謎に包まれたミニカバの生態に迫る。野生でほとんど出会えず、むしろ動物園でしか会えないかも?【会えなくなるかもしれない生き物図鑑】

東京ウォーカー(全国版)

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ミニカバの住める環境が激減、絶滅に瀕している

――繁殖に成功し、飼育自体も順調に見えるミニカバ。しかし、その生態については、実のところわからないことも多いそうだ。

水中で戯れるテンテンと母親のフルフル写真提供:ニフレル


ミニカバ自体、野生の生態がよくわかっていないと言われています。その生息域は西アフリカ。シエラレオネなどですが、森林伐採の影響でミニカバの住める環境が少なくなっているため、絶滅が危惧されています。さらに、この辺りは紛争地域だったこともあり、治安が相当悪いとも言われています。

ミニカバは、群れではなく単独で生活する動物です。単独生活する動物は群れで生活する動物に比べ、1頭当たり必要な面積が大きくなります。これは、同じく単独で生活する野生のトラなどにも言えることですが、生息地の減少は、生息数の減少に直結すると考えられます。

柵をすり抜けて出てきてしまったタムタム写真提供:ニフレル


百戦錬磨の取材班ですら、野生では遭遇できなかった

NHKに「ダーウィンが来た!」という動物番組があります。あの番組はかなりスゴイ映像を撮影しているのですが、ミニカバについては現地で取材をしたにも関わらず、番組史上初めてスタッフが誰も肉眼でミニカバを観測できず、固定の監視カメラでやっと撮影できたそうです。ちょうどニフレルでタムタムが生まれたころに、取材で来館されたのでお話を聞きました。

ミニカバの状況は野生・自然界では非常にひっ迫していて、むしろ動物園でしか会えなくなる可能性がある動物です。ぜひ、生き物を通して、その生き物たちが本来暮らしている環境にも関心を持っていただければと思います。

お母さんと比べるとテンテンの小ささがよくわかる写真提供:ニフレル


写真を撮って満足するのではなく、レンズ越しでない生の姿を見て

――ミニカバはもちろん、野生のツアーなどではまず出会えない生き物に触れられるのが、動物園や水族館だ。村上さんに観察のポイントを聞いてみた。

ミニカバの展示エリア。プールで泳ぐ様子などをじっくり観察できる写真提供:ニフレル


まずは時間をかけて観察してほしいです。写真を撮ったらさっと次の動物に移動する人が結構多いのですが、やはりレンズ越しではない生の姿をじっくり見ていただきたい。私がよくやるのは、動物と同じ目線で見ること。特に泳いでいるときなどは上から見下ろすのではなく、同じ目線で見たほうが、ミニカバの行動を観察しやすいと思います。

ニフレルにはワオキツネザルなどもう少し小さな動物もいますが、そういった動物も上から見下ろすのではなく、動物の目線に合わせると面白さがより分かると思います。動物園や水族館にはたくさんの生き物がいますが、その中で1種類だけでも興味を持って深く見ていただくと、生息域や野生での生息数が減っているという背景が見えてくることも。そこにつながれば、私たちも飼育している意味があると思います。まずは名前を知るところから始めていただければ。

キュレーターにお世話をしてもらうテンテン写真提供:ニフレル


ニフレルのキュレーター(飼育担当者)は、お客様と動物をつなぐ架け橋。彼らは交代で観覧通路に出ていますので、「エサの時間は何時?」とか「あれは何をしているの?」など、気になったことをなんでもいいのでお尋ねください。きっといろいろなことが聞けると思います。彼らからさまざまな情報を聞き取って、ミニカバはもちろん、生き物の魅力を知っていただければと思います。

取材・文=鳴川和代

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