コーヒーで旅する日本/東海編|日々の経験を積み重ね、夫婦でゆっくりと歩んできた18年。「coffee Kajita」
東海ウォーカー
数値に頼らず、五感で微調整

カフェで提供するコーヒーはすべて、真二さんが1杯ずつハンドドリップで抽出。カウンター内は客席よりも一段下がっているので、どの席からも抽出の様子がよく見える。豆は中粗挽き。お湯は明確に温度を決めないもののおよそ90度以上に調整。なるべくコーヒーの味を邪魔しないよう、ペーパーは漂白したものを使っている。

「最初に豆を蒸らすときに、香りをチェックします。ローストしたばかりの豆はよく膨らむので、加減を見ながらの微調整が必要です」と真二さん。抽出が終わったら、改めて香りによる最終確認を行う。焙煎と同じく、温度や時間といった数値に頼るのではなく自らの五感を頼りに抽出するからこそ、環境に合わせた柔軟なチューニングが可能になる。
日々の積み重ねが生み出すもの
このように、データではなく感覚を重視した焙煎、抽出を積み重ねてきた真二さん。ところが、2020年にオープンした姉妹店「チーロバ」ではコーヒーに関して真逆ともいえるアプローチに挑戦している。豆は真二さんが焙煎したチーロバブレンドを使用しているが、抽出に関しては最先端のマシンを導入し、"誰が抽出してもおいしいコーヒー"を目指したのだ。

「姉妹店を始めようと考えていたころ、日本ではまだほとんど導入事例のないコーヒーマシン『セラフィム』を知りました。ハンドドリップのいいところは状況に合わせた微調整ができることですが、逆にそれが味のブレにつながることもあります。セラフィムは、お湯やコーヒーの量と抽出時間を設定しておけばボタンを押すだけで抽出できるため、ブレることがありません。お湯がシャワー上に注がれるところも理想的。シンプルで理にかなっていると思いました」

「チーロバ」では、要望の多かったコーヒーのテイクアウトも解禁。フードはスイーツではなくサンドイッチなどの軽食をそろえ、もちろんコーヒーの味も食事に合うブレンドにするなど、さまざまな点で「coffee Kajita」との対比がおもしろい。

「私たち夫婦の場合、常に明確な目標を掲げているわけではなく、タイミングが来たら日々の積み重ねが形になることで新しい展開が見えてきます。チーロバでのやりたいことも、日々の積み重ねから生まれてきたこと。振り返ってみると、続けているということが大事なのだと感じています。コーヒーに関しては、豆を選ぶことと、焙煎することが『coffee Kajita』の本質でしょうか。これは、毎日やっていないとわかりません。焙煎だけで人生が終わってしまうのではないかと思うほど、繊細な作業で、奥が深いですね」
梶田さんレコメンドのコーヒーショップは「山田珈琲」
「岐阜市にある『山田珈琲』のオーナー、山田英二さんとは、私がコーヒーについて勉強をしていたころからのお付き合い。もう30年近く、お世話になっています。初めて山田さんのコーヒーを飲んだときの衝撃は忘れられません。スペシャルティコーヒーというものを知らなかった当時の私は、『こんなコーヒーがあるんだ』と、明らかに今まで飲んでいたコーヒーとは違う味わいに驚いたものです。以来、教えを請えば親身になって丁寧に教えてくださいます。同じ業界に仲のいい友人が少ない私にとって、ありがたい存在です」(真二さん)
【coffee Kajitaのコーヒーデータ】
●焙煎機/フジローヤル直火式5キロ
●抽出/ハンドドリップ(コーノ式)
●焙煎度合い/中浅煎り~深煎り
●テイクアウト/なし
●豆の販売/200グラム1200円~
取材・文=大川真由美
撮影=古川寛二
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