壮絶ないじめを克服し、天才ギタリスト・MIYAVIに師事した元ヴィジュアル系バンドマンに半生を聞いてみた「自分が間違っていると思わないでほしい」

東京ウォーカー(全国版)

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――いじめについてご両親には相談されていたのでしょうか?

「いえ、当時は親にも相談できませんでした。中学生までは友達とも仲が良く、成績も良く、自慢の息子だと思ってくれていたので、その気持ちを裏切りたくなかったんです。なので親も学校の状況をきちんと把握できていなくて。親からは停学中、『勉強しなさい』『なんで学校に行かないの』とずっと怒られていました。それも辛くてどんどん追い詰められていきました」

――ご両親をがっかりさせたくないという思いから何も言うことができなかったんですね。

「はい。そこからもう耐えられず、登校拒否になってしまいました。その頃からトラウマで不眠症になってしまったんです。目を閉じると、ロッカーの中に閉じ込められたことや、生徒指導室で殴られた体験がフラッシュバックしました。長すぎる夜に眠れないことが辛くて。『なにが正しいのか、僕が悪かったのか、なにが正義なのか、生きる意味とは何なのか、世の中こんな不条理なら生きていく意味はあるのか…』そんなことを悶々と考えていました。当時は『僕が間違っているんだ。僕がいなくなればいいんだ』と自殺も考えるようになりました」

――精神的にかなり追い詰められていたのですね。眠れない夜はどうやって過ごしていたのですか?

「眠れない夜には『X JAPAN』や『DIR EN GREY』を聴いていて。彼らの曲は僕の気持ちを代弁してくれていて、当時の僕の唯一の救いだったんです。かっこいいメイクをしながら弱々しい歌詞を歌うバンドマンがヒーローに見えました。死が頭をよぎっていましたが徐々に『命を懸けてバンドをしよう』と、彼らのおかげで生きる活力が湧いてきたんです。音楽とバンドマンに憧れる気持ちに救われて、『僕も、同じ悩みを持つ人を救えるようなバンドマンになりたい!』とミュージシャンを目指すようになりました」

――いじめがきっかけでバンドマンを目指されたのですね。登校拒否後、学校は卒業まで通われなかったのでしょうか?

「2年生からは通学しました。ですが停学前に一度大暴れしたのでいじめっ子からも『アイツはやばい』と思われたのか、孤立はしていましたが、直接的な嫌がらせはなくなりました」

――やはりいじめに対しては拒絶したり、反抗したりすることが重要なんですね。今もし同じ境遇に置かれている方がいたら何を伝えたいですか?

「僕の体験からすると、誰かに相談するって難しいんです。周りに言うことで心配されたり大ごとになるのも辛いんです。言っても分かってもらえないだろうと、自分を閉ざしてしまう場合もあります。学生だと、自分の世界が学校と家族がほとんどなので、自分が少数派になる環境がすべてだと思ってしまう。でも、外には自分が認められる場所が必ずあるはず。たまたま10代の早い段階で自分に合わない環境に出会ってしまっただけなんですよね。それだけで『自分が間違っている』『自分が世界から嫌われている』と思わないでほしい。早めにそのような経験をすると、人の痛みを知れますし、乗り越えれば人に優しくなれると思います。僕もいじめられていた当時はとても辛かったですが、今は『死ななくて本当によかった』と心の底から思っています」

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