コーヒーで旅する日本/九州編|何気なく日常を彩るコーヒーショップでありたい。「coffee roaster So&So」

九州ウォーカー

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全国的に盛り上がりを見せるコーヒーシーン。飲食店という枠を超え、さまざまなライフスタイルやカルチャーと溶け合っている。なかでも九州はトップクラスのロースターやバリスタが存在し、コーヒーカルチャーの進化が顕著だ。そんな九州で注目のショップを紹介する当連載。店主や店長たちが気になる店へと数珠つなぎで回を重ねていく。

イートインのコーヒーは500円〜

九州編の第18回は、福岡市・桜坂にある「coffee roaster So&So」。2021年12月にオープンしたばかりのロースタリーカフェで、渡邊裕介さん、由季さん夫妻が営む。もともと、大阪で家電メーカーに長年勤めていたご主人の裕介さんと、カフェ好きではあったものの、あくまで客として日常的にカフェを巡っていた由季さん。そんな夫妻がコーヒーを第2の人生に選んだ理由、福岡との繋がり、理想とするコーヒーショップの形を聞いてみた。

Profile|渡邊裕介さん
1974(昭和49)年、大阪府堺市生まれ。大学卒業後、家電メーカーに就職し、約20年間勤める。奥さんの由季さん(写真右)の趣味、カフェ巡りから、1杯のコーヒーで生まれる人との縁に魅力を感じ、それを機にコーヒーの世界にハマっていく。2019年3月に早期退職し、自家焙煎店開業に向けて準備。2021年12月に「coffee roaster So&So」をオープン。

焙煎も、店のスタイルも自由で良い

店内にはテーブル席と縁側をイメージしたベンチ席を用意

「So&So」は英文で使われる慣用句で、だれだれの、何々の、だれそれのといった意味がある。「私たちがなにかを発信するのではなく、お客さまそれぞれに、当店の雰囲気だったり、コーヒーの味わいだったりを自由に感じ、捉えていただけたらと思い、『coffee roaster So&So』と名付けました」と店主の渡邊裕介さん。

ゆえに店はシンプルで、無駄を削ぎ落としたような洗練された雰囲気。外壁も店内も白を基調としており、新しさもありながら、どこか普遍的な印象だ。

焙煎室とカフェスペースの境界をあえて設けない造り

店に入り、まず目に飛び込んでくるのが焙煎機。裕介さんは「カフェをやりたい」ではなく、どちらかというと焙煎のおもしろさもあって、コーヒーショップの開業を決意したそうだ。「2016年に京都の『大山崎COFFEE ROASTERS』というお店で、焙煎の体験をさせていただいたんです。その時に人生で初めて触れた焙煎機がGRN熱風式焙煎機だったんですが、体験してみると本当に面白くて。それを機におよそ4カ月にわたり、焙煎講習に通いました。私以外にも受講者が複数おり、みんな同じ環境、同じ生豆で焙煎しているのに焼いた豆を飲み比べてみると、味わいがまったく違う。もちろん、どれが正解というのもない。私は長年会社勤めをしており、コーヒーの世界に飛び込むには遅すぎると勝手に思っていたのですが、そもそも正解がないなら、とっつきやすいし、遅くないと思ったんです」と裕介さん。

わかりやすく、シンプルに

焙煎機の冷却槽がモチーフのロゴ。SとOを組み合わせ、コーヒー豆を思わせるデザインに

もともと裕介さんも、由季さんもいちコーヒーラバー。専門的な知識は持っておらず、純粋においしい、居心地が良い、そこに集う人たちがすてき、といったシンプルな理由で、たくさんのカフェやコーヒーショップを巡ってきた。だから「coffee roaster So&So」も専門的なアプローチは表には出さず、豆の味わいの表現も「さっぱり」「しっかり」「酸味」「苦味」の4つのテイストのバランスで伝える。

仕入れる生豆は時期により少しずつ変えていく

裕介さんは「コーヒーの勉強を始めると、産地はもちろん生産処理、標高、豆の品種など、さまざまな情報から味わいの違いがあることがわかりました。ただ、私も妻も客としていろいろな店を巡っていた時に、そういった情報がその店に通う理由にはならなかった。そんな私たちの実体験から、直感的なわかりやすさを大切にしたいと考えました。当店は豆売りが柱ですが、お客さまがご自宅で淹れる環境もペーパードリップ、コーヒーメーカー、フレンチプレスなどそれぞれ。よりおいしく淹れられるレシピもありますが、専門的なことは聞かれたらお答えするぐらいで良いのかな、と。だから私は『いつも通り淹れてください』という感じでお伝えすることが多いです」と、その理由を教えてくれた。

尖らず、丸みのあるコーヒーを

店前のベンチでもコーヒーを楽しめる

店があるのは福岡市内の赤坂のけやき通りから、桜坂へと抜ける通称、はなみずき通り沿い。周囲にはパティスリーやレストランなどが点在し、住宅街ながら、同エリアに目的を持って訪れる人は多い。もともと由季さんが福岡市出身で土地勘はある程度あったこと、さらに裕介さんがランニングコースとして、はなみずき通りをほぼ毎日走っていたことで、人通りは多く、活気があるエリアだとわかっていたそう。さらに、このエリアが持つ雰囲気の良さも裕介さん、由季さんともに気に入ったそうだ。

店内はグリーンが彩る、ボタニカルな雰囲気

2022年3月現在、店ではブレンド4種、シングルオリジン6種をラインナップ。焙煎度合いは中深煎りをメインにしており、浅煎りは1種、深煎りはブレンド、シングルオリジンでそれぞれ1種といった構成だ。中深煎りが大半を占めるのは、飲みやすさを重視しているから。

豆売りは100グラムから。中深煎りがメイン

「私たちが理想とするのは、この街に根付くコーヒーショップ。特別ではなく、日常に当たり前にある店、ふと立ち寄れるような間口の広い店でありたいと思っています。コーヒーも同じくで、多くの方が持たれている普遍的なコーヒーのイメージを大切にしています。そんな考えもあって中深煎りの種類が結果的に増えているのですが、なにより私自身、苦味と酸味のバランスがちょうどよくて、無理なくさっぱりと飲めるテイストが好き。ですから、当店のコーヒーは全体的にはっきりと個性が主張するような豆は少なく、柔らかな味わいを表現したいと考えています。新米を食べた時に、しみじみと感じるおいしさ。そんな感覚で日々飲んでいただけるコーヒーが私たちの目標です」(裕介さん)

【写真】コーヒーチーズケーキ(450円)など自家製のスイーツも楽しめる

「coffee roaster So&So」をレコメンドしてくれた 珈琲蘭館 の田原さんが話していたように、毎月変わるシーズナルブレンドもユニーク。裕介さんの趣味の一つに俳句があり、毎月季語をブレンドの名に冠し、さらにその言葉からイメージしたブレンドを作っている。その月にしか味わえないブレンドなので、定番のハウスブレンドと飲み比べるなど、試してみるのもおもしろそうだ。

コーヒーなどドリンクとホットサンド(500円〜)はテイクアウト可

今後、フジローヤルの小型のロースター、COFFEE DISCOVERYを設置し、焙煎のワークショップも行っていきたいと話す渡邊さん夫妻。裕介さん自身も焙煎をする機会に触れ、生き方が変わったように、そんな体験を通して、誰かの人生にコーヒーと生きていくという選択肢が芽生えるような気がしてならない。

焙煎は裕介さんが行うが、抽出やサービスなど店の切り盛りは夫妻で二人三脚


渡邊さん夫妻レコメンドのコーヒーショップは「The Explorers -Coffee,Tea&Alcohol Lab-」

次回、紹介するのは福岡市の西新エリアにある「The Explorers -Coffee,Tea&Alcohol Lab-」。
「ご兄弟で営まれているお店で、弟の貴大さんはもともと、私が福岡に暮らしていた時に通っていたカフェのスタッフ。それからのお付き合いですが、貴大さんは世界中を回る客船の乗組員として働くなど、さまざまな国のコーヒーカルチャーに触れられています。お兄さんの雄大さんもバックパッカーで世界一周をしたことがあり、その経験も活かされている。コーヒーは自由な飲み物であることを体感できるお店です」(由季さん)

【coffee roaster So&Soのコーヒーデータ】
●焙煎機/フジローヤル半熱風式1キロ
●抽出/ハンドドリップ(Kalita ウェーブドリッパー)
●焙煎度合い/浅煎り〜深煎り
●テイクアウト/あり
●豆の販売/ブレンド4種、シングルオリジン6種、100グラム750円〜

取材・文=諫山力(Knot)
撮影=大野博之(FAKE.)


※新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。

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