変化の大きい業界で生き残る鍵は「適者生存」。総合デジタルマーケティング企業「デジタリフト」の強みとは

合わなくなった服を替えるように。現場にマッチする社名とブランディングに変更

創業当初は「電子広告社」というデジタル業界としては珍しい漢字の社名を掲げていたデジタリフト。

「取っ付きやすさ、というものを考えましたね。カタカナの社名だと何をしている会社なのかパッと見てわからないということが多いと感じていて、明確に何の会社なのかストレートにわかる名前にしたいと思って付けました。敢えて漢字の名前にすることで、目立つという効果もあります」

では、どうして現在の「デジタリフト」に変更しようと思ったのだろうか？

「リブランディングにも関連しますが、多くの案件に携わっていくうちに、広告配信・運用以外の、その周辺のご相談がどんどん増えていったんです。クライアントの希望に応えるため、個人でも勉強しましたし、見合った人材を採用していきました。それを繰り返していくうちに、単なる“電子広告”の会社ではなくなってきたと感じたんです。服のサイズが合わなくなってきた。ではこれを合わせようということで、自分たちが何をやっている会社なのか、今後どうしていきたいのか、そんな話を社内で揉んで、案を出しあって現在の『デジタリフト』になりました」

社名の変更は採用活動への布石という面もあったようだ。

「若手社員から『電子広告社って名前ダサくね？』という意見が聞こえてきて(笑)。30代中盤以降からの社名支持率は高く、捨てがたいものがあったんですが、やはり当社に入ってきてくれるのは若い人が多い。採用に社名が影響を受けるのであれば、フィット感がなくなってきた社名だし、変えたほうがいいでしょうという結論です」

こうして、2020年3月に電子広告社からデジタリフトに改名。「DIGITAL＋LIFT」でデジタル領域においてクライアントをリフトしていくという意味と、「DIGIT＋a LIFT」でクライアントの売上向上に資する策を立て、桁(DIGIT)を変えるほど数字面もリフトしていきたいという想いを込めたという。そして、「統合デジタルマーケティング企業」としてのリブランディング。もともとコンサルティング的な動きも多かっただけに、社内でもその変化はすんなり受け入れられたようだ。

「メンバーと話をするときに、環境適合をした人が生き残るよねということをよく話をしています。『適者生存』という言葉がありますが、単純なパワーの強さではなくて、環境に素早くアジャストしていく人が生き残るということです。デジタルマーケティングは激しく変化し、クライアントからの要望もそれに合わせてどんどん変わるということを肌で感じています。なので、変わるのが嫌という人はこの業界に向いていません。加えて、リブランディングという形をとったことで、デジタルマーケティング全般の話ができるという対外的なアピールにつながっただけではなく、社内的にも効果がありましたね。会社が目指していること、どこに行こうとしているのか、メンバーが個人としてどこに到達していけばいいのか、指針が明確に示せました」

以前は「デジタル広告運用の会社だけどコンサルもできる」とコンサルの部分をプラスアルファとして強調することができた。デジタルマーケティング全般を取り扱うようになった今、強みはどこにあると考えているのだろうか？

「答える場面によって回答が変わりますが、クライアントに対してお話しするのなら求めるものに合わせていけますとお話ししますね。全体を通して言えるのがスピード。社内のバリューとして『実力はスピードに現れる』を掲げています。当社規模は80人。さまざまなご要望に応えるべく人材を採用し、時流に合わせた提案ができるように日々、情報収集に努めています。クライアントが必要とするデジタルマーケティングをワンフロアの社内でできるので、情報伝達も早く、社内での優先順位の組み替えも可能で、結果スピードが速いということを自負しています」

今後「クライアントの伴走者を目指して」さらなるサービスの提供領域を増やしていきたいと考えているという。自分たちの強みを十分に理解しているからこそ、どこから手を広げていけばいいのか、何を補っていけばいいのかが見えているのだろう。デジタリフトの姿勢は、他業界であっても参考になることが多そうだ。

この記事のひときわ #やくにたつ
・自分たちの強みを社内で共有することで、目指すものが明確になる
・プラスアルファを持つことで強みとする

取材・文＝西連寺くらら