視覚障害者の「読み書き」「移動」の不自由を解決へ!情報とテクノロジーで障害者の自立を支援する、自身も視覚に障害を抱えるアメディア代表の想い
東京ウォーカー(全国版)
「読みと移動で、世界を広げてほしい」望月さんの野望とは?
ーーこれから視覚障害者の方々に向けてプロダクトを開発していくうえで、今後の展望を教えてください。
【望月優】そうですね。今、災害時の避難が検討課題になっているのですが、特に障害者や高齢者など、ひとりではなかなか避難できない「要支援者」の行動避難をどうするかがテーマになっています。そこで、個別避難計画っていう計画書を作ることが、各市区町村、自治体の努力義務になっているそうなのです。災害対策基本法という法律があって、令和3年から7年までの5年間の間で、なるべく、基本的に支援が必要な人の個別避難計画を作ってくださいっていうことになっているみたいです。そこに弊社のナビレク・バリアフリーマップが役立つのでは?と思っています。


ーーどのように役立つとお考えでしょうか?
【望月優】避難場所までの地図を確認しておくことが大事なのですが、視覚障害者はそもそもの確認ができないわけです。そこで、バリアフリーマップで自宅から避難場所までの経路を作って個別避難計画に組み込み、視覚障害者に渡すということをしてはどうかと思い、現在行政に営業を行っている段階です。
【望月優】この取り組みの一番いいところは、視覚障害者が普段から避難の練習ができることです。平常時に自宅から避難場所まで行ったり来たりしておけば、いざとなったときにも行動できます。何かあったときに最終的に判断するのは自分自身です。だからこそ、行動できるという選択肢があることが大事なのです。そういう意味でも、ナビレクの普及は非常に意義があると思います。
ーーいざという時に自分で行動できるというのは、非常に安心しますよね。最後に、事業における望月さんの野望を教えてください。
【望月優】読み書きと移動の不自由で言うと、読みについては創業時からほぼ30年以上ずっとやってきたわけですね。それで今、精度としてはかなりいいレベルまで来ているので、今後も進めていきたいです。あとは視覚障害者以外のマーケットに切り込めるチャンスがあればぜひ展開したいとは思うんですが、まずは視覚障害者自身にもっと使ってもらいたいですね。
【望月優】視覚障害者の多くは活字を読む習慣がないんです。まあもともと読めなかったので仕方がないのですが…。どうも活字を読まない生活に慣れ親しんでいる人が多いので、「人生もったいないよ」ということを個人としては伝えたいんですね。世の中にはいい本や文章がいっぱいあります。また、食品のラベルなんかも読めると、自分がどんなものを食べているのかを知ることもできます。よむべえブランドを使うとなんでも読み取ることができるので、ぜひ文章を読んで、人生を豊かにしてほしいなと思います。文字が読めると世界が広がりますからね。

ーーでは、移動においての野望をお聞かせください。
【望月優】2030年までに、視覚障害者が日本全国どこにでも行ける環境を作りたいという目標があります。ですが、今のやり方だと効果的には増えていかないと思いますので、自動的に地図が作れる仕組みを構築したいと考えています。そして、視覚障害者自身がどんどんリクエストを行って、実際に行きたいところの地図が増えていけば最終的には全国各地を網羅できるのではないかと思っています。現在はそのような効率的に地図が作れる仕組みを作っている段階ですね。こちらの構築についてはもうしばらくお待ちください。
ーー誰もがどこでも行きたいところに行ける。そんな社会の実現につながればいいですね。
【望月優】そうですね。さらに、目の見える方々にも使ってもらえるようなものになっていくといいなと考えています。2030年までに、誰もが日本全国どこへでも行けるようになるよう、これからも頑張っていきます。
この記事のひときわ
#やくにたつ
・課題を見据えることで商品のヒントが見つかる
・プロダクトには想定外の需要があることも
・バリアフリーは、社会で生活するすべての人のためのもの
取材・文=越前与
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