世界三大珍獣・オカピは首の伸びなかったキリン!?神秘的な素顔や野生の真実を聞いてみた【会えなくなるかもしれない生き物図鑑】

東京ウォーカー(全国版)

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繁殖が成功した背景に迫る

――ズーラシアではこれまでに6回、オカピの繁殖に成功している。日本国内で繁殖に成功しているのはズーラシアだけだが、その背景には意外な理由があった。

日本国内では現在、3園で5頭が飼育されています。ズーラシアではアメリカからオカピを導入した時に、「日本ではアメリカの繁殖計画にのっとって繁殖する」という契約をしています。その中で、繁殖には何平方メートル以上の敷地が必要といった細かな規定があるのですが、その規定に見合った施設を所有していたのは、当時ズーラシアだけでした。

そしてその大役を果たすべく当時の担当者がアメリカからたくさんの情報を収集して、現在までの繁殖につながっています。

オスのキィアンガは1997年に来園。現在は金沢動物園で飼育されている国内最高齢のオカピだ。撮影は2008年写真提供:よこはま動物園ズーラシア


――繁殖は具体的にどのように取り組むのだろうか。

繁殖に取組むときは、まず糞から性ホルモンを抽出して、排卵に近いと思われる日を分析。それからオス、メスの行動をよく観察し、発情が近いと思われるタイミングで一緒にします。そういう時にはケンカせず、メスが交尾を受け入れる可能性が高いので、しっかりとコントロールしたうえで繁殖を計画しています。

発情がくるとメスは落ち着きがなくなり、うろうろ歩き回ったり、食欲がなくなったりします。オスはもっと顕著で、メスのいる部屋の方に張り付いて動かなかったり、鼻を鳴らしたり、興奮した様子を見せます。飼育員としてはそういった行動を見逃さないよう観察していますが、個体によってはなかなか表に出さないことも。そんな時は寝室の床材にしているウッドチップの散乱状況など、残された痕跡から推理することもあります。

めすのレイラもキィアンガと同じ1997年来園。2014年に死亡した。撮影は2008年写真提供:よこはま動物園ズーラシア


名探偵並みの観察力で動物たちの健康を守る


――発情の痕跡から行動や状況を推理する飼育員は、まるで名探偵のようだ。それだけの観察力があるからこそ、動物たちの健康を守ることができる。

オカピの飼育を担当する森田菜摘さん写真提供:よこはま動物園ズーラシア


朝に獣舎へ行きオカピが元気なら、部屋の状態を見て夜にどう過ごしていたのか推測します。動物は言葉で説明してくれないので、隅々までしっかり見て、「糞がいつもより大きくて形が崩れているのでお腹の調子が悪いのかも」とか「水をいつもより飲んでいない」といったことをチェックしています。

オカピは体が大きいので、獣医師に処置をしてもらう時には麻酔をかける場合もあります。でも、全身麻酔は体に負担がかかるため、できるだけさせたくない。となると、いかに病気にさせないかという予防と、獣医師を呼ぶ一歩手前の段階で気づくことが重要になります。

特に注意しているのは気温です。オカピは熱帯雨林の暑いところに住んでいるので、「明日は急に寒くなる」と分かったら、夜間に暖房をつけます。小さく体の弱い個体や、ホダーリのように高齢に差し掛かっている場合は、10月でも暖房をつけることもありますね。

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