北村匠海「俳優とアーティスト業の並行はおすすめできない」タフな精神力がないと厳しいと語る世界
東京ウォーカー(全国版)
2021年は映画『東京リベンジャーズ』や、ドラマ「ナイト・ドクター」などの話題作に出演し、「DISH//」としても精力的に活動した北村匠海。
そんな彼が“まるで過去の自分をのぞき見されているよう”と話すほど共感したという映画『明け方の若者たち』についてや、 “今も何者かになりたい”という思い、さらに「DISH//」がブレイクしたことで感じた責任と使命感について、赤裸々に語ってもらった。
演じた“僕”とは「必然的な出会いだったのかも」
――映画『明け方の若者たち』で演じた“僕”。どんなところに魅力を感じましたか?
【北村匠海】僕はこの役を受けた時に、古くからの友人でもある松本花奈監督に“芝居はしないよ”って言ったんです。というのも、映画の中の “僕“のように、自分自身も社会に対して思っていることはあるし、共感することも多かったんですよね。だからこそ、作り込んで芝居をしてしまうのは違うなと思いました。
――なぜ、この役のオファーがきたと思いますか?
【北村匠海】実は、原作のカツセマサヒコさんとお会いした時に、「映画化するなら北村君にやってほしくて、当て書きをしていました」と言っていただいたんです。その時に、“そんなことがあるんだ”と驚きましたね。でも、たしかに作中に出てくる明大前や下北沢、高円寺や大塚のバッティングセンターなどは、僕も青春の思い出がたくさん詰まっていて。さらに、劇中で使用されているキリンジさんの「エイリアンズ」やきのこ帝国さんの「東京」などを聴くと、すごく自分の“あの時”を思い出すんですよ。まるで自分の人生をのぞき見されているような、そんな感覚になりました。そう考えると、必然的な出会いだったのかもしれません。
――井上祐貴さんが演じた“尚人”との対比や、バディ感もすごく良かったです。
【北村匠海】ありがとうございます。井上くんと僕は、人としては正反対のタイプで。彼は目の奥がいい意味でギラギラしていて、すごく尚人っぽかったんですよね。とてもピュアで、眩しい人でした。
――いい意味での尖りを感じますよね。
【北村匠海】彼は大学4年生でこの世界に入っているんです。普通であればそこで就職をしたり、違う道も選べたりしたのに、そのタイミングでこの世界に入る決断をしたということは確固たる意志を持っているんだろうなと思っていて。そこにピュアさと、眩しさを感じました。僕は8歳という年齢からこの世界にいるので、井上くんのそのパワーがすごく羨ましいです。
16年間、仕事を頑張り続けたからこその今
――とはいえ、子役からお仕事をしているからこそ、人とは違うことを感じていたのではないでしょうか。本作の“僕”や“尚人”のように、“何者かになりたい”と思い悩んだことはありましたか?
【北村匠海】それは今も思っています。子供の頃からこの世界にいて、バイトも経験がないので、みんなが思う“普通”を経験できていません。中学・高校と夏休みは事務所の主催舞台に出ていましたし、中学でバスケ部に入った時も、監督に“芸能をやっているから試合には出せない”と言われたこともあって…。
――それでも部活は辞めなかったんですね。
【北村匠海】はい。バスケが好きだったからこそそれでも頑張っていたのですが、夏休みの1カ月、仕事のために部活を休むとどうしても実力に差が出てきてしまうんですよね。それからは後輩に教えるだけの役に徹していました。部活で感じた悲しみは多かった。僕はどこか、学生時代に熱く何かに取り組むというエネルギーが足りていなかったんです。
それこそ、井上くんからはそういったパワーをすごく感じたので、すごく羨ましいと思いました。もちろん、過去を振り返ると楽しかった出来事も多いですよ。でも、多感な時期にお仕事を16年間頑張り続けてきたからこそ土台が築けて、今が一番楽しいと思えます。
――10代の頃は、尖っていたこともありましたか?
【北村匠海】ありましたね~(笑)。18歳の頃は常に現場で、同世代の俳優のことを“芝居で倒してやる”と息巻いていました(笑)。その経験が今の僕を作っているし、ギラギラして、ワクワクして、悔しくて泣いたりもしたあの時期は、今思い出しても楽しかったなって思います。
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