コーヒーで旅する日本/九州編|コーヒーもスイーツも、そして料理も。すべて妥協せずに“おいしい”を目指す。「BON POINT BLEU」

九州ウォーカー

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多彩な引き出しが増やしたリピーター

店奥がイートインスペースになっている。席数は15席

18歳から関西で暮らしたが、福岡は丹後さんの故郷だ。独立開業に際し、そのまま関西、はたまた上京するかなど、悩んだそうだが、最も理想的な形で店づくりができそうな福岡を選んだ。

「福岡は地元ではあるのですが、高校生までしかいなかったですし、やや郊外の那珂川町に住んでいたこともあり、正直、福岡市街の土地勘はほぼなく…。友人・知人も関西に多くいましたし、ホームというよりアウェイ感の方が強かったですね。しかも、開業してすぐにコロナ禍の影響を受け、正直どうなることか…と不安も多少ありました」と丹後さんは話す。

店舗は日赤通りから少し入った住宅地に位置。薬院駅や渡辺通駅から徒歩圏内だ

ただ偶然にも「BON POINT BLEU」が店を構える高砂エリアは、話題を集めるコーヒーショップが点在していたことから、カフェ巡りをする人たちが多かった。「BON POINT BLEU」もその選択肢の一つになり、一度同店を訪れて、その後、何度も足繁く通ってくれる常連が徐々に増えた。

何度も足を運びたくなる理由は、味わいのクオリティ、雰囲気の良さもあるが、いろいろなシーンで利用できるというのが間違いなく大きいだろう。コーヒーやドリンク片手にちょっと打ち合わせ、ランチをいただいた後にコーヒーでブレイク、ティータイムにスイーツとコーヒーを楽しむ、などなど。もし、これがコーヒーやドリンクのみの店ならば、利用シーンは狭まるかもしれない。そういう意味でも、多彩な引き出しを持っている「BON POINT BLEU」は、コーヒーショップの新しい、かつ理想的なスタイルと言えそうだ。

もともと開業時から、小川珈琲の元同僚が営むロースター・京都珈道の豆を使ってきた「BON POINT BLEU」。その後、福岡で知人の縁で繋がった通山珈琲、さらにはエルサルバドルの生産者と直接取引している京都のCOYOTEからスポットで豆を仕入れるなど、さまざまなロースタリーのコーヒーを提供してきた。一方で2022(令和4)年11月に自家焙煎にも着手した。

焙煎を担当するのは料理人の堀内さん。もともと丹後さんと小川珈琲で一緒に働いていた同僚だ

丹後さんは「自家焙煎を始めましたが、京都珈道、通山珈琲、COYOTEの豆はこれからも取り扱いを続けます。コーヒーは多様性が魅力の一つで、当店で焙煎した豆に限定するのはお客様にとって有益ではないと僕たちは考えます。ロースタリーによって使っている焙煎機も違えば、焙煎に対する考え方もそれぞれあり、正解は一つじゃない。お客様の好みの味わいをご提案できる選択肢は持ち続けたい」とコーヒーへの思いを語る。

自家焙煎した豆はオリジナルブレンドに使用。ブレンドは中煎りと中深煎りの2種

これは丹後さんがコーヒーに対して柔軟な考え方を持っていると感じるメッセージだ。実際に「BON POINT BLEU」で焙煎を行うのは、主に調理を担当しているスタッフの堀内さん。丹後さんはバリスタとしてコーヒーを淹れることに重きを置いているからこそ、このような柔軟な考え方を持ち続けられるのだろう。こんな点もまた一般的なコーヒーショップの流れとは一線を画しており、とてもおもしろい。

【写真】フランス語でご褒美といった意味を持つBON POINT

最後にこれからの目標を聞いてみた。
「店を営む立場になって、まだまだ3年強の僕が言うのもおこがましいのですが」と前置きをした上で、丹後さんは「飲食業が憧れの職業になるような働き方を目指したい。飲食業というと、時間は不規則、労働時間が長い、賃金があまり良くないなど、ネガティブなイメージを持たれることもあります。ですからできる限り、ともに働くスタッフは社員として雇用し、心豊かに仕事ができる環境を整えていくのが今の目標です」と優しい笑顔で話してくれた。

丹後さんレコメンドのコーヒーショップは「FAKE IT COFFEE」

「福岡市東比恵と意外な場所にありますが、いつも常連さんで賑わっている『FAKE IT COFFEE』。バリスタ経験豊かな店主・大瀬良さんが営むコーヒースタンドで、焙煎も自家で行っています。大瀬良さんはとんでもない“コミュ力おばけ”で、話し出したら止まりません(笑)。僕はもちろん、当店のスタッフもよく行くお気に入りの一店です」(丹後さん)

【BON POINT BLEUのコーヒーデータ】
●焙煎機/BULLET R1
●抽出/エスプレッソマシン(La Marzocco strada AV-2)
●焙煎度合い/浅煎り〜中深煎り
●テイクアウト/あり
●豆の販売/100グラム830円〜、200グラム1610円


取材・文=諫山力(knot)
撮影=大野博之(FAKE.)

※新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。

※記事内の価格は特に記載がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

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