コーヒーで旅する日本/九州編|飾らず、いつも等身大であること。西新の「珈香」が歩んだ37年

九州ウォーカー

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全国的に盛り上がりを見せるコーヒーシーン。飲食店という枠を超え、さまざまなライフスタイルやカルチャーと溶け合っている。なかでも九州はトップクラスのロースターやバリスタが存在し、コーヒーカルチャーの進化が顕著だ。そんな九州で注目のショップを紹介する当連載。店主や店長たちが気になる店へと数珠つなぎで回を重ねていく。

【写真を見る】コーヒー豆の種類はブレンド、ストレート合わせて約20種と多彩

九州編の第80回は福岡市城西にある「珈香」。福岡市の西の副都心、西新エリアに昔からあるコーヒー店として知られ、幅広い年代に愛されてきた。とくに西新という土地柄、大学生の利用も多く、「自家焙煎店でマスターが一杯点てしてくれる、いわゆるちゃんとしたコーヒーを飲んだのはここが初めて。それから今もずっと通い続けています」という常連も。コーヒーに詳しくなくても、味の細かな違いがわからずとも、だれでもウェルカムな老舗のコーヒー店。37年にわたり西新という街で愛され、昔から変わらないスタイルで営みを続けている「珈香」の魅力に触れてみたい。

マスターの智原重治さん

Profile|智原重治(ちはら・しげはる)
福岡県福岡市出身。喫茶店という空間に憧れ、19歳で福岡市の老舗・珈琲舎のだで働き始めたのがコーヒーの入口。12年にわたり珈琲舎のだに勤め、その当時あったファッションビル、マツヤレディスの店舗で店長を務めた。その当時からいつかコーヒー屋を開いて独立したいという目標を持ち、1986年(昭和61年)8月に「珈香」を開業。

燻されるほどに味わい深く

地下鉄西新駅からやや南にある

地下鉄西新駅から歩いて5分ほど。八百屋や精肉店といった商店が軒を連ね、中規模のスーパーマーケットもあり、地元民が日常的に足を運ぶエリア。そんなどこか下町感のある一帯の立体駐車場併設のテナントビルに「珈香」はある。観葉植物に彩られた外観、短く突き出した煙突、そして緑色の店頭幕がシンボル。店に入ると焙煎とタバコの煙によるものだろうか、セピア色を思わせるクラシカルな雰囲気で、新聞や雑誌を読む常連と思われる人たちがそれぞれに憩う姿ものんびりとしていていい。

今は珍しい喫煙OKのコーヒー店

マスターの智原重治さんは「最初からコーヒーとケーキの店として開業しました。店を開いた37年前と、スタイルもメニューも大きく変わっていませんね。変わったのは壁の色が少しずつ燻されてきたことと、私が歳をとったことぐらいでしょうか」とニッコリと笑う。

名店の名を掲げ

立体駐車場を併設したテナントビルの1階で営み、37年

福岡市の老舗喫茶、珈琲舎のだからコーヒーの世界に入り、カウンターマンとしての仕事を学んだ智原さん。珈琲舎のだといえば街場の喫茶店ではあるのだが、どこか凛とした雰囲気で、コーヒーを淹れる所作も無駄がなく美しい。いつもニコニコとしている智原さんもまた流れるような手付きでサイフォンを操り、コーヒーを点ててくれる。サイフォンで抽出するのは珈琲舎のだ譲りだ。

サイフォンで抽出する智原さん

「この店はもともと珈琲舎のださんが姉妹店を出すという話が進んでいた物件だったのですが、私も自分の店を持ちたいという話を常々していたことから、当時の社長が私の背中を押してくれたんです。大変恵まれた環境で独立させていただいたと今も感謝しています」と智原さん。確かに言われてみると、店頭幕に大きく書かれた「珈香」の右下に“珈琲舎のだ”の文字が見て取れる。「社長は暖簾分けのようなイメージでこの物件を私に譲ってくれました。私も珈琲舎のだの名を掲げるからには、恥ずかしくない仕事をしようと身の引き締まる思いでしたね」と続ける。

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