コーヒーで旅する日本／九州編｜楽しみながら、地域貢献も少しだけ。「ROUND COUNTER」が古小烏町で愛されるワケ

信頼の置けるロースターがいるから

そんな久保さんが営む「ROUND COUNTER」では、カフェラテ(594円)やカプチーノ(550円)などエスプレッソベースのドリンクを味わってみてほしい。エスプレッソに使う豆は中煎りのハウスブレンド。グアテマラとエチオピアを1：1の割合でブレンドしたもので、さらにエチオピアはナチュラル、カーボニックマセレーションなど生産処理や品種が異なる3種の豆を使用。ラテにしてもコーヒー豆由来のキャラクター、個性をしっかり感じることでき、本当においしい。むしろミルクと合わせることで、フレーバーや香りがさらに際立っている印象だ。どちらかというと普遍的なコーヒーというよりも、個性的、エッジの効いたという表現が「ROUND COUNTER」のコーヒーにはよく似合う。

「コーヒー豆はREC COFFEEから仕入れさせていただいています。ヘッドロースターの前田くんとはREC COFFEE時代の同期で、長年一緒に働いてきた仲の良い友人でもあります。そんな関係性があるので、コーヒー豆について抽出のフィードバックをしたり、逆に焙煎度合いやブレンド比率で積極的な提案をもらうことも多いです。自家焙煎にシフトするのはコーヒーショップを営んでいく上でのセオリーの一つではありますが、僕の場合、相談しやすい素晴らしいロースターが身近にいてくれるので、自分で焙煎することは今のところ考えていません。さらに、REC COFFEEには岩瀬バリスタがいるからこそ仕入れられるクオリティの高い生豆があり、そういったコーヒーに触れられるのも魅力です」

今できる“最高”を淡々と

ドリンクはブレンド3種、シングルオリジン2〜4種から好みの豆をセレクトできるホットコーヒー、アイスコーヒー(各583円〜)に加え、エスプレッソ系、ソフトドリンクとシンプルな構成。フードもバターの代わりにマスカルポーネ、生クリームを使う食パンのトースト(297円〜)、塩麹・サワー種仕込みのバゲットとうきは市産のソーセージの相性が抜群のホットドッグ(847円〜)など数は多くはないが、一品一品にこだわりがしっかり。軽いランチがてらコーヒーやカフェラテ片手にのんびり過ごすといった利用にも良い。

店のすぐそばに保育園があることから、夕方は園帰りの保護者と子供が一緒に店を訪れるといったのどかな風景を目にすることもあり、古小烏町という地域にとても馴染んでいる印象だ。それを久保さんに伝えると、「店を開いて4年目に入りましたが、この地域に馴染んできたというにはまだまだ。先日も『こんなところにコーヒーショップができたんですね』と言われましたし(笑)。でもそれで良いんです。ぼちぼち自分たちのペースで営んでいけたら。今後の目標や展望も壮大なものはなくて、自分自身が楽しみながら、おもしろがれそうなことがあれば時に挑戦しながら、少しずつファンを増やしていきたい」と一言。

「ROUND COUNTER」の一番の魅力はこの久保さんのニュートラルなスタンスだと感じる。無理をせず、トレンドにも流されることはなく、布をベースにした自社のプロダクトとコーヒーを追求していく。今後もそういったスタイルが、「ROUND COUNTER」だからこそできるユニークな企画や取り組みに繋がっていきそうだ。

久保さんレコメンドのコーヒーショップは「REC COFFEE」

「僕の修業先でもある『REC COFFEE』。世界トップクラスのバリスタが率いる福岡を代表するコーヒーショップだけに、高い抽出技術を持ったバリスタがたくさんいます。さらに接客・サービスも素晴らしく、僕自身、今も見習わないといけないと思うことは多々ありますね。魅力的なカフェが点在する福岡において、クオリティ的にも間違いない、正統派のコーヒーショップだと思います」(久保さん)

【ROUND COUNTERのコーヒーデータ】
●焙煎機／なし
●抽出／ハンドドリップ(HARIO V60、ORIGAMI)、エスプレッソマシン(LA MARZOCCO GB5 S-2)
●焙煎度合い／浅煎り〜中深煎り
●テイクアウト／あり
●豆の販売／100グラム1188円〜

取材・文＝諫山力(knot)
撮影＝大野博之(FAKE.)

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