』と言ったときに『ずっと繰り返されるわけじゃない。いつかそうじゃなくなる日が必ず来ます』と言われたときの、出口があるのかすら分からない真っ暗なトンネルの中でほんの少し光が見えたかのような、あの救われる感覚を今でもはっきりと覚えています」

「うつ病を治したい」ではなく「漫画家に戻りたい」が僕の本心だと気づけたんです。
――そこで初めて意識が変わったのですね。
「個室にいる間は自問自答しか出来ませんから、いろいろな事を考えました。ずっと『元の自分に戻ること』しか考えていませんでしたが、そもそも元に戻りたいのは漫画家としてバリバリ働きたいからです。僕にとっての治療のゴールは漫画家に戻ること。そこで気づいたんです。漫画家に戻れさえすれば必ずしも『元の自分』に戻れなくても、病気が完璧に治らなくてもいい。『病気を消す』という考えから『病気を受け入れる』考えに変わったんですね。そこからだいぶ気分が軽くなり、予定よりも早く退院し、ゆっくり療養生活を続け、治療5年半で主治医から"完全寛解”と宣告され、無事に治療は終了しました」

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