家系ラーメンはなぜ全国に広まったのか?総本山「吉村家」創業者が明かす“魂”の40余年
東京ウォーカー(全国版)
貫き続けた「苦しい楽しさ」、成功を支えたのは“当たり前“の積み重ね

――しかし、今も自ら毎日仕込みをされているということに大変驚きました。一つのことを40年以上続ける精神力、すごいですね。
【吉村実】精神力はないよ。もはや楽しみなだけ。逆に給料をもらっているときはつらかったね。今は月8万の年金と、1回2000円の飲み代があればそれでいい。儲けはすべて従業員とお客さんに還元できれば。続けることで好きになれて、楽しくなれた。だから続けてこられたって思うな。
――とはいえ、ラーメン店の仕事は大変ですし、楽しみの中にも苦しさはあるじゃないですか?どうしたら強い意思を持ち続けることができるのでしょうか。
【吉村実】いや、全然厳しくなんてない。ただ「楽しいこと」「当たり前のこと」をやっているだけだ。ラーメン屋だからうまいラーメンを作るための努力は当たり前だよ。でもよ、「売れよう」と思っていたときは苦しかったかもしれない。投資会社が吉村家を買いたいって交渉に来たときに、何度も「売っちゃおうかな」って思ったよ。

――モーレツ社長として知られる吉村さんでもくじけそうになったことがあるんですね!
【吉村実】あるよ。やっぱり手塩にかけた人間が独立して辞めちゃうのはつらかったな。裏切られるようなことも何回もあった。家系を名乗るほかの店のラーメンを見て悔しい思いをしたことも何度もあるよ。
――それでもくじけずに成功できたのはなぜなのでしょう?
【吉村実】自分では成功しただなんて思ったことは一度もないけどね。でも、あえて言うなら、神様なんていないと思っているから、ずっと当たり前の努力はし続けてきたんだよね。あと大事なのは、魂で通じ合える人と仕事をすること。例え違うジャンルだとしても、魂同士でぶつかると必ず何かが生まれる。心が通じ合えた人との仕事は絶対にいいものになるから。
――ラーメン屋が60億円かけてビルを建てるのは十分すぎる成功だと思いますが! では、吉村さんは今は何と闘っているのでしょうか?ライバルはラーメンでない何かかと思いましたが…?
【吉村実】「自分」だな。今年は自分の中で勝負をしている。まだ、あと2つ3つのビルはできると思っている。そうは言っても、従業員は全然足りないし、自分の中では勝っているつもりはほとんどないから、今年もその先もずっと勝負し続けなきゃなと思うね。俺は、宝くじ買うと100万くらい当たっちまうんだよ。だから、まだまだ運を使わないようにしなきゃな(笑)。
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