コーヒーで旅する日本/関西編|原点はベルリンで体感したカフェの本質。「solkatt coffee kyoto」がコーヒーを介して広げるコミュニティの場

東京ウォーカー(全国版)

X(旧Twitter)で
シェア
Facebookで
シェア

原点回帰で目指す新たなコミュニティの場

豆はシングルオリジン5種を季節替わりで提案

独立にいたるまで、国内外のさまざまな現場で経験を積んできた山本さんだが、今もバリスタとしてアップデートを欠かさない。ドリップコーヒーの抽出には、新たにイギリスのオレア社のドリッパーを採用。さまざまな形状の抽出口の取り換えが可能で、「いろいろ試しがいがある器具」と山本さん。また、アイスコーヒーは、エスプレッソを使ったアメリカーノをペーパーで濾して作る、独自のレシピで提供。「この店のエスプレッソは、クレマが少なくさらりとしてるので、アメリカーノに向いています。加えて、味の濃度を確保し、香りの輪郭をくっきりさせる効果もある。かなり手間がかかりますが、それに見合うだけの味わいが作れます」と、一見シンプルな一杯にも、細やかに工夫を凝らしている。

客席はできるだけ仕切らず、お客同士の境界をなくす工夫をしている


とはいえ、山本さんが重きを置くのは、コーヒーそのものを追求することではない。「もともと自分がやりたかったことは、コーヒーを媒介にコミュニティを広げる場として店を使ってもらうこと。ベルリンでの体験が原点にあって、現地では何かとみんなでカフェに集まるという習慣が新鮮で。カフェの本来あるべき姿を見た感覚。日本にはない場所だなと。そのヨーロッパのカフェカルチャーに触れて、その中で自分もコーヒーを淹れたいと思ったから。だからコーヒーがおいしいのは当たり前で、その先を求めてきてもらえる場を、ここから始めたい」と山本さん。店内もお客同士の境界を作らないよう、できるだけ開放的な空間作りに腐心している。

「東寺からも近く、周辺にはゲストハウスも増えているから、これから海外からのお客さんも増えてくれたらうれしい」と、思い出の詰まった地元で、新たな拠り所を目指す山本さん。誰もが普段使いの感覚で立ち寄れるこの店は、やがては、国内外の人々が交わる、小さな広場のような空間になるかもしれない。

アイスコーヒー600円。氷を溶かしつつ飲むと、後から開いてくる香りは、エスプレッソを使っているからこそ


山本さんレコメンドのコーヒーショップは「Yoshihara」

次回、紹介するのは、京都市上京区の「Yoshihara」。
「店主の良原さんは、京都のKurasuでヘッドロースターを務めたのち、2023年に独立されました。シェアロースト先が同じで、同じ豆を使うこともありますが、表現やアプローチが全く違うのがおもしろいですね。二条城北側の住宅街という穴場の立地で、町家の風情を活かした土壁と弁柄色の床の組合せが素敵な空間、ご夫婦の人柄が醸し出す落ち着いた空気感も心地よい一軒です」(山本さん)

【solkatt coffee kyotoのコーヒーデータ】
●焙煎機/ローリング スマートロースター7キロ(完全熱風式)※シェアロースト
●抽出/ハンドドリップ(オレア)、エスプレッソマシン(ラマルゾッコ)
●焙煎度合い/浅煎り
●テイクアウト/あり(600円~)
●豆の販売/シングルオリジン5種。180グラム1850円~


取材・文/田中慶一
撮影/直江泰治

※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

  1. 1
  2. 2

この記事の画像一覧(全9枚)

キーワード

テーマWalker

テーマ別特集をチェック

季節特集

季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介

花火特集

花火特集2025

全国約900件の花火大会を掲載。2025年の開催日、中止・延期情報や人気ランキングなどをお届け!

CHECK!2025年全国で開催予定の花火大会

おうちで金麦花火セット

夏休み特集2025

夏休み特集 2025

ウォーカー編集部がおすすめする、この夏の楽しみ方を紹介。夏休みイベント&おでかけスポット情報が盛りだくさん!

CHECK!夏祭り 2025の開催情報はこちら

おでかけ特集

今注目のスポットや話題のアクティビティ情報をお届け

アウトドア特集

アウトドア特集

キャンプ場、グランピングからBBQ、アスレチックまで!非日常体験を存分に堪能できるアウトドアスポットを紹介

ページ上部へ戻る