コーヒーで旅する日本/九州編|夢を追いかけ、サラリーマンから焙煎士へ。真摯にお客と向き合ってきた「木家珈琲倶楽部」の20余年

東京ウォーカー(全国版)

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直火式による超蒸らし焙煎法

焙煎機はしっかり掃除も行き届き、丁寧に使ってきたことがわかる

「木家珈琲倶楽部」では創業時から直火式の焙煎機を使用している。井上さんは「この焙煎機は山口市にある『花あそび』さんから譲ってもらったもの。もともと趣味で焙煎していた際も直火式の小型焙煎機を使っていたことから、直火式を探していたとき、人づてに『花あそび』さんを紹介いただきました。『花あそび』店主の佐々木さんがわざわざ店まで焙煎機を運んできてくれて、設置までしてくださって。本当に助かりました」と開業当時を振り返る。

井上さんの焙煎知識、技術の向上はほぼ独学。いちコーヒーラバーとして純粋においしいか、香り高いか、甘味・酸味・苦味のバランスは取れているかを自身に問いかけながら、焙煎の知識を蓄え、技術を磨いてきた。「もちろん今も正解は見つかっていませんよ」と口にするが、「それでも」と前置きをして、こんなことを話してくれた。

井上さんの理想は、クリアだけどコクはしっかり感じられるコーヒー

「私は『超蒸らし焙煎法』と呼んでいる、ある程度自身のセオリーに沿ったやり方をベースにしています。文字通り、豆を釜の中で蒸らすイメージで焙煎する方法で、生豆に含まれている水分を抜く際、どのぐらいの速度で抜くかを重視したやり方になります。火力の強弱、排気量などを豆の種類によって微調整し、水分はしっかり抜けているのだけど、香りや個性は残すというのが私が理想とする焙煎。どの豆もその点を最も注意しながら日々焙煎と向き合っています」。言葉通り、直火式で焼いた深煎りのコーヒーでも焼き味はほどよく、しっかり豆の個性が引き立っている印象。井上さんの焙煎技術、丁寧な仕事ぶりを感じられるはずだ。

常連の数だけ豆の種類も増えて

ラベルの色が焙煎度合いを表している。白は浅〜中煎り、グレーは中深煎り、黒は深煎り

もともと開業した際は12、13種ほどだった豆は今や45種ほどと4倍近く増えている。これはスポットや限定で出していた豆が好きという常連がいたため、なくすことができなくなってしまったことが理由だそう。これは「木家珈琲倶楽部」が一人ひとりの客と真摯に向き合い、できる限り喜んでもらおうという思いの表れだ。

コーヒーミルやケトルなども販売

娘さんが描いた版画などが飾られ、どこかほっこりとする

住宅街でひっそりと、ただ着実にファンを増やしながら歩んできた「木家珈琲倶楽部」のこの20年。わざわざ足を運んでくれた客を思うそんな姿勢は、どんな業種の店を営むにしても必須だと感じた。


井上さんレコメンドのコーヒーショップは「花あそび」

「山口県・山口市と防府市にある『花あそび』さんは、私が店を開く際に焙煎機を譲ってくれたお店。創業者の佐々木さんは熊本出身ということもあり、大変親切にしていただきました。今はご主人はお亡くなりになりましたが、奥さんが山口市で、息子さんが防府市で自家焙煎店を営まれています。佐々木さんには生前、何度か当店に足を運んでいただき、お会いする度にたくさんの刺激をいただきましたね」(井上さん)

【木家珈琲倶楽部のコーヒーデータ】
●焙煎機/フジローヤル直火式5キロ
●抽出/ハンドドリップ(HARIO V60)
●焙煎度合い/浅煎り〜深煎り
●テイクアウト/あり
●豆の販売/100グラム620円〜


取材・文=諫山力(knot)
撮影=大野博之(FAKE.)

※新型コロナウイルス感染症対策の実施については個人・事業者の判断が基本となります。

※記事内の価格は特に記載がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

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