コーヒーで旅する日本/関西編|琵琶湖に一番近いロースター「きみと珈琲」。コーヒーを通して、地元の人々の暮らしを“ええ塩梅”に

関西ウォーカー

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全国的に盛り上がりを見せるコーヒーシーン。飲食店という枠を超え、さまざまなライフスタイルやカルチャーと溶け合っている。なかでも、エリアごとに独自の喫茶文化が根付く関西は、個性的なロースターやバリスタが新たなコーヒーカルチャーを生み出している。そんな関西で注目のショップを紹介する当連載。店主や店長たちが気になる店へと数珠つなぎで回を重ねていく。

元コンビニエンスストアの跡地を改装した複合施設・VOID A PART


関西編の第18回は、滋賀県彦根市の「きみと珈琲」。琵琶湖の畔にあって、店の背後に広がる大きな空と吹き渡る風が、湖国ならではの開放感を感じさせる。地元出身の店主の小川さんは、自らがお客としてコーヒー店を心の拠り所とした経験から、自らも日常に根ざした“町のコーヒー店”を志し、2021年にオープン。「一杯のコーヒーをきっかけに、いろいろな人、モノ、コトがつながり、広がっていく場になれば」という、小川さんが提案する“暮らしに寄り添う、ええ塩梅”とは。

店主の小川隆仁さんと奥様の佑美さん


Profile|小川隆仁
1991(平成3)年、滋賀県高島市生まれ。大学卒業後、ホテルに就職し、島根の温泉リゾートホテルに勤務。松江のIMAGINE.COFFEEとの出合いからコーヒー店の開業を志し転身。東京の名店・堀口珈琲で約5年の経験を積んだのち、地元・滋賀に戻り、2021年、彦根市の複合施設・VOID A PART内に、「きみと珈琲」をオープン。

人々の暮らしに寄り添う、“町のコーヒー屋”を目指して

さざなみ街道沿いにあり、店の目の前には広大な田園風景が広がる

滋賀県の大津市から長浜市まで、琵琶湖の東岸をなぞるように続く、通称・さざなみ街道。静かな湖畔の眺望は、北へ進むほどスケールが広がり、日本一の湖の大きさを実感する。街道が彦根市内に入って間もなく、公園や水泳場に並んで現れる、スカイブルーの看板が「きみと珈琲」の目印だ。「おそらく滋賀県内で、ここが一番、琵琶湖に近いロースターだと思います」という店主の小川さんは、彦根のちょうど対岸にある高島市出身。島根や東京など、長らく地元を離れて仕事に就いていたが、「県外から帰省する時に、湖西線から見る琵琶湖の眺めの良さに改めて気付いて、店を開くなら滋賀がいいなと思ったんです」と小川さん。地元の人々の拠り所となる場所を作りたい、という思いを抱いた原点は、島根にいた頃に出合った一軒のコーヒー店からだった。

大学卒業後、サービス業を志望して、島根のホテルで働き始めた小川さん。当時、休日などに足しげく通っていたのが、松江のロースター・IMAGINE.COFFEEだった。「この店で、初めてスペシャルティコーヒーの存在を知ったのですが、コーヒーのおいしさはもちろん、地域に根差した店の肩ひじ張らない雰囲気や、店主さんの気さくな人柄に、日々癒やされていました。ここに来るとホッとする、まさに町のコーヒー店といった趣で、今の自分の店作りはこの時の影響が大きいですね」と振り返る。

自然光がたっぷり入る、広々とした店内は、ゆったりとした時間が流れる


やがて、多忙を極める仕事に疑問を感じた小川さんは一念発起、自らもコーヒーを生業にするべく、東京の名門・堀口珈琲の門をたたく。「堀口珈琲は、東京に旅行に行った時に一度訪ねたことがあって、コーヒーがおいしかった記憶が残っていたので、再度訪ねてみたんです。ちょうど、スペシャルティコーヒー=浅煎りという流れができ始めた頃でしたが、堀口珈琲は深煎りが主流でした。自分も深煎りが好みで、その時、注文したのがワイニー&ベルベッティというブレンド。“コーヒーなのにワインのような味わいって、どういうこと?”と半信半疑で飲んでみたら、苦味が勝ちすぎず、フルーツを感じる味わいに納得。その後、ほどなくしてスタッフに応募して、働くことができたのはラッキーでした」

豆は焙煎後にハンドピック。大きな農業用のザルは堀口珈琲時代に使っていたものを譲り受けた


心機一転、堀口珈琲で本格的にコーヒーの世界に飛び込んだ小川さん。最初はカフェでのサービスやコーヒーの抽出、提供から始まり、数カ月後には生豆のハンドピック・選別の担当に。ひたすら豆と向き合い続けること約2年を経て、生豆の調達起点となる支店に移り、ベテランスタッフから焙煎を学ぶ機会を得た。「焙煎は花形のポジションなので、担当になるまでに時間がかかりましたが、ここでは焙煎やカッピングのほか、接客から経理など店の運営に関わることまで、あらゆる仕事を経験しました。この頃は1日が目の回るような忙しさでしたね。しかも、カッピングなどは当初、まったく分からないままに参加していましたが、見よう見まねで風味の表現を体得していきました」

小川さんが焙煎機に初めて触れたのもこの時。「最初に触った時は、ちょっと手が震えてましたね(笑)。ただ、煎り上げて釜から豆が出てきた時は、初めて自分の手で焼けた感動がありました。今思えば、希少な豆の銘柄もあったし、サンプルも膨大な数がある中でやらせてもらったのは、貴重な時間でした。焙煎度の幅も広く、ブレンドに力を入れていて、シングルで作れない味をブレンドで表現する経験は、今の店の味作りにも大きく役立っていると思います」

コーヒーはブレンド2種、シングルオリジン4~5種に加え、季節のブレンドも


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