水原希子「失ったと思っていたものが実は違った」滝行で蘇った、距離を感じていた母との記憶

東京ウォーカー(全国版)

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近年は、映画「あのこは貴族」や「アネット」、Netflixドラマ「彼女」などの話題作に出演し、コスメブランド「キークス(kiiks)」をローンチするなど、幅広いジャンルで活躍する水原希子さん。最新出演作となる映画「徒花-ADABANA-」では、井浦新さん演じる主人公・新次の心理状態をケアする臨床心理士・まほろを演じている。国家により“ある最新技術”を用いた延命治療が推進された近未来が舞台の本作。撮影秘話や演じた役柄について、さらに最近体験した不思議な体験などを水原さんに語ってもらった。

臨床心理士・まほろを演じた水原希子さん撮影=三橋優美子


「井浦新さんの言葉に救われましたし、天使のような方だなと思いました」

――本作のオファーを受けた時はどんな心境でしたか。

【水原希子】本作の監督を務めた甲斐(さやか)さんは、あまりほかでは観たことのない世界観を撮られる方なので、お話をいただいた時は“甲斐さんが作る世界に入れるんだ!”と思ってすごくうれしかったです。あと、(井浦)新さんはいつか共演してみたい俳優の一人だったので、ご一緒できると知って撮影がとても楽しみでした。

――臨床心理士という役柄を演じるにあたりどのような準備をされましたか。

【水原希子】監督から臨床心理士の方を紹介していただいて、まずはカウンセリングを3回ほど受けてみました。ちょうど相談したいこともありましたし、とてもいい体験になったと思います。

ただ、私が演じたまほろは病院に勤める臨床心理士で、紹介していただいた方はセラピストだったので、病院勤めの臨床心理士の方のお話が聞きたいと思ってYouTubeで探してみたんです。そしたら気になる方を見つけて、直接コンタクトを取ってみたところ会えることになって。

映画「徒花-ADABANA-」の場面写真(C) 2024「徒花-ADABANA-」製作委員会


――ものすごい行動力ですね!

【水原希子】どうしても役を理解したかったので、行動せずにはいられませんでした。その臨床心理士の方は大きな病院に勤めてらっしゃって、毎日のように患者さんの様子を観察して記録に残しているらしいのですが、そのうちに担当する患者さんが実験対象に見えてくると、そんなふうに言っていました。

それを聞いて臨床心理士という仕事は“人との距離感や心持ちが大事なんだな”と思いましたし、すごく興味を惹かれました。おかげで新さん演じる新次との会話中のまほろのセリフの意図が理解できたのでよかったです。常に臨床心理士の方の言葉を参考にしながら演じていました。

撮影=三橋優美子


――監督は、まほろに関して「アイデンティティの不確かさに苦しみながら成長していく難しい役」とコメントされていました。水原さんの中でどんな部分が難しかったですか。

【水原希子】演じていて難しいと感じたのは、新次との距離感です。新次はこの病院にとってすごく必要な存在で、それを彼自身もわかっているからなのか、最初のほうに病室でまほろがカウンセリングをするシーンでは、新次から邪険に扱われたりするんです。そういう、なかなか一筋縄ではいかないような新次との距離感がすごく難しくて、悩みながら演じていました。

――井浦さんとの撮影で印象に残っていることを教えていただけますか。

【水原希子】まほろに関する“ある重要なシーン”を撮る日の朝、現場でナーバスになっていたら、新さんが「今はすごく不安だと思うし、クリアしなきゃいけないことがたくさんあるかもしれないけれど、それは考えなくていいから大丈夫だよ」と言ってくださったんです。

さらに「このシーンについて希子ちゃんが考えてきたことをただやればよくて、例えば台本のト書きにない感情になったり、ト書きに書かれていることができなかったりしてもまったく問題ないからね」という言葉もくださって。その瞬間に抱えていたストレスやプレッシャーが消えて自由になれたので、本当にありがたかったです。

井浦新演じる新次と水原希子演じるまほろ(C) 2024「徒花-ADABANA-」製作委員会


――その重要なシーンとは、新次が出ていないシーンのことではありませんか?

【水原希子】そうなんです。あのシーンの撮影時、新さんは先に帰られたと思っていたのですが、実は現場でモニターを見ていたらしく、カットがかかった後に側に来て「今のシーンがちゃんと撮れたからこの映画は大丈夫だね」と声をかけてくださったんです。その言葉に救われましたし、天使のような方だなと思いました。

撮影=三橋優美子


熊野古道での滝行で「母の愛が伝わり安心感に包まれていた記憶が蘇った」

――本作に登場する延命治療のために必要な「それ」という存在の純粋さに触れて、「これまでに自分が失ったものは何なのか」と考えてしまいました。水原さんは本作をとおして「失ったもの」についてどんなことを思いましたか。

【水原希子】本作をとおして感じたことではないのですが、最近“失ったと思っていたものが、実は失ってなかった”と思えるような体験をしたので、そのお話をしてもいいですか?

――もちろんです。お聞かせいただけますか。

【水原希子】私は12歳ぐらいからお仕事を始めて、16歳で上京したので一人で生きてきた時間が長いんですね。それで、母親はこちらから相談事をすればちゃんと向き合って話を聞いてくれるのですが、普段はあまり干渉しないタイプなので、心のどこかで“私のことをそこまで大切に思ってないんじゃないか…”と、少し孤独だったというか、距離を感じていました。

ところがある日、友人と一緒に熊野古道に行って滝行をしたら、子どものころに母が子守唄を歌ってくれていたことを思い出したんです。

撮影=三橋優美子


――それは滝行をするまで失っていた記憶だったのでしょうか?

【水原希子】完全に忘れていました。スピリチュアルな話になってしまって申し訳ないのですが、仏教徒の母が子守唄として歌ってくれていたのは不動明王のお経で、それを子どものころにベッドの中で聞いていた私は“温かくて気持ちいいな”と、母の愛が伝わり安心感に包まれていたと思うんです。

その記憶がふと蘇ってきた瞬間に、確信が持てなかった母の愛情を信じることができて、母との距離がより近くなりました。本当に不思議な体験でしたし、失ってしまった記憶は探せばちゃんと戻ってくるんだと実感しました。

――熊野古道での滝行にチャレンジしてみたくなりました。

【水原希子】ぜひチャレンジしてみてください。冬は寒いので夏場に行くといいかもしれませんね。

撮影=三橋優美子


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