コーヒーで旅する日本/九州編|ツタに覆われた長門・仙崎のロースタリーカフェ「Cafe Struggle」。20年営みを続け見えた変わらないこと、変えるべきこと
東京ウォーカー(全国版)
コーヒーで尖る必要はない

一方で創業時から変わらないのは焙煎環境。フジローヤルの半熱風式5キロを独立したときから使用しており、定番ブレンド3種、シングルオリジン7〜9種を常時用意している。驚くのがその価格の手ごろさ。200グラム900円という豆も複数あり、しかも店頭などでは一切謳っていないもののすべてスペシャルティ規格の生豆を使っているという。

「原料費が上がってきているので値上げせざる得ない種類も出てくるとは思いますが、定期的に通ってくださる地元の常連さんもいてくださるので、できる限りお求めやすい価格で、というのは常に意識しています」と廣田さん。
豆のラインナップはまろやかブレンド、みすゞ通りブレンド、くじらブレンドを筆頭に、グアテマラ、コロンビア、ブラジル、マンデリン、エチオピア・モカ、珍しい産地だとドミニカなどもある。焙煎度合いは飲みやすさを重視して中煎りが大半。生産処理もウォッシュトの生豆を選ぶことが多いそう。その理由は個性を前面に押し出したくないから。もちろん“あえて”だ。この生豆のセレクトの仕方、万人が飲みやすい中煎りがメインという焙煎度合いは廣田さんの人柄をよく表していると感じた。
ツタに覆われたノスタルジックな空間

自分自身もカフェ経営を楽しむという意味で適度な変化は大切にしつつ、普遍性が大事な部分は変えずに20年にわたり店を続けてきた廣田さん。店がある仙崎地区は長門市内では観光地として知られるエリアで、道の駅センザキッチン、金子みすゞ記念館、少し足を伸ばせば青海島など、観光客が訪れるスポットがたくさん。

その中で「Cafe Struggle」は異色の佇まいのカフェとして知られる。建物はもともと農協の事務所で、店内壁面に残された埋め込み式の金庫が印象的。廣田さんが店を開いた20年前は「ここで店ができるのか?」と躊躇するほど暗い雰囲気で、周囲からも反対されたというが、「実家から近いし、昔から過ごした馴染みある場所だから」という理由でここで開業。

ただ今や唯一無二の空間のカフェとして広く知られるようになった。ツタに覆われた倉庫を思わせる建物、レトロな店内のしつらえ、そして廣田さんが大切にしてきたコーヒー。長門市を訪れた際は「Cafe Struggle」でしか味わえないカフェ時間をぜひ体験してほしい。

廣田さんレコメンドのコーヒーショップは「徳山コーヒーボーイ」
「山口県に複数の店舗を展開する人気ロースタリー『徳山コーヒーボーイ』。代表の河内山さんには開業時にさまざまなアドバイスをいただいたり、私にとってコーヒーの師匠的な存在。今も近くに来た際は店に立ち寄ってくださったり、大変お世話になっている方です」 (廣田さん)
【Cafe Struggleのコーヒーデータ】
●焙煎機/フジローヤル半熱風式5キロ
●抽出/エスプレッソマシン(BOSCO Sorrento)、ハンドドリップ(Melitta アロマフィルター)
●焙煎度合い/中煎り〜深煎り
●テイクアウト/あり
●豆の販売/200グラム900円〜
取材・文=諫山力(knot)
撮影=大野博之(FAKE.)
※新型コロナウイルス感染症対策の実施については個人・事業者の判断が基本となります。
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