揖保乃糸には7つの等級が。よく見る赤帯は上級品、黒や金との違いは?

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揖保乃糸の品質を支える検査指導員

揖保乃糸を製造する組合員は、たつの市と、その周辺に位置する宍粟市、姫路市、揖保郡太子町、佐用郡佐用町の三市二町に分布している。南は海に近いところから、北は雪が降る地域まで、製造環境が違っても、同じ品質を維持しなければならない。

揖保乃糸の品質を支えるのが、同組合品質管理部の検査指導員だ。「品質管理部長のもと、検査長を筆頭に、そうめん作りに精通した検査指導員がおよそ20人います。水分計などの機械を使うほか、味やにおい、肌触り、見た目など、五感を研ぎ澄ませて、製品の検査や、組合員の製造指導を行っています」(天川亮)

製品検査の様子【画像提供=兵庫県手延素麵協同組合】


毎年の製造がはじまる前に、その年に使用する小麦粉の品質の確認を厳格に行っている。「小麦は植物ですので、干ばつなど自然の影響を大きく受けます。小麦粉の品質も毎年全く同じ、というわけにはいきません。毎年、製造を開始する前には揖保乃糸にふさわしい小麦粉か、何度も試作を重ねてその年の品質基準を設け、検査指導員全員が意識を共有して、生産指導や格付け検査を進めるのです」(天川亮)

検査に合格した製品だけに検査証が貼られ、専用の熟成保管倉庫に入庫。「揖保乃糸」として流通する【画像提供=兵庫県手延素麵協同組合】


播州エリアでそうめん作りが本格的になったのは江戸時代の中ごろ。揖保川にはそうめんの美しい白さを生み出すのに必要な、鉄分の少ない軟水が流れ、近隣の赤穂は塩の産地であり、播州平野ではそうめん作りに適した粘り気のある小麦が育つ。当時は今のように組織化されていなかったため、品質や価格もまちまちだった。そこで、粗製乱造を防ぎ、産地としての信頼と伝統を維持するために、基準を設けて、組織としてそうめんを製造、販売しようとする動きが出た。

揖保乃糸の製造風景【画像提供=兵庫県手延素麵協同組合】


統一商標として「揖保乃糸」が誕生したのは1894年のこと。そうめん作りは底冷えする冬場に最盛期を迎え、作業は夜が明けないうちから始まる。「今は道具が進化して効率的にそうめんが製造できるようになりましたが、今も昔もかかる手間や時間は変わりません。過酷なそうめん作りが品質第一で発展したのには、真面目な播州人の職人気質が必要不可欠でした。我々もその志をしっかりと継いででいきたいですね」(天川亮)

この記事のひときわ #やくにたつ
・等級を設けることで、客が用途に合わせて商品を選びやすくなる
・製造、販売を一元管理することが、産地の信頼と伝統を守ることにつながる

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