東京屈指の人気フレンチ「L’AS」が福岡に上陸!五感で楽しむライブキッチンと、驚異的な満足感のフルコースを体感してきた

東京ウォーカー(全国版)

X(旧Twitter)で
シェア
Facebookで
シェア

2012年、東京・南青山に開店した際、「月替わりのおまかせコース(当時は5000円)」1本のメニュー構成を採用し、「美食界の価格水準に革命を起こした」と話題となった、兼子大輔シェフ率いる「L’AS(ラス)」。


2023年から4年連続で「ミシュランガイド東京」のビブグルマンに選出されるなど、東京のフレンチシーンで確かな評価を得ている人気店が、2025年9月12日、福岡・薬院エリアにオープンした。南青山店に続く2号店で、地方都市としては初めての展開となる。

店は西鉄・地下鉄薬院駅より徒歩約2分の好立地

【写真】兼子大輔シェフは大阪「ベカス」、東京「コートドール」を経て渡仏し、2012年南青山に「L’AS」をオープン。2014年イギリスの高級グルメ雑誌「FOUR」主催の世界の若手ベストシェフに選出されるなど、世界からも高い評価を受ける

店名の「L’AS」はフランス語で「第一人者」を意味。先駆者や挑戦者でありたいという兼子シェフの思いが込められている

石壁など自然のテクスチャーを活かした落ち着きのある店内

店内奥には8〜10人用の個室(ルームチャージ1万1000円)を備える

テーブルの隠し引き出しを開くとカトラリーが並ぶ。遊び心と業務の効率化を兼ね備えたアイデア


福岡店も月替わりの7000円のフルコース(9〜10品)1本に集約する潔さは同様。福岡出店の理由を創業シェフの兼子大輔さんは「街の人の食に対するアンテナの高さに加え、鮮魚や野菜、肉など周辺エリアの食材のポテンシャルが高い。ここでなら自分たちの“最適解”が更新できると考えました」と語る。

「L’AS福岡」シェフの中島陸さん。東京・丸の内の「フォーシーズンズホテル」を経て、「L’AS」にて5年間腕を磨いた


「L’AS」を語るうえで欠かせないのが、調理とサービスが一体化した“ライブ感”だ。単なるオープンキッチンの枠を超え、席によっては「厨房の中で食事しているよう」と評されるほど、厨房とホールがシームレスにつながった設計で、調理の音や香り、手さばきまでが演出の一部となり、食の臨場感を五感で味わえる。

福岡店のシェフを任された中島陸さんも「盛り付けの手元まで見えるほどの近さなので、正直怖さもあります。ただ、お客様の驚いた表情や『おいしいね』という反応もダイレクトに伝わるので、いい刺激になっています」と話す。


この日のコースは9皿で構成。幕開けはスプーンにのった「ひとくちの自家製モッツアレラチーズ」だった。

直前に練り上げた“モッツァレラチーズ”を急冷した牛乳の中でさらに凝縮させ、ミルク感とモチモチとした食感を倍増させる。「この製法だとミルク感とモチっとした食感だけ楽しめるんです」(中島さん)

言葉通り、できたての白玉のような滑らかな食感で、口いっぱいに広がるミルクの風味も含めてはじめての体験。あわせるオリーブオイルはフルーティーで芳醇な香りのスペイン産「マシア・エル・アルテット」を使うなど、素材選びにも妥協がない。


2皿目は「L’AS」のシグネチャーともいえる「フォアグラのクリスピーサンド」。バリッと香ばしい極薄のクッキー生地にフォアグラのムースを挟み、ひと口で甘味と塩味、香ばしさが広がる。個包装の菓子のようにパッケージに包まれて運ばれるプレゼンテーションを含め、店の遊び心と美意識が詰まった一品だ。

「千葉県八街市から届いた季節野菜の冷製ポトフ トマトとビーツのジュレ立て」。野菜の酸味や甘味引き立てつつ、ソース代わりに機能させるぎりぎりの塩味の効かせ方が印象的な一皿


3皿目以降も、派手さではなく緻密さと構成で魅せるのがL’ASのスタイルだ。

「冷製ポトフ」では一皿に色とりどりの野菜が盛られるが、それぞれ生・茹で・蒸しなど調理法や下味を変え、素材の持ち味を引き出したもの。

「オーロラサーモンのスモーク」はサクラチップで燻し、低温オーブンで1分40秒だけ火入れ。生でも火を通しすぎてもいない一瞬を狙って、サーモンの一番おいしい瞬間を閉じ込めた。

「オーロラサーモンの自家製スモーク アボカドのディップとディル風味のサワークリーム添え」。この日のペアリングでは、タンニン控えめでサーモンの口溶けを損なわず、熟れた柿のような香りをもつポルトガル産オレンジワインをセレクト

「アメリケーヌソースをシンプルに味わう一皿」。オマール海老の頭の殻で出汁をとった濃厚なソースが麺に絡む。シンプルな料理なだけにパスタは「マンチーニ」のリングイネを使用するなど、かけるべき素材への原価は惜しまない

「仔羊のロティ 茄子のソテーとタプナードソース」。肉の表面がうるうると潤んでみえる絶妙な火入れ。しっとり柔らかい仔羊とブラックオリーブを使った旨味のソースの相性がいい


表面的な流行や装飾ではなく、素材と火入れ、味の構築を最優先させる正統派フレンチに根差した技術は、兼子シェフの経歴からも読み取れる。兼子シェフはかつて、東京白金台にあった伝説的な店「コートドール」の斉須政雄シェフのもとで修業。

料理人にとって“聖地”ともいえる場所で、“火を通すとは、素材を変えるのではなく、素材を活かすこと”“料理は足し算ではなく、引き算”といった料理の本質を学び取った。

「『冷製ポトフ』では大根をコリアンダーなどのスパイスとともに下茹でしていますが、これは『コートドール』の技にヒントを得たもの。こういう地道な作業を積み重ねることで、身近な素材でも満足感を生み出せると思うんです」(中島さん)

ペアリングはシャンパーニュを含むグラス5杯で(5500円)、デザートワインプラスで6380円と良心的。ノンアルコールペアリングは3190円


また、「L’AS」では、料理に寄り添うペアリングも魅力のひとつ。ワインは世界各地のものを楽しんでほしいとフランス産に留まらず味の流れに合わせて構成。ノンアルコールペアリングでは、チャイスパイスやホワイトバルサミコ、旬の果実を使ったカクテルドリンクなどが登場する。

ワインを注ぐ統括ソムリエの光武聡さん


「一杯ごとに次の料理の入口をつくる意識で選んでいます」と語るのは統括ソムリエの光武聡さん。料理単体では得られない深い調和を、手頃な価格で体験できるのもうれしい。

オプション(550円)で頼める「マスカルポーネチーズ」。コース中に料理のプレゼンテーションを受け、注文できる。岩手県の巣鴨養蜂園のハチミツとオリーブオイルがかかる

デザートは「フォンダンチーズケーキ 8ヶ月熟成のコンテチーズと共に」。小麦粉を使わず、中心温度を測りながら焼いたケーキは口の中でふわっととろける究極の口どけ

コースの締めくくりは、「食後の焼き菓子」(この日はレモンバターサンド)と、「広島県梶谷農園から届いた季節のフレッシュハーブティー」


豪華な素材に頼らず、一方で調味料やシンプルに味わう素材は惜しみなくいいものを使用する。そのメリハリは効かせつつ、技と構成で食の豊かさ・楽しさを伝える。しかもフルコース7000円という戦略的な価格帯で。

高級レストランと遜色のないクオリティを肩肘張らずに楽しめる店として、福岡のグルメシーンに新風を巻き起こす店になりそうだ。

【「L’AS福岡」店舗詳細】
■住所:福岡市中央区渡辺通2-7-12
■電話:090-1798-1844(予約の電話は営業時間外のみ受付)
■営業時間:17時30分〜22時30分(LO20時30分)、土日祝12時〜14時30分(LO12時30分)、17時〜22時30分(LO20時30分)
■営業日:不定休
■席数:48席
■予約:電話、公式サイト、予約WEBサイト
■公式サイト: https://las-minamiaoyama.com

※チャージ料金として1人550円かかります。
※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。
※20歳未満の者の飲酒は法律で禁じられています。

この記事の画像一覧(全20枚)

キーワード

カテゴリ:
タグ:
地域名:

テーマWalker

テーマ別特集をチェック

季節特集

季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介

紅葉特集2023

紅葉特集 2025

全国約1100カ所の紅葉スポットを見頃情報つきでご紹介!9月下旬からは紅葉名所の色付き情報を毎日更新でお届け。人気ランキングも要チェック!

CHECK!全国の紅葉名所人気ランキングはこちら

イルミネーション特集

イルミネーション特集

全国約700カ所のイルミネーションを、エリアやカレンダーから探せる完全ガイド!クリスマスマーケット情報も!

CHECK!全国の人気ランキングをチェック!

東京人気ランキングも要チェック!

おでかけ特集

今注目のスポットや話題のアクティビティ情報をお届け

アウトドア特集

アウトドア特集

キャンプ場、グランピングからBBQ、アスレチックまで!非日常体験を存分に堪能できるアウトドアスポットを紹介

ページ上部へ戻る