謎に包まれたミニカバの生態に迫る。野生でほとんど出会えず、むしろ動物園でしか会えないかも?【会えなくなるかもしれない生き物図鑑】
東京ウォーカー(全国版)
プレッシャーでいっぱいだった第1子誕生
――ニフレルでのミニカバの飼育は2022年で7年になるが、その間で村上さんが一番印象に残っている出来事が、モトモトとフルフルの第1子・タムタムの誕生だ。

無事誕生したという感動もありましたが、それよりも初めての繁殖・育成ということで、今後の飼育に対する不安が勝りました。とにかくプレッシャーが大きく、1~2カ月ほどたってお互いに慣れてきたあたりから、ようやく安心できるようになったと思います。
ミニカバはなぜメスが多いのか?オスがコントロールしている説も
また、最初に生まれたのがオスでよかったとも思いました。実はミニカバはオスメスの比率に大きな差があり、国内にいる個体はメスばかり。「ミニカバはなぜメスが多いのか」という論文が書かれているほど、オスメス比が違います。その理由はよくわかっていませんが、オスが増えると自分の縄張りを脅かすライバルが増えることになるため、そうならないようオス側が、何かしらコントロールしているのでは?とも言われています。繁殖のためにはオスとメス両方が必要ですから、数の少ないオスが生まれてくれて、うれしかったです。

母親が子供を踏みつぶさないために…。他園と情報共有も
――フルフルの初めての出産時には、先行して繁殖に成功しているいしかわ動物園から情報やアドバイスをもらい準備に臨んだが、それでも未体験の領域。さまざまな苦労があった。
妊娠が分かるまでも大変でした。モトモトとフルフルの交尾後、フルフルの体重が増えていたので妊娠しているだろうとは思っていました。ただ、母胎の中の子供を確認する作業に結構手こずりましたね。エコーを当てて診るのですが、なかなか場所が特定できず、意外と後ろの方、お尻ぎりぎりのあたりに子供がいました。


そして、いしかわ動物園からの事前情報で知っていたことなのですが、ミニカバは母親が子供を押しつぶしてしまうという死亡例が多いそうです。それを防ぐために、出産後の子供が踏みつけられないようにする「子よけ台」を設置しました。
また、出産前の準備の一つに、カバ用のプールの水を抜いて台を取り付け、陸地にするというものもあったのですが、これも作業がかなり大掛かりで、苦労した点です。生まれてからも大変なことはありましたが、出産準備にずいぶん手を取られました。
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