コーヒーで旅する日本/九州編|コーヒーはどんなパズルにもはまるピース。「CARVELL」が表現する新しいコーヒーのカタチ
東京ウォーカー(全国版)
そんな堅実な店のスタイルに触れてきた砂田さんが独立に際して、今の環境を選んだのはなぜだったのか。
「そこまで深い意味はなくて、昔からの友人である中橋さんも独立を考えていた時期で、ちょうどタイミングが重なったというのが一つ。そして僕ももともとファッションが好きで、中橋さんが表現したい世界観に共感できたのも大きかった。なんというかファッションやライフスタイルには、何かしらのバックボーンがないとダメだと僕は思っていて。コーヒーも然りで、生産者や農園で働く人たち、エクスポーター、ロースターなどさまざまな人の手が加わって、僕たちが当たり前にコーヒーを飲むことができる。これもコーヒーの裏側に流れる一つのバックボーンです。一方でコーヒーはどんな場所、どんな時間にもアジャストできるパズルのピースのようなものだと考えています。この店はファッションというパズルにコーヒーというピースをはめ込んだイメージ」

砂田さんはその考えから活動の場をさらに広げ、ファッションだけじゃなく、異なるジャンルのショップのポップアップに参加するなど、いろいろな場所でコーヒーを淹れ、幅広い人々に飲んでもらう機会を作っているそう。今後はさらにそういった提案に力を入れていく予定だ。
コーヒー×◯◯◯が生み出すもの

「CARVEL」で使う豆はREC COFFEEの中煎りの博多ブレンド、深煎りのキッサブレンド、それにシーズナルで変わるシングルオリジン1種が基本。この豆のラインナップ、特にブレンドのセレクトからわかるのが、古着店の中という立地を意識し、特段コーヒーが好きという人じゃなくても“普通においしい”と感じられるような、ストライクゾーンの広いコーヒーを入口にしようとしているということ。小難しさはなく、こだわりを特に押し付けるでもなく、ただシンプルに飲みやすい・おいしいというコーヒーの出会いをバリスタとして演出する。この味わいのプレゼンの仕方はREC COFFEE出身の砂田さんらしさかもしれない。

抽出はオープンした2024年6月から約4ヶ月はハンドドリップのみだったが、ここ最近エスプレッソマシンも新たに導入。カフェラテなどエスプレッソベースのドリンクの提供もスタートしたところだ。

最後に古着店を何気なく見ていると、不思議なプリントがデザインされたスウェットが目に入った。
「先日行ったCARVELL×植物屋(観葉植物)×三里窯(焼き物)のギャラリーショップ用にオリジナルで作ったスウェットです。3つのブランドに共通する“匠”をテーマに、60年代のヴィンテージスウェットをサンプリング。フロントにはヴィンテージの数式ネタをコーヒーと植物と焼物のデザインに落とし込みました」と教えてくれた砂田さん。
まさに、こういう形でコーヒーのことや、それにまつわるカルチャーを発信・提案していくというのも、「CARVELL」だからこそできることなのかもしれない。
砂田さんレコメンドのコーヒーショップは「NIKO COFFEE」
「昔から親交がある美容室のオーナーさんが山口県下関市に開いた『NIKO COFFEE』。他業種の方だからこそのコーヒーの視点や見方、表現方法があると思っているので、発見も多そう。2階がカフェ、3階が美容室と、こちらもユニークな造りです」(砂田さん)
【CARVELLのコーヒーデータ】
●焙煎機/なし
●抽出/エスプレッソマシン(Victoria Arduino Eagle One PRIMA)、ハンドドリップ(HARIO V60、ORIGAMI、コレス ゴールドフィルター)
●焙煎度合い/浅煎り〜深煎り
●テイクアウト/あり
●豆の販売/なし
取材・文=諫山力(knot)
撮影=坂元俊満(To.Do:Photo)
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