コーヒーで旅する日本/九州編|流行にとらわれず、コツコツと積み上げた土台に根を張って。「A little COFFEE」は今日も真摯に
東京ウォーカー(全国版)
ひたむきさが伝わるコーヒー

店で使用しているコーヒー豆はREC COFFEEから仕入れており、シングルオリジン3種、ブレンド2種を常時用意。さらに時期によってはプレミアムな豆がラインナップに加わることもある。中でもバリスタである牛島さんが日常的に飲むのに適した味わいと考えるのが、オリジナルのTORIKAI BLEND。2024年11月現在は、ブラジル・コロンビア・ニカラグアをブレンドした中煎りで、酸味、甘さ、ボディ感、苦味のバランスが絶妙。香りはローストしたアーモンド、味わいはチョコレートやビターキャラメルを思わせる甘さ、さらにマンダリンオレンジのような酸も感じる。まさに幅広いコーヒーラバーに好まれる一杯だ。

「お客さまがイメージしているコーヒーと、私が考えるデイリーで飲むのに理想のコーヒーの距離感を詰める立ち位置のブレンドです。それぐらい普遍的な味わいのコーヒーとなるよう抽出する際も意識しています」と説明する牛島さん。

ハウスブレンドがその店の名刺代わりになるコーヒーと考えると、やはり「A little COFFEE」のスタイルは正統派。牛島さんのこのような何気ない考え方を聞いて感じるのが、朴訥としているからこそ、しっかりと芯が一本通ったコーヒーショップであるということ。昨今、新しくオープンする店はSNS映えなどを意識したところが多いなか、しっかり地に足が着いた安心感。これが個人的に「A little COFFEE」に抱いた印象だ。こういうカフェが暮らしのそばにあるだけで、きっと日々が豊かになるだろう。
飾らず、素の自分で表現し続ける

牛島さんは2016年のジャパン バリスタ チャンピオンシップでセミファイナリスト16名の一人に選ばれた実績から分かるように、抽出に関して確かな技術、知識を有している。ハンドドリップ、エスプレッソマシンともに淹れ方一つで味わいは大きく変わることを考えると、バリスタとして積んできた経験があるのは大きなアドバンテージ。ただ牛島さんがコーヒーを淹れる際、気をつけているのは自分の色を出さないこと、コーヒーに余計な要素を加えないことだという。

「REC COFFEE時代から言われ続けてきたことの一つが、豆の個性を素直に引き出す抽出です。その理由に、豆自体のクオリティが高いスペシャルティコーヒーだからというのが根底にありますが、やはり余計な味わいを加えることなく、雑味を極力出さないよう淹れると素直においしい」
なんでもそうだが、何かを付け加えていくより、要素を削り、ブラッシュアップしていくほうが難しいもの。そういった基本の考え方、バリスタとしての土台を大切に日々コーヒーと向き合う牛島さん。ぜひ、そのスタンスも含めて、「A little COFFEE」で自分なりの心地よい時間を過ごしてほしい。

牛島さんレコメンドのコーヒーショップは「CARVELL」
「もともとREC COFFEEで一緒に働いていた砂田さんがオープンさせた『CARVELL』。古着屋に併設する一風変わったスタイルのコーヒーショップですが、より幅広い人にコーヒーを飲んでもらうという意味では理想的だと思っています。ファッション×コーヒーという砂田さんならではのスタイルで、今後注目を集めていきそうです」(牛島さん)
【A little COFFEEのコーヒーデータ】
●焙煎機/なし
●抽出/エスプレッソマシン(Victoria Arduino Eagle One PRIMA)、ハンドドリップ(HARIO V60)
●焙煎度合い/中煎り〜深煎り
●テイクアウト/あり
●豆の販売/100グラム1200円〜
取材・文=諫山力(knot)
撮影=坂元俊満(To.Do:Photo)
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