コーヒーで旅する日本/九州編|常に数年後の未来を見据えながら。「タウトナコーヒー」が描き続ける“特別”を“日常”にするシナリオ
九州ウォーカー
新たな焙煎機を導入し、プレゼンにも変化が

そして2016(平成28)年、「タウトナコーヒー」は次のステップへと進んだ。新たな焙煎機の導入だ。選んだのはスイス・ビューラー社の完全熱風式。しかもサイズも5キロから20キロへと一気にサイズアップしたのは、開業から4年ほどでカフェ利用から豆売りを伸ばし、家で日々コーヒーを淹れて飲むという常連を着実に増やしてきたから。
「ビューラー社の焙煎機を選んだ理由は、品質の良い生豆が持つマウスフィール、甘さ、クリーンカップを引き出すのに最適だと考えたから。お客さまへの提案もより具体的にピンポイントにし始めたのもこの時期からです」。このエピソードを聞いて感じるのが、山下さんは冷静に自身が描いたシナリオを実践してきて、今があるということだ。話の端々に俯瞰して物事を見る力に長けているという印象を強く受ける。
面を広く取り、コーヒーの街へ

現在、「タウトナコーヒー」を訪れる客層はとても幅広い。コーヒー好きが定期的に豆を購入に訪れるのはもちろんのこと、近所のご年配の方々がふらりとやってきて、コーヒーを飲みながら会話を楽しむという風景も日常だ。これは山下さんが10年をかけて築いた形で、確実にスペシャルティコーヒーが当たり前のものとして地域の暮らしに根付いていると感じる。

最後に山下さんは「店を開いた10年前は、ある意味で孤独でした。近くに同じベクトルを持った同業者はいませんでしたし、気軽に相談もできませんでしたから。ただ今は、当店で働いてくれていたRainyday’s Coffeeの近藤くんをはじめ、スペシャルティコーヒーを柱とした同業の仲間が近くにたくさんいます。同じコーヒーを生業にする競合でもありますが、コーヒーの味わいはもちろん、店の雰囲気も、立地もそれぞれなので、お客さまにその時々の気分で選んでいただけるようになったのはローカルにおいては良いことだと感じています。コーヒーに親しむ“面を広く”。これができるようになれば、大分はもっとコーヒーが楽しい街になるのではないでしょうか」と話してくれた。
山下さんレコメンドのコーヒーショップは「珈琲カド」
「熊本市南区に新しくオープンした『珈琲カド』。私はまだ実際に足を運べていないのですが、オーナーの久保田さんとは昔から知り合いです。久保田さんはハンドドリップチャンピオンシップで日本1位になったこともあるバリスタだけに、どんな店作りをされているのか、とても興味があります」(山下さん)
【タウトナコーヒーのコーヒーデータ】
●焙煎機/ビューラー社 RM-20
●抽出/ハンドドリップ(Kalitaウェーブ)、エスプレッソマシン(La Marzocco Linea PB-2)
●焙煎度合い/中浅煎り〜深煎り
●テイクアウト/あり
●豆の販売/100グラム734円〜
取材・文=諫山力(knot)
撮影=大野博之(FAKE.)
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