コーヒーで旅する日本/関西編|のどかな山麓に開いた洗練された空間。「THE INY COFFEE」で、アロマ際立つ濃密なエスプレッソを。

関西ウォーカー

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絶えず変化する、店に息づくクラフトマンシップ

豆の焙煎度は中~中深煎りが中心。ブレンドは時季ごとに配合を変える

日々、コーヒーを淹れるエスプレッソマシンは、前職で長年、親しんだ機体を譲りうけて愛用、「発売から30年くらい経っていて、今ではレトロの部類に入るマシン。中身の機構もアナログですが、その分、自分で修理もカスタムもできるし、バリスタの技術で良し悪しが出るので、使い込むほど馴染んでくるのがいいところ。マシンだけでなく、人の手業が息づくクラフト感のあるアイテムに惹かれますね」と稲田さん。DIYで仕上げたインテリアに、レコードや写真など、店の端々に稲田さんの感性が息づく空間は、“男の隠れ家”的な雰囲気もあり、年配の男性ファンも多いとか。

ジブラルタルのアイス版・ダーティニー550円。コーヒーとミルクが作るマーブル模様が目を引く


ただ、「インテリアには自分の趣味が出ていますが、空間は背伸びしつつも、コーヒーはあくまで普段使いの味わいで。日常の中で毎日でも飲める味を提案しています」と稲田さん。開業してから3年ほどはコロナ禍の最中だったが、この環境ゆえに、むしろ店を訪れる人は多かったという。「せっかく店をするなら好きなことをしようと思って、コロナ前はちょっと気取って、白衣着て店に立ってたときもありました。今も、常に店のどこかを変えています。思いついたら動く感じで、“来るたびに変わっている”と、よく言われますね」と笑う。

友人が営む姫路の和菓子店・井上茶寮のカヌレ羊羹1個300円は、店の名物スイーツとして好評。定番のダークチョコは、この店だけのオリジナル。季節替わりのフレーバーも楽しみの1つ


実は、ブルックリン時代に、カメラマンの先輩から“コーヒーか写真かどっちかを選んだ方がいい”と言われたそうだが、「でも、どっちも選べないから」と、今も二刀流を続けている。Man With Coffee&Photographyと店名に冠したのは、職人気質の稲田さんらしい意思表示だ。「店の規模を広げようとかは考えていないので、ここで自分がコーヒーを淹れて、より心地よい空間を追求したい。何しろ職人気質なので(笑)。10周年を迎えるときには、写真集を作りたいなと思っています」

カウンターの縁には、アメリカの作家、リーナ・レニー・ハイバーの名言、“まずコーヒー。考えることは二の次”のフレーズが


稲田さんレコメンドのコーヒーショップは「井尻珈琲焙煎所」

次回、紹介するのは、大阪市の「井尻珈琲焙煎所」。「店主の井尻さんは出張喫茶を経て、大阪の下町にあった純喫茶を改装して開店。コーヒーは深煎りのブレンド一本。うちはエスプレッソ主体でコーヒーの種類は違いますが、同じコーヒー屋を営むものとして店の在り方や所作、音楽のことまで、たくさんの刺激をいただいた大先輩です」(稲田さん)

【THE INY COFFEEのコーヒーデータ】
●焙煎機/ワイルドコーヒー2.5キロ(半熱風式)
●抽出/エスプレッソマシン(ラ マルゾッコ)、バッチブリュー(モカマスター)
●焙煎度合い/中~中深煎り
●テイクアウト/ あり(550円~)
●豆の販売/ブレンド1種、シングルオリジン3種、200グラム1600円~


取材・文/田中慶一
撮影/直江泰治


※新型コロナウイルス感染対策の実施については個人・事業者の判断が基本となります。

※記事内の価格は特に記載がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

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